消費者が主導権握る広告-ボツにした未完成原稿vol.10

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主張を180度転換したのでボツにした原稿です。何かの役に立てばと思いアップします。未完成原稿ですので、未確認情報が含まれます。ご注意ください。

▼共有を前提にした広告

 表現物の世界に、団体戦という新しい競技種目と、「共有」という評価の物差しが登場したと先に書いたが、広告の領域でも共有されることを前提にしたビデオで作られ始めている。
 ソニーは、「共有」を前提にしたテレビ「ブラビア」の宣伝ビデオをYouTubeで公開している。

 
参加型百科事典ウィキペディア(英語版)によると、最初の共有目的のビデオは、25万個のカラフルなスーパーボールがサンフランシスコの坂を跳ねながら落
ちていくというもの。これだけ多くのスーパーボールが坂の町を跳ねながら落ちていく様子はまさに圧巻。これまでに数十万回も再生されているだけでなく、こ
のビデオを見たユーザーが次々とパロディビデオを作製し、YouTubeなどの動画共有サイトにアップしている。
 例えば、スーパーボールの代わりに、りんごやオレンジといったフルーツが坂道を落ちていくさまを撮ったビデオや、戦場の坂道を兵士が跳ねながら降りていくようなビデオもアップされている。
 あまりに大きな話題を呼んだため、ソニーは同様に共有を目的としたビデオを次々と制作している。
 
2作目は、高層ビルからカラフルなペンキが噴き出すというビデオ。ウィキペディアによると、スコットランドの高層ビルの外壁から全部で7万リットルのペン
キが計1400回噴出し、ビルをカラフルに染め上げていった。撮影には10日かかり、ペンキは環境にやさしい種類のものが使われたという。

作目は、粘土で作ったフィギュアを動かしてつくるアニメーション。ニューヨークの街の中に置かれた粘土のフィギュアが、コミカルな動作を見せるキュートな
作品だ。4作目は、カラフルな糸をピラミッドの上から垂れる、というもの。糸巻きが下まで達すると、ピラミッドが色鮮やかな繊維でカバーされるというもの
だ。
 これらのビデオに共通するのは「鮮やかな色」。ブラビアというテレビと、鮮やかな色というイメージを結びつける効果を狙っているようだ。

 

▼推薦という形での表現

 
インターネットという表現のツールが登場したことで、だれもが表現者になる総表現者時代になりつつあることは分かった。小説や映像だけではなく、広告製作
の領域にまでアマチュアやセミプロが入り込んできたことも分かった。しかし、そういったクリエイティブな人はそう多くのではないか。ネットの普及で、クリ
エイティブな活動するセミプロが少し増えただけ。それほど大きな変化を引き起こすとは思えない。そう考える人も多いだろう。
 
しかしコンテンツや広告を製作するというレベルのクリエイティビティはなくとも、いい作品を評価し、他人に推薦するという行為も、1つの表現の形なのでは
なかろうか。まったく新しいものを作り出したように見える人でも、99%は他人のアイデアで、それに1%の独自の考えを加えただけだ、と言う人がいる。わ
たし自身もそうだ。この本のベースになっている考え方は、IBMのレポートやレジス・マッケンナの「トータル・アクセス」などの本である。そうした他人の
アイデアを取捨選択し最新の資料を加え、日本の現状を考慮してまとめあげたのが、この本である。わたし自身が独自に思いついた部分などほんのわずかであ
る。極限すれば、他人のアイデアを自分の言葉で評価し直し、まとめあげただけだ。
 そう考えると、ブログなどでお気に入りの製品を自分の言葉で紹介するという行為と、この本を書き上げるという行為の間にそれほどの違いはないと思う。推薦という行為も表現の1形態であり、クリエイティブな活動なのだ。
 
あるケータイのショッピングサイト関係者によると、ある時期、特定の化粧品がものすごく売れた時期があった。関係者が原因を調べたところ、テレビの広告は
まったく関係なかった。どうやらその原因は、歌手の浜崎あゆみがブログでその化粧品を使っていることを言及したことにあるようだった。
 
浜崎あゆみのような有名人でなくてもいい。身の回りの人の中で、好きな人や尊敬する人が使っていたり、薦める商品を購入したことのある人は多いだろう。そ
れがインターネットの普及により、好きな人や尊敬する人が増え、好きな人、尊敬する人の購買行動が簡単に分かるようになっている。
 例えばわたし自身、ブログを読むようになってから尊敬できる人が増えた。わたしは子供のころから生意気な性格で、「尊敬する人は」と聞かれると「日本にはいない」と答えるような、どうしようもなく思い上がった人間だった。
 ところがブログを読むようになって、非常に多くの尊敬できる人たちに出会えた。そのほとんどは無名のブロガーで、年齢はわたしより低い人が圧倒的に多い。それでもその知識量や分析力、誠実さなどの面で素直に頭が下がる。非常に学ぶところの多い人たちである。
 そうした尊敬する人たちのブログやmixiの日記を定期的に読んでいる。彼らがどのような本を読み、どのような商品を買ったかなどという情報は、ほとんどリアルタイムに入る。
 
思い返してみれば、ここ何年も本屋で本を見つけて買うことはほとんどないし、広告を見て本を買うことなど皆無だ。ここ数年間のわたしの書籍の購入パターン
はたった1つ。尊敬する人たちのブログやmixi日記の書評を読んで、仮想書店のアマゾン・ドットコムで購入するというパターンだ。わたしにとってどんな
広告メッセージよりも、尊敬できる人の書評のほうが影響力が高いのだ。
 コンテンツを自ら作ることはないものの、推薦という表現活動にネット上で携わるユーザーは増える一方だ。これがメディアと広告の未来に大きな影響を与えることになるだろう。

▼消費者の好きな広告しか流れない究極の未来

 米大手コミュニティーサイト「フェイスブック」は2007年秋に、ソーシャル広告という新しい広告のコンセプトを発表した。
 サイトの中の自分のページに掲載する広告主をユーザー自身が選べるのだ。(【編注】調べる必要あり)

序章 経済リワイヤリング-ボツにした未完成原稿vol.0
IBMが読む広告の未来-ボツにした未完成原稿からvol1
分断される消費者の関心-ボツにした未完成原稿vol.2
メディア消費の過渡期と3層並存論-ボツにした未完成原稿vol.3
テレビCM崩壊は日本でも起こるのだろうか-ボツにした未完成原稿vol.4
ニコニコ動画に見る日本のクリエイティビティの実力-ボツにした未完成原稿vol.5
アマチュア作品はプロに勝てるのか-ボツにした未完成原稿vol.6
オンデマンドで儲からないのは当たり前-ボツにした未完成原稿vol.7
表現者にとっていい時代になるのか悪い時代になるのか-ボツにした未完成原稿vol.8
セミプロ、アマチュアが作る広告-ボツにした未完成原稿vol.9

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Editor In Chief at TechWave.jp
1990年代初頭からソフトからハードまで50以上のスタートアップ立ち上げを国内外で経験。平行して雑誌ライターとして疾走。シリコンバレーでガレージベンチャーに参画後は、国内でネットエイジを筆頭にスタートアップに多数関与。ブログやSNSの国内啓蒙、ソニーの社内イノベーション事業など関与。通信キャリアのニュースポータルの立ち上げ期の編集デスクとして数億PV事業に育てた後、TechWaveにジョイン。世界最大のグローバルIT系メディアであるスペインの「Softonic」の元日本編集長
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