テレビCM崩壊は日本でも起こるのだろうか-ボツにした未完成原稿vol.4

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主張を180度転換したのでボツにした原稿です。何かの役に立てばと思いアップします。未完成原稿ですので、未確認情報が含まれます。ご注意ください。

▼5年以内にテレビと同格に

 IBM
のレポートによると米国でも世代によってメディア消費の形は異なるようで、テレビの利用率が高いのは35歳以上で、反対にSNS(mixiのようなコミュ
ニティーサイト)やブログ、オンライン音楽配信などのサイトやサービスを利用しているのは、18歳から24歳の層が最も多い。日本と異なるように思えて興
味深いのは、モバイル機器の利用率が最も高いのが25歳から34歳までの層、電子ブックの利用が多いのが45歳から54歳の層、ということだ。

 消費者のアテンションが、テレビなどの従来型メディアから、SNSなどの新しいメディアに移行しているのであれば、広告も新しいメディアに移行しなければならない。

 ただ現在では世界的に見てもオンライン広告の市場は、テレビ広告の 分の1。日本市場ではこの差はさらに大きく、オンライン広告が 。テレビ広告が だ。

 IBM
によると、オンライン広告市場は予測を上回るペースで拡大を続けており、いずれ利用時間や影響力に相当する予算がインターネット広告にも費やされることに
なるという。少なくとも今後5年以内に、ネット広告の過小評価はかなり改善されることになるとIBMは予測している。オンライン広告がテレビ広告と同格に
扱われるようになるというわけだ。

 日本でも電通傘下のオンライン広告代理店サイバー・コミュニケーションズ(CCI)の長澤秀行社長は同様の考えを持っている。同社長は、何年先という明言を避けたが、日本でもいずれオンライン広告がテレビ広告と同様に扱われるようになることを示唆している。

 
とはいうものの、日本の広告業界の商慣習は欧米とは大きく異なるといわれる。欧米と同じ速度で日本の広告業界も変化していくとは考えられない。近未来にお
いて日本の広告業界も欧米並みに変化するのだろうか。変化するのだとしたら、どのような領域で、どのような速度で変化するのだろうか。このことに関して
は、後で詳しく考察してみたい。

▼確実に広がるテレビCM飛ばし

 
アテンションが分散しているという問題以外にも、テレビコマーシャルにとっては、CM飛ばしという問題がある。DVDレコーダーやHDDレコーダーといっ
たテレビ番組録画装置で、簡単にテレビCMが飛ばせるという問題だ。米国ではこうした録画機器はデジタル・ビデオ・レコーダー(DVR)という総称で呼ば
れるが、IBMのレポートによると、米国では
DVRの普及率は25%で、消費者の満足度が高いため5年以内に普及率が40%近くに拡大する見通しだという。
 またDVR
利用者の53%は、テレビ番組の少なくとも50%はDVRに一度録画したものを見ていると答えている。DVRで視聴するテレビ番組のCMは、ボタン1つで
一瞬にして早送りされている、と考えて間違いない。メディア消費の変革期の最初の大きな犠牲者はテレビCMになりそうだ、とIBMレポートは結論づけてい
る。
 日本でも同様の予測が、野村総合研究所によって2005年5月に発表されている。それによると、2009年までに
HDD搭レコーダーの世帯普及率は44%にまで普及し、「そうなれば、今後さらにテレビCMの価値は損なわれていく恐れもあります」としている。この予測
で野村総研がテレビCMスキップ率からして「2005年の企業の年間テレビ広告費全体における損失総額は約540億円となる可能性がある」としたために、
テレビ業界や大手広告会社が激しく反発した。視聴率は録画した番組の視聴ではなく、実際に放送中に視聴した割合を算出しているので、視聴率に従って決めら
れる広告料金が無駄になっていることはない、という反論だ。
 だが実際に広告料金が無駄になっいるかどうかは別にして、DVRが普及が進んでいるのは事実であり、普及に伴ってテレビCMが飛ばされる確率が今後高くなっていくという見通しも間違いではないだろう。
http://www.nri.co.jp/news/2005/050531.html
 
それでも「アメリカと違って日本人のライフスタイルはテレビが中心だし、日本人は受身の国民性だからリモコンを積極的に操作してCMを飛ばすことはない」
と反論する人がいる。そういう人は、今は過渡期であり3層の情報消費の形が共存している、という「メディア消費3層並存論」を思い出してほしい。自分や自
分の身の周りの同世代の人たちのライフスタイルは、決して典型的な日本人のライフスタイルではないのだ。過渡期の今、唯一の典型的ライフスタイルなど存在
しないのである。

▼変化の速度を読めず戦略まとまらず

 
こうしたメディア消費の形の変化は、広告業界にどのような影響を与えるのだろうか。IBMが世界の広告業界の重役80人に聞き取り調査をしたところ、半数
以上が今後5年以内に30秒CM向け予算の10%以上が別のメディアに移行するだろうと考えており、10%近くの重役が25%以上の予算が別のメディアに
移ると考えていることが分かったという。
 コンテンツを自ら製作していなかったり、コンテンツを配信する権利を持っていない従来型メディア企業にとって、メディア消費の形の変化は収入減という危機を意味する可能性がある、とIBMレポートはまとめている。
 
さて世界の広告業界の重役の予測が正しかったとして、10%の収入減は果たして「危機」なのだろうか。こういう話に対しては、「たとえテレビCMの予算が
インターネットに流れ始めているとしても、それは金額的には微々たるもの。何も恐れることはない」と反論するテレビ業界関係者や広告マンがいる。その通り
なのか。それとも、金額的には微々たるものでも長期的傾向の始まりという「危機」なのだろうか。意見の分かれるところである。
 
そしてなによりも、変化の速度に対する意見が、日本のメディア企業関係者や広告会社関係者の間で大きく分かれるようだ。ある電通マンは「テレビ広告市場が
縮小していくという認識は、既に共有されている。今後もテレビ広告が安泰だと気楽に考えている広告マンは一人もいない。意見が分かれるのは、縮小の進行速
度なんです」と語る。縮小の進行がゆっくり進めば、テレビ局や広告会社は時間をかけてオンライン広告を中心とした新しい体制に移行すればいいだけのことで
ある。一方で変化が急速であれば、新しい体制に移行できずに大ダメージを受けることになる。
 この変化の大きさと速度に対す
る共通認識を持てないことが、従来型メディア企業や広告会社が明確な戦略を打ちたてられない根本的な理由の1つになっている。急速な変化がくると考える人
たちは、リストラを含む劇的な組織改革を求める。変化はそこまでも急速ではないと考える人たちは、できるだけ痛みの少ない方法で乗り切ろうと考えている。

序章 経済リワイヤリング-ボツにした未完成原稿vol.0
IBMが読む広告の未来-ボツにした未完成原稿からvol1
分断される消費者の関心-ボツにした未完成原稿vol.2
メディア消費の過渡期と3層並存論-ボツにした未完成原稿vol.3

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Editor In Chief at TechWave.jp
1990年代初頭からソフトからハードまで50以上のスタートアップ立ち上げを国内外で経験。平行して雑誌ライターとして疾走。シリコンバレーでガレージベンチャーに参画後は、国内でネットエイジを筆頭にスタートアップに多数関与。ブログやSNSの国内啓蒙、ソニーの社内イノベーション事業など関与。通信キャリアのニュースポータルの立ち上げ期の編集デスクとして数億PV事業に育てた後、TechWaveにジョイン。世界最大のグローバルIT系メディアであるスペインの「Softonic」の元日本編集長
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