技術系ベンチャーにとって地方が有利?関西の優秀な人材が集まるシルバーエッグ・テクノロジー株式会社【湯川】

Osaka, Startups

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 IT産業は東京に一極集中している産業の1つ。産業が1ヶ所に集積すればするほど、そこでエコシステムが誕生し、さらなる集積につながる。米シリコンバレーはその好例だが、東京もそうしたエコシステムになりつつある。地方自治体の中には「わが県を日本のシリコンバレーに」と頑張っているところもあるが、なかなか成果が出ないのが現状だ。そんな中、大阪で本格的な技術力で勝負するベンチャー企業に出会った。シルバーエッグ・テクノロジー株式会社がそれで、同社によると関西に位置することでかえって優秀な学生を採用することができるのだという。


 シルバーエッグ・テクノロジーは、米国の人工知能関連のベンチャー企業の日本支社長だったトーマス・フォーリーさんが1998年に創業。フォーリーさんによると、日本で創業したのは「ワイフが日本人だから」。妻で同社専務取締役兼COOの西村淳子さんは「『ここにいて』と言って帰らせなかった」と笑う。

 業務内容は、人工知能を使ったレコメンデーションエンジンの開発、提供。ネット上に情報が溢れれば溢れるほど、ユーザーのニーズが多様化すればするほど、レコメンデーションエンジンによる的確な情報を提示する必要がある。同社の技術に対する需要の高まりを受け、これまでに大手ECサイトを中心に130サイト以上に技術を提供しているのだという。

 典型的な技術系ベンチャーなので、競争優位性は技術開発力そのもの。フォーリーさんはもともとデジタル・イクイップメント社 (DEC)人工知能コンサルタント・グループのトップ・エンジニアだったとはいえ、人工知能、レコメンデーションエンジンの技術は急速に進化し続ける領域。そこで京都大学や大阪大学などといった関西の有力大学の技術系大学院を卒業した留学生を雇用し続け、常に2,3人の体制で研究開発を続けている。留学生は何年か同社で働くと自ら起業したり母国へ帰ったりするが、後任が次々と入ってくる状態なのだという。

 「特に留学生にしぼって募集しているわけじゃないんだけど、留学生同士の口コミで知って応募してくるケースがほとんど。技術コンテストで優勝した経験を持つような優秀なエンジニアばかりなんです」と西村さんは言う。

 関西にも同社以外にも技術系企業は多く存在するが、受託開発の企業がほとんど。「学生は夢を語れるIT企業に就職したいと思うんです。夢を語れるIT企業が関西には少な過ぎるんだと思います」と西村さん。関西のハイレベルなエンジニアの就職市場は、完全に買い手市場なのだそうだ。「レベルの高いエンジニアは関西のほうが探しやすい」と西村さんは言う。

 フォーリーさんも「起業家は人と違う考え方、モノの見方をすることが大事。人と違うことをする企業にこそチャンスが訪れる。そう信じているからこそ、関西で事業をしているんです」と語る。関西をベースに日本全国のウェブ企業を相手に業績を伸ばし続けるシルバーエッグ・テクノロジー。今年1月からオランダにも支社を開設。関西という人材豊かな地の利を活かし、世界に向けたさらなる飛躍を目指している。

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蛇足:オレはこう思う

 実はTechWaveのアクセスを解析してみると、読者の9割以上が首都圏の読者だったりする。TechWaveもスタートしてまる3年がたったのでお陰様でそれなりに知名度が出てきたんだけど、地方に行けば比較的大きな都市であっても知名度が限りなくゼロ。ネット産業、IT産業って、やはり東京が中心なんだと思う。

 なので情報格差は、東京と地方では圧倒的といえるほど大きい。常に最先端を走り続けなければならないタイプのIT企業にとって東京に位置しなければ、勝負にもならない。

 しかし一方で業態によっては地方に位置するほうがいいのではないか、と思うことが多い。トップがしっかりとしたビジョンを持ってブレることなく前進しているようなタイプの企業にとっては、ノイズが入ってこない分、地方でやるほうが有利だと思う。情報や人とのつながりが必要なときだけ東京に行く、というやり方のほうが時間を無駄にすることが少ない。流行にも流されないし。

 地方には、そうしたビジョナリー型の企業が多いし、世界で通用するのは、そうした地方の企業だったりする。

 特にシルバーエッグ・テクノロジーのように本格的な研究開発がウリの企業にとっては、人材の買い手市場である地域、有力大学がある地域に拠点を置く戦略ってアリだと思う。

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