日本でヤフーがこれからも強い理由-ボツにした未完成原稿vol.14

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主張を180度転換したのでボツにした原稿です。何かの役に立てばと思いアップします。未完成原稿ですので、未確認情報が含まれます。ご注意ください。

▼ウェブの覇権の歴史

 なぜ広告マーケットプレースがそれほど大きな話なのかを説明するには、
ウェブのこれまでの覇権争いの歴史を振り返る必要がある。ウェブという仕組みが登場しインターネットがビジネスに利用されるようになったのは1990年代
半ばの話だ。ウェブの歴史はまだ10年余りだが、ドッグイヤーといわれる業界だけあって、覇権争いの新しいパラダイムをこれまでに何度か経験しているの
だ。

 最初に1つの時代を築いたのは、米ヤフーだった。ニュースや天気予報、ウェブサイトのディレクトリーなど、多くのユー
ザーが必要とするような情報を一ヵ所に集めたヤフーのようなポータルサイトは非常に使い勝手がよかった。多くのユーザーがヤフーに集まった。ヤフーはネッ
ト上のマスメディアのような存在になったのだ。そのヤフーのビジネスを支えたのが、バナー広告という広告手法だった。ポータルという集客の仕組みと、バ
ナー広告というマネタイズの仕組みがカップリングされ、ヤフーはウェブ上の覇者となった。ポータルの時代という1つの時代を築いたのだった。

 
その後、2000年ごろにグーグルという検索エンジンが登場した。シンプルなデザインとその卓越した使い勝手が評判を呼び、グーグルのユーザーは急増し
た。しかしユーザーが多く集まっただけで1つの時代を築けるわけではない。1つの時代を築くには、その集客の仕組みの成功をマネタイズする仕組みが必要で
ある。グーグルの場合、それは検索連動型広告だったわけである。検索エンジンという集客の仕組みと、検索連動型広告というマネタイズの仕組みがカップリン
グされて、グーグルは検索の時代の覇者となった。そして今もまだ検索の時代、グーグルの時代は続いている。

▼ソーシャルメディアの時代

 
ところがまたしてもウェブに異変が起こった。ソーシャルメディアに人が集まり始めたのである。

ソーシャルメディアとは、一般ユーザーの情報発信によって成
立するサイトのこと。ネット業界内ではCGMなどと呼ばれることも多い。代表的なソーシャルメディアとしては、mixiやYouTube、動画などがあ
る。米国では、フェイスブックという名前のソーシャルメディアに勢いがある。
 とはいうものの、まだマネタイズの手法が確立
していないことから、ソーシャルメディアの時代に突入した考える人はまだ少ない。それでもグーグルの次に時代に移行し始めたという言説は、ちらりほらりみ
かけるようになった。英調査会社ヒットワイズのThe Impact of Social Networking in the
UKの報告書によると、SNSはバイラルマーケティングの主チャンネルとなる

【編注】この部分はあとで書く。

▼従量制が日本のウェブを5年遅らせた

 
ところでこうしたウェブの歴史的移行は、日本では少し異なる形で進んでいる。その最大の理由は、日本はネット接続の定額制への移行が遅れたからである。
ネットの商業利用が始まった1990年代半ばの、家庭からのネット接続はダイアルアップと呼ばれる方法が一般的だった。パソコンの電話機能を使い一般電話
回線を通じてネット接続業者のコンピューターに電話をかける、という方法だった。
 同じ市内の接続業者を利用すれば市内通話
料金で済むわけだだが、それでも電話料金体系が1分幾らという日本の場合だと、ネットに接続されている時間が長ければ長いほど料金が膨れ上がる。そこでど
うしてもできるだけ早く切断しようという考えになってしまう。いろいろなサイトやサービスを試してみようという気にはなれず、この結果、日本のパソコン向
けサービスの進化を遅らせる結果になった。
 一方で米国の市内電話はネット以前から定額制だった。どれだけ使っても同じ料金なので、ユーザーはあれこれ試し、その結果、ウェヴサービスは大きく進化した。
 
日本のネット利用で定額制が主流になったのは、200 年以降に定額制のADSL回線が広く普及してからである。わたしは2000年に米国から帰国したの
だが、当時の日本のインターネットは企業がパンフレットのような情報だけをアップしているだけのようなお粗末な状況で、非常に驚いた記憶がある。
 
ということで日本のユーザーの多くは本格的にネット利用を始めたばかり。まだポータルを利用するのがちょうどいい段階のユーザーが多いのかもしれない。し
かしいずれポータルの情報に飽きたらなくなり、広いウェブの海に乗り出そうというユーザーが増えるのは間違いない。日本は米国の5年あとを進んでいるの
だ。

▼日本でヤフーが覇者で居続けられる理由

 
多くのユーザーがネットに慣れてくれば、日本でもユーザーがポータルから検索エンジンに流れるはず。事実、ネット視聴率調査のネットレイティングスによる
と、日本でもグーグルの利用者は増えている。この傾向が続けば、検索の時代、グーグル覇権の時代が日本にもくるはずである。
 しかしそうはならない、とわたしは考えている。3つの理由でヤフージャパンはこれからも有力プレーヤーであり続けるだろう。
 
