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そしてMacBook Airは僕にとっての神マシンとなった【湯川鶴章】

最初にMacBook Airを購入したのは、確か2009年12月だったと思う。約15年ぶりにMacに戻ったのは、やはりMacBook Airの完璧ともいえる美しいフォルムが理由だった。そのころVaio Xも併用していたのだが、美しさではAirのほうが上だった。いや、正確にはVaioの天板は優れたデザインだったし、おしゃれなノートパソコンだった。でも底は安っぽいプラスチックで、Windowsと書かれたシールが貼られてあった。手に持って歩く場合は、天板を外側にし、ほかの人に底が見えないように気をつけていたものだ。Vaioのおしゃれなデザインを一切気にかけないようなWindowsの無骨なシールが嫌で、すぐにはがしてしまった。

一方のAirは、底面も美しく完璧だった。どこから見ても、美しかった。

なぜ2009年までAirの購入を待ったのかというと、それ以前のAirを購入した友人たちから「熱がこもる」問題の話を聞いていたからだ。mid-2009のAirは、友人たちの以前のAirのような大きな問題はなかったが、それでも夏になるとファンが激しく回り、処理速度が低下することがしばしばあった。そんなときはVaio Xを代わりに使っていた。

その後、mid-2011のMacBook Air を購入した。熱の問題は解決され、すばらしいモバイルノートに変身していた。そう、こんなノートブックパソコンをずっと待っていたんだ、と思った。7時間のバッテリーの持ちは、外で仕事をすることの多い僕にとって十分だった。

そして今回、MacBook Air mid-2013 13インチを購入。このバージョンをもってMacBook Airは、完成形になった。僕にとっての神マシンとなった。心からそう思う。

データ移行アシスタントと呼ばれるプログラムを使って、mid-2011からmid-2013へのデータ移行に数時間かかったのだが、その間、mid-2011は熱くなりファンが周り始めたものの、mid-2013は底を触ると若干熱を感じる程度。ファンは回らなかった。

Airを開くと立ち上がりは、本当に瞬時。Appleのサイトには「一瞬で動き出します」と書かれてあるが、mid-2011では、動き出すには1テンポ、2テンポかかることもあった。mid-2013は本当に一瞬で動き出す。

職業柄、僕が最も重視するのが、この一瞬で動き出すというところだ。ふとした拍子に文章のアイデアが浮かぶ。それをすぐに書き留めたい。立ち上がりは一瞬でなければだめなのだ。数秒かかればアイデアが途切れてしまうし、数分かかれば執筆意欲までなくなってしまう。

紙にメモするよりも早く、自分の考えを書き留められる。こういうパソコンを待ち望んでいたのだ。

そしてmid-2013の最大の改良点は、12時間持続するバッテリーである。もちろん使い方によっては、12時間も持続しないわけだけど、それでも僕のような原稿執筆、ウェブ閲覧程度の使い方なら、十分過ぎるぐらい十分である。出かけるときに電源ケーブルを持ち歩かなくなった。充電は、夜寝ている間だけ。MacBook Airは、完全にワイヤレス、完全に電源ケーブルレスのノートパソコンになった。

ノートブックパソコンは、完全にワイヤレス、完全にケーブルレスであるべきだと思う。15年待って、初めて自分が望む完璧な形のノートブックパソコンが登場したのだと思う。

もちろんそれは僕にとって、という話。開発する人にはMacBook Proがいいだろうし、カバンの大きさに影響される女性にとってはAirの11インチのほうがいいだろう。原稿を執筆しないでWebサーフィンが主な用途なら、iPadで十分だろう。

しかしブラウザのタブを常時10個以上開き、できるだけ早く原稿をタイピングしないといけない僕のような職業の人にとって、MacBook Air13インチは神マシンだと思う。

今回のバージョンにはretinaディスプレイが搭載されなかったから、マイナーなバージョンアップととらえる人もいる。でも大きな改良点があるバージョンアップには不具合がある可能性がある。今回のようなマイナーな改良時こそ、製品が完璧ともいえる領域に達するときであり、買い時なのだと思う。

著者プロフィール:湯川鶴章
作家、元TechWave編集長。現在、自分探し中。5年ぶりに自分の専門領域である未来予測に関する本を書きました。7/1発売予定です。
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