「Mobile First」から「Mobile Only」へ。本格参入するAmazonに備える各リテーラー 〜 iMedia Online Retail Summit in オーストラリア レポート

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オーストラリアのゴールドコーストにて、Comexposiumが主催する、iMedia Online Retail Summit(5/1〜3)が行われました。6回目を迎える今回は、参加者約270名と過去最大規模。どのようなコンテンツだったのか、セッション内容だったのかなどについてレポートします。

オーストラリア、ゴールドコーストのSheraton Mirage Resortで開催。リテーラーのみが参加するネットワーキングランチでスタートした。

iMedia Online Retail Summitの概要

日程: 2017年5月1日~3日

参加者: 完全招待制270名(リテーラー関係者120名 – パートナー150名)

会場: Sheraton Mirage Resort @ Gold Coast

ウェブサイト:http://www.imediaconnection.com/summits/apac/2017/2017-may-online-retail-summit-apac/

オンラインリテールのエグゼクティブマネージャークラスと、それをサポートするベンダーなどが参加し、「Moving from Mobile First to Mobile Only」をテーマに、2泊3日にわたって様々なキーノート、プレゼンテーション、ディスカッションなどが行われました。今回で6回目を迎え、参加人数は過去最大クラス。パーティーやレクリエーションなど、参加者とのネットワーキングの機会もふんだんに用意されており、コネクションをつくるのに最適な場となっていました。

「Mobile Only」より先に考えるべきは顧客 〜キーノートプレゼンテーション〜

リテーラーのキーノートには、Kimberly-ClarkとTESCOが登壇。Kimberly-Clarkは、 Global eCommerce のAnthony Long氏が「It’s Just Shopping!」をテーマにスピーチ。スマートフォンの登場により人の行動が大きく変化。いまや、スマホは人の行動そのものであり、その恩恵を最も受けたビジネスの一つがショッピングであると指摘しました。さらにリテーラーにとって、今後大切な4つのキラーエレメントとして「Leadership that “knows how to do this”」「Institutional will」「Money」「People」を挙げ、技術やマーケティングについて十分な知識と情報を得た上で、顧客を理解し、どこに予算と人を集中すべきか、再度アロケーションするべき、と語りました。

Kimberly-Clark Global eCommerce Anthony Long氏。「It’s Just Shopping!」をテーマにスピーチを行った。

TESCOからは、Online Trading Director Eve Henrikson氏が登壇し、同社の20年に渡るECの取り組みについて振り返りつつ最近の事例について述べました。顧客のニーズは、テクノロジーの進化とともに変化しており、これまで顧客ニーズ&導線の変化に対応する形で、オンラインとオフラインの統合、マルチデバイス化を進めた。特にスマートフォンについては、サイトの見せ方に工夫が必要で、そのヒントをパートナーであるユニリーバのDoveやディズニーから得たとのこと。両社とも、商品写真としてスマートフォン用に最適化したものを表示して顧客にわかりやすことを優先していたので、それを参考にビジュアルをよりシンプルにして、モバイルファーストにチェンジしたと話しました。さらに、生活者は何かをしながらマートフォンを操作するという「マルチタスキング化」しているので、それに合わせてソーシャルメディアを活用して関係性を高めることやパーソナライゼーションが必要であると語りました。今後の技術については、Alexaなどに代表される音声によるコミュニケーション&コマースに注目していると話し、スピーチを終えました。

両者とも、Mobile Firstにシフトしなければならない理由は「顧客の行動が変化したから」であり、そこを中心に据えるべきであると主張しました。フォーカスすべきなのは顧客だからこそ、その変化にいち早く気付き、それに対応できる組織の柔軟性が必要なのだと感じました。

TESCO Online Trading Director Eve Henrikson氏。スマートフォンサイトのビジュアルをシンプルにしたと話す。

Amazonに対応するにはコンテキストと顧客との関係性が重要 〜パートナーのプレゼンテーション〜

今年9月にAmazonがオーストラリアに本格参入(購入できるアイテム数の増加や配送の短縮など)することについては、各セッションやネットワーキングの際、常に話題となっていました。例えば、ECのコンサルティングを行う、Placticology のMartin Newman氏は、コマースの歴史を転機となった出来事とともに振り返りつつ、オーストラリアにAmazonが本格参入することが、大きな転機となるインパクトをもたらすと語った上で、それに対抗するにはモバイルの活用が必須であると述べました。特に、Push notificationができることの重要性に触れており、「Push notification にはアプリの活用が有効だが、その分顧客との関係性を築くのが大変。セール情報ばかり流しても意味がない」と述べました。