1つはヤフーオークションの存在である。日本のネットオークションのナンバーワンサイトであるヤフオクこそ、参加ユーザーが増えれば増えるほど利便性の高
まるソーシャルメディアなのである。検索の次の時代となるソーシャルメディアの時代を戦うのに必要な集客の仕組みをヤフージャパンは既に持っているのであ
る。
 2つ目はオープン戦略である。
 もう何年も前の話になるけど、マスメディア企業は個人情報の管理業務を基幹業務にすべきだ、というエントリーをブログに上げたことがある。そのエントリーには、新聞関係者から「そんなことは新聞がすべきことではない」という反論のコメントが寄せられていた。
 しかし従来型のマスメディア企業に代わってネット上の新興メディア企業は、個人的な情報の管理業務が基幹業務になりつつあるようだ。
 ヤフー・ジャパンは、できるだけ多くの情報を自社サイトに集めることで、ユーザーに自社サイト内を巡回してもらい自社サイトのページビューを上げる戦略を取っていたが、最近では他社の友好サイトにユーザーを流すオープン戦略に切り替えている。
 
ちょっと横道にそれるが、ヤフーなどのポータルは、ポータル(玄関、入り口)という名前が示す通り、90年代半ばはユーザーがネットにアクセスする際の最
初のページになる戦略を取っていた。検索やディレクトリーがサービスの中心で、他のサイトを紹介する「案内サイト」的な存在を目指していた。
 
それがある時期から、あらゆる情報を自社サイト内に抱えるようになり、できるだけユーザーを自社サイト内で巡回させるように努めた。ネット上のほかのサイ
トへの案内窓口ではなく、自社サイト自体が最終目的地であることを目指したのだ。広告ビジネスで収益を上げるには、ユーザーに自社サイト上のページを繰り
返し見てもらうことが有効だからだ。米国でもそのころからポータルは「玄関」ではなく「デスティネーション(最終目的地)」に変わった、という論調が目立
つようになった。
 そのポータルが再び、他のサイトへユーザーを流し始めたわけだ。
 具体的に
は、ニュースサイトなどの情報サイトからコンテンツを提供してもらう一方で、それぞれの提供コンテンツの関連情報としてリンクを掲載することを情報サイト
側に認めたのだ。例えば時事通信の配信記事がヤフー上に表示された場合、その記事の下に関連情報として数個のリンクが表示されている。そのうちの一つをク
リックすれば、ユーザーはヤフーから離れて、時事ドットコム上の記事にアクセスする仕組みになっている。時事ドットコムのようなサイトにとっては、ヤフー
から膨大なアクセスが流れてくるわけで、非常にありがたい話だ。しかし、ヤフーにとっては、ユーザーを他社サイトにみすみす逃がすことになる。
 なぜそのような戦略転換に出たのか。

▼メディア企業から広告企業になったヤフー

 それはユーザーを流した先の情報サイトにヤフーが広告を配信する契約を結んでいるからだ。そして広告配信料としてヤフーにも広告料金の一部が入る。ヤフーはメディア会社でありながら、広告配信会社でもあるわけだ。
 
ヤフー・ジャパンが、こうした広告配信業務を始めたのは、2006年のこと。最初はITmedia、Impress
Watchと始まったこの業務は、2007年10月には産経イザ!、毎日jpなども参加し、24サイトになっている。こうした友好サイトをヤフーは、
「Yahoo!メディアネットワーク」のパートナーと呼ぶが、パートナーはもちろん今後も増やしていく方針だ。
 パートナー
サイトにとってヤフーの広告配信を受けるメリットは、関連リンクでヤフーから流れてくる膨大なアクセス件数だけではない。配信される広告自体が非常に効果
が高く、広告収入増大につながるというメリットも大きい。広告効果が高いのは、ヤフーが行動ターゲティングという技術を使っているからだ。ヤフーは同技術
を独自に開発し、2006年から本格的に広告配信に応用している。
 行動ターゲティングとは、ユーザーがどのような情報にア
クセスしたかを記録することにより、そのユーザーの属性を把握することだ。そうすることによって、その属性に沿った広告を配信することができる。例えば、
あるユーザーが自動車に関する情報にアクセスすれば自動車に関心のあるユーザーということが分かる、ということだ。そのユーザーが子育ての情報や中学受験
の情報にアクセスしていれば、子供が成長し、より大きな車への買い替えを検討している可能性がある。そのユーザーに向けてワゴン車の広告を打てば、効果が
高いのは当然だろう。
 ヤフーの強みは、非常に多くのユーザーと非常に多くの情報を抱えていることである。この強みを活か
し、ユーザーのヤフー内での行動履歴という個人的な情報から、ユーザーを900ものユーザーカテゴリーに分類している。しかも2007年7月からは、ヤ
フーが持つ属性情報と組み合わせることによって、より細かなセグメント化が可能になっている。例えば、コスメ情報にアクセスしたユーザーのうち、ヤフー
IDの登録情報から20代の女性だけを抜き出して、20代向けコスメの広告を打てる。あるいは、マンション情報にアクセスしたユーザーのうち、ID登録の
際に入力されている郵便番号や利用しているパソコンからのインターネット上の住所(IPアドレス)などの情報を組み合わせることにより、新築マンション購
入意欲のある大阪在住のユーザーを特定することも可能だ。
 属性を特定したこれらのユーザーがパートナーサイトに飛んだとしても、そのパートナーサイト上で、20代女性向けのコスメの広告や、大阪近郊の新築マンションの広告を表示することができる。当然、広告効果は高く、パートナーサイトの広告売上も向上するわけだ。
 こうしたターゲットされた広告だけではなく、ヤフーはヤフーIDや、オンライン決済サービスのヤフー・ウォレットなどのサービスも、パートナーサイトに公開していく方針だ。
 
