いま広告主に求められる「適性化・透明性」への理解と「冷静さ」【ad:tech tokyo 2017 ABM vol.4】

ad:tech tokyo 2017 Advisory Board Member インタビュー特集, Marketing

ad:tech tokyo 2017アドバイザリーボードメンバーインタビュー特集
日本を代表するイベント「ad:tech tokyo」が今年も2017年10月17-18日にかけて開催されます。このイベントの総勢40名の業界リーダーで構成されるアドバイザリーボードのインタビューを連載形式で掲載しています(特集一覧はこちら

第4弾のインタビューは、ブランド企業代表としてad:tech tokyoアドバイザリーボードメンバーに参画いただいている、資生堂ジャパン コミュニケーション統括部長の小出誠氏。マスからデジタルまで、日本国内の広告出稿を担当している広告主の観点で昨今のデジタル業界について話を伺いました。

資生堂ジャパン コミュニケーション統括部長 小出誠氏


いま広告主に求められる「適性化・透明性」への理解と「冷静さ」【ad:tech tokyo 2017 ABM vol.4】

——今年注目の動向はなんですか?

デジタル広告取引の適正化、透明性に対する広告主の意識の高まりが予想されます。昨秋の大手広告会社の不祥事もあって、正しい請求か否かのレベルからビューアビリティやアドフラウド、ブランドセーフティなどの問題まで、幅広い領域で関心が高まりつつあります。私が委員長を務めている日本アドバタイザーズ協会のデジタルメディア委員会でも積極的に取り組む予定です。

——取引の適正化・透明性の問題については、広告主側が舵をとるべきだと思いますか?

広告主だけでなく、デジタル広告に関係するすべてのステークホルダーの問題です。適性化・透明性が担保されないままでは、デジタルへの予算シフトに消極的になりますし結果的にデジタル広告業界も発展しません。一方で、適正化・透明性に関して広告主側でも、問題に関する情報量やそれによって生まれる認識にバラツキが大きいのが現状です。デジタル広告の発注・運用業務への関与度によって異なると思いますが、広告会社に頼っている広告主でも高い関心を持つことが必要であることへの理解を促したいと思っています。

——小出さんはマスからデジタルまで、日本国内の広告出稿を担当しています。「デジタル予算の最適配分」の現状について、詳しくおしえてください。

「デジタルを含むメディア投資全体でどこにどれくらいの予算を投入すればいいか」がテーマですが、これについて昨今、各社どうすればよいのか非常に悩んでいると思います。特に最近は、明確な目的や知見もないなか「とりあえずデジタル施策をたくさんやらなければ!」と投資を増やしている傾向があります。真っ向からマス広告を否定するような思考の人もいて、たとえば「生活者何人かにインタビューをしたら、誰もテレビを見ていませんでした。だからテレビへの出稿は減らしましょう」という会話がなされたりしています。もちろん、目的、性別、年代、対象の商品によってデジタルとの相性は千差万別ですが、目標リーチまでの到達時間やMAXのリーチレベルなどTVをはじめとする4マス媒体の強みもありますから、「とりあえずデジタル!」と偏って走るのではなく、まずは全体を見極める冷静さが必要だと考えます。

——その冷静さは、どのように培われ、拡がっていくと思いますか。

難しい問題ですね。ただ、両方の良さと弱点をしっかり理解し、生活者視点で手段の目的化に陥らないスタンスが大切だと思います。たとえば、少し前までは、どちらかと言えばデジタルメディアとトラディショナルメディアは「対峙」の構図でした。ただ、AbemaTVや雑誌社のコンピレーションメディアなどが典型的な例だと思いますが、トラディショナルメディア側もデジタル領域に積極的に乗り出すようになって、状況が変わってきたように感じます。また、メディア投資の面でも、最近はTVCMとオンライン動画広告をどう組み合わせて打てば効果がMAXになるかが精査にシミュレーションできるようになってきました。このような環境下、生活者視点でニュートラルな立場から両者の長所を生かして予算を最適化することが可能になってきていると思います。両メディアが融合していくなか、広告掲出先のメディアが良質なコンテンツか否かがブランド企業としては重要になってきています。

——良質なコンテンツ拡充の鍵は、どこにあるでしょうか。

昨年末のキュレーションメディアの一件でデジタルのコンテンツに対する信頼が揺らいだこともあり、これからはトラディショナルメディアがコンテンツの作り手として改めて重要な存在として認識されるようになるでしょう。また企業ではなく個人の動きで、トラディショナルメディアでコンテンツを作っていた人材がデジタル業界に流れているのは明るいニュースです。その流れはもっと加速していくでしょう。これらの動きによってデジタルだ、トラディショナルだといった区別もそろそろなくなってくると思いますし、良質なコンテンツに新たなテクノロジーが加わってコミュニケーションの選択肢が充実していくことは、広告主側としても喜ばしいことですので、多いに期待しています。

——ありがとうございました。

【ad:tech tokyo 2017 Advisory Board Member (ABM) Interview Vol.4】(特集一覧はこちら


小出 誠
資生堂ジャパン株式会社
コミュニケーション統括部長

1984年資生堂入社。大阪での営業を経て1986年商品開発部。1987年から宣伝部宣伝課に在籍し、プリントメディアを中心に媒体買付を担当。その後、経営企画部にて企業理念策定、本社ビル建築、企業内保育所の設置等に、またプロフェッショナル事業部にて事業企画とサロン経営に携わる。2014年4月から現職(2015年10月より資生堂ジャパン)。

【ad:tech tokyo 2017 概要】
日時:2017年10月17日(火)-18日(水)
場所:東京国際フォーラム
参加人数:15,000+
詳しくはこちらから

古市 優子

古市 優子

Content Manager - ad:tech / iMedia at Comexposium Japan
慶應義塾大学法学部法律学科卒、University of Utah演劇学科への交換留学を経て、在学中は電子手形の研究。サイバーエージェント新卒入社と同時に、スマートフォン黎明期のCyberZへ出向、MVP通算6回、通期新人賞受賞。退職後はサンフランシスコへ渡米、翻訳などフリーで活動。2013年よりdmg::events(現Comexposium)に入社、iMedia News Summitなど新イベントの立ち上げ、ad:tech tokyoではコンテンツを担当。最近の趣味は新居のスマートホーム化とワイン。じっとしていられないのが悩み。
古市 優子

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