ECコンサルを行う、Placticology Martin Newman氏は、モバイルにおいてはPush notificationができることが重要とかたった。

その他のセッションでも、利便性において大きなアドバンテージを持つAmazonに対抗するには、コンテキストに基づいたコンテンツの充実を測り、顧客をファンにするという「関係性を深めること」の重要性に対する指摘が多くありました。前述のKimberly-ClarkのAnthony Long氏は「Amazonが進出してきたとしても、フォーカスするべきなのはあくまで顧客であることは変わらない」とコメント。同様のことは、対Amazonということにかぎらず、日本でも言われていることだと感じました。

テクノロジーの活用については、MicrosoftのPurna Virgo氏が「Re-imaiging Retail」をテーマに登壇。同社の技術によってStore、RealityをRe-imagingするとどうなるかをプレゼンしました。特にVR、ARがリアルストアの体験を変えることや、AI chat botによって、顧客との関係性構築もすでに変化しつつあること、そして音声認識による検索が、ECを変えようとしていことを述べました。業界の今後の可能性については、下記の4点を挙げています。

1. Beacons Push : notifications + discounts

2. Digital signage : Push ads + price changes

3. Smart mirrors : Virtual try-ons

4. Inventory trackers : Monitor stock + trends

ただ、VR、ARの活用については参加者の意見も別れており、「本当にそこまでの体験が店頭で求められているのか?」「技術が先行して話題だけで終わってしまわないか?」などと懐疑的な意見を述べる人もいました。

希望企業とのOne to One にアプリを活用、ネットワーキングを効率化

iMedia Summitの大きな魅力が、参加者同士のネットワーキング。初日に行われた「Business connect meeting」は、リテーラー側が固定席に着き、そこをパートナー側が回るという仕組み。パートナー側は、事前にコミュニケーションしたいブランドとのミーティングをiMediaのスマートフォンアプリ上で予約します。1回のミーティングが10分で、それが12セット行われました。このiMediaのスマーフォンアプリはとても便利で、参加者には個別に4ケタのIDコードが割り振られており、つながりたい相手のコードを打ち込み、相手がそれを承認するだけで「名刺交換」が済むようになっていました。会期中は参加者がみなこのアプリを使ってネットワーキングをしていました。

2日目の夜にプールサイドで行われたディナー&パーティー。会場ではバンドの演奏を聞きながら、食事&ネットワーキングを行いました。Amazon本格参入の話が多く「日本の状況はどうなんだ?」と聞かれることも多数。

そのほかのセッション&まとめ

すべてのセッションに触れることはできませんが、ほかにも「eBay, Google, Amazon、それぞれの特徴と有効活用法」など、外部プラットフォームに対抗するだけでなく、それらをうまく取り入れていくためのTipsなどについても話されていました。iMedia Online Retail Summitに参加して実感したのは、参加者みながチャレンジするべきことは何か、課題は何かを明確にして話をしているということです。ネットワーキングの際もそうした意識が強いため、会話の内容がフォーカスしやすく、お互いの取り組みや考えをシェアしやすいと感じました。

日本でも、5月30日〜6月1日にて「iMedia Commerce Summit」が小田原で行われます。参加者同士が意見を交わし、今後に役立つネットワークを構築できるこのカンファレンスにぜひ参加してみてはいかがでしょうか。

iMedia Commerce Summit: http://imediasummit.jp/commerce-summit/

中澤 圭介

中澤 圭介

iMedia Chairman / Content Manager at Comexposium Japan
1998年西南学院大学卒業後、広告界の専門誌を発行する出版社に入社。セールスプロモーションの専門誌の編集長として長く携わり、取材・編集を通じて企業のデジタルプロモーションの変遷を追ってきた。最近はオムニチャネル、CRM、ECといった分野を中心に情報収集・発信。2016年1月 コムエクスポジアム・ジャパン株式会社入社、iMedia Chairman就任。
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Posted by 中澤 圭介


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