パートナーサイトは、ヤフーIDやウォレットを自社サイトで利用可能にすれば、自社でID登録機能や決済機能を設置する必要がなくなる。そしてなりより
も、ユーザーの個人情報を抱える必要がなくなるわけだ。個人情報の流出がスキャンダルとして大きく報道される時代である。できれば個人的な情報を持ちたく
ない、恐くて持てない、というサイトが増えている。自分たちだけではその情報を利用してターゲット広告を打てないのであれば、なおさらである。ヤフーは、
そうしたサイトに変わって個人的な情報を管理し、個人的な情報に基づいてターゲットされた広告を配信していくわけだ。

▼eプラットホームの実態

 わたしが何年か前に考えた、これからのマスメディアの基幹業務をヤフーが担い始めたわけだ。グーグルも同様に、検索キーワードなどの情報に基づいてユーザー属性を把握して、属性に合った広告を表示しているし、他社のサイトやブログにまで広告を配信している。

 
つまりこれからの時代のオンラインのマスメディアとは、行動履歴のような個人的な情報を管理し、その属性にあった広告を他社に配信するメディア企業のこと
を指すようになるのではなかろうか。マスメディアの基幹業務は、個人的情報管理業と広告配信業になるわけだ。その2つの業務を提供する企業だけが、これか
らのオンラインのマスメディアであり、それ以外のメディア企業は、ターゲットメディア、ミドルメディア、ニッチメディアと呼ばれるようになると思う。

 
なぜなら個人的情報管理業と広告配信業で、収益を上げることができるのは、非常に多くのユーザーにリーチし、非常に多くの情報を扱うメディア企業だけだか
らだ。また逆に言えば、多くのユーザーと情報を持つマスメディア企業のビジネスモデルは、個人的な情報の管理業と広告配信業が最も有望だからだ。

 日本では今のところオンラインのマスメディア企業への道を歩み始めたのは、ヤフー、グーグルだけ。ただmixiもその方向に動く気配を見せている。
 
日本のマイクロソフトは、MSNを優良コンテンツを集めたサイトにする考え。ミドルメディアを指向しているわけだ。ただ米国マイクロソフトは、個人的な情
報の管理業務、広告配信業務に乗り出した。米国からの指示で日本のマイクロソフトもオンラインマスメディアへの道に進む可能性は高い。
 日本でヤフージャパンが有力プレーヤーであり続けるであろう3つ目の理由は、ヤフージャパンが日本企業であるということ。ソフトバンクの連結子会社であるということだ
このことはあとで詳述したいと思う。

序章 経済リワイヤリング-ボツにした未完成原稿vol.0
IBMが読む広告の未来-ボツにした未完成原稿からvol1
分断される消費者の関心-ボツにした未完成原稿vol.2
メディア消費の過渡期と3層並存論-ボツにした未完成原稿vol.3
テレビCM崩壊は日本でも起こるのだろうか-ボツにした未完成原稿vol.4
ニコニコ動画に見る日本のクリエイティビティの実力-ボツにした未完成原稿vol.5
アマチュア作品はプロに勝てるのか-ボツにした未完成原稿vol.6
オンデマンドで儲からないのは当たり前-ボツにした未完成原稿vol.7
表現者にとっていい時代になるのか悪い時代になるのか-ボツにした未完成原稿vol.8
セミプロ、アマチュアが作る広告-ボツにした未完成原稿vol.9
消費者が主導権握る広告-ボツにした未完成原稿vol.10
受動的消費者が能動的になるとき-ボツにした未完成原稿vol.11
セカンドライフ内の広告に期待-ボツにした未完成原稿vol.12
広告マーケットプレース-ボツにした未完成原稿vol.13

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Editor In Chief at TechWave.jp
1990年代初頭からソフトからハードまで50以上のスタートアップ立ち上げを国内外で経験。平行して雑誌ライターとして疾走。シリコンバレーでガレージベンチャーに参画後は、国内でネットエイジを筆頭にスタートアップに多数関与。ブログやSNSの国内啓蒙、ソニーの社内イノベーション事業など関与。通信キャリアのニュースポータルの立ち上げ期の編集デスクとして数億PV事業に育てた後、TechWaveにジョイン。世界最大のグローバルIT系メディアであるスペインの「Softonic」の元日本編集長
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