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世界最大級のテクノロジーカンファレンス「ウェブサミット」初参加者目線からみるまとめレポート:その1

今回2019年11月4日~7日までリスボンで開催された、ウェブサミット2019の概要を初参加者の目線からご報告します。

ウェブサミットは今年で9年目を迎える、欧州で最大級のテクノロジーが起こすイノベーションにフォーカスしたカンファレンスです。当初はアイルランドのダブリンで開催されていたのですが、2016年からポルトガル・リスボンに拠点を移動。次期Uber/Airbnbを狙っている起業家が各国から集まっているということもあり、世界各国からの注目を浴びているイベントです。実際にイベントのチケットは会期前に売切れという他では見受けられない人気ぶりでした。今年は昨年を越えて7万人以上の来場者、2,200社以上の参加を記録する程の熱気があり、Geeks(エンジニア集団の俗語)のためのオリンピックと呼ばれることも。それだけの人気の裏には人々を魅了する仕掛けがなされていました。

ウェブサミットの影響は空港や交通機関にまで

主催者であるパディ・コズグレイブ氏も説明している通り、この大規模なカンファレンスの成功には、ポルトガル政府が国を挙げて行うサポートが欠かせません。まずはじめに、空港について入国審査を通るときにはこのようにウェブサミットのロゴがお出迎え。国が力を入れて盛り上げようとしている証拠ですね。

無事入国し、空港の扉を出るとすぐ右手に白いテントとウェブサミットのTシャツを着たボランティアの人達がまたもやお出迎えしてくれています。ボランティアの皆さんは英語が堪能で、会期中に言語で困ることは一度もありませんでした。

こちらのテントではウェブサミットのパスを発券することができ、会場での混雑を回避することが出来ます。ネットで購入した際にメールにて連絡があったウェブサミット専用アプリをダウンロード及びユーザー登録という簡単な事前準備をするだけで発券可能となっています。(下のQRコードを見せるだけでOK)

リストバンドと首掛けパスの2点セットは入場の際に必須アイテムとなり、会期中どこに行くにも本人確認として使用されます。(リストバンドは布製となっており、取り外しができないようになっています)警察が本カンファレンスの警備を担っているため、会場に入るまでに3回以上のパスのチェックや厳しい荷物チェックなどがいたるところで施されていたのはとても印象的でした。

テントの横には市内の交通機関の乗り放題パスも購入できるようになっています。交通機関の施設内では、参加者がどの駅で乗降するべきかシール等で引率しているため、リスボンに初めての訪問且つポルトガル語が分からなくてもストレスなく動き回れるのでとても便利でした。空港の設備や警備体制を含め、民間企業が開催するイベントとは思えない程、街全体で大規模に繰り広げられていました。

[地下鉄の地図]

会場内では専用アプリが大活躍

先程お伝えした専用アプリには様々な機能がついており、特に役立つ機能は以下の3つでした。

・講演スケジュール
・参加者のプロフィール及び参加者同士のチャット
・会場マップ

約2,000社による展示および1,000人以上のスピーカー講演、と文字だけみると途方に暮れそうになりますが、この専用アプリがあれば問題ありません。このアプリでは、すべての講演リストが掲載されており、事前に参加したい講演の選択し、一日のスケジュールのカスタマイズし、把握することが可能。また、興味のある会社があればアプリ上で検索し、より詳しい情報を得る事も出来ます。

それぞれのリストをクリックすると、各講演の登壇者のプロフィールや講演内容及び場所などの必要情報が記載されているため、迷うことなく参加することができます。但し、参加者が多いことから、予想以上に講演ブースはいつも満席で立ち見しながら聴講することも多々ありました。

[例]

 

このアプリのもう一つの特徴として、参加者全員に対して個人メッセージを送ることができます。勿論確実に返信がある訳ではありませんが、聴講した登壇者に対してのコメントや質問などを送ることができ、情報交換がしたい相手がいる場合は直接チャット(右上写真にあるアイコンをクリック)で連絡を取ることも可能です。私もステージでピッチされていた方にメッセージを送り、直接お会いすることができました。

ブースなどをただ観覧するだけなく、主体的に情報を得ることができるシステムが整っている為、他のカンファレンスと違って短い時間であってもとても充実した時間を過ごせました。また、施設内ではWiFi設備も整っており、館内表示は全て英語で記載されているため、外国訪問者にも優しい仕様になっているのも特徴的です。

この人気を踏まえて、今ではヨーロッパのみならず、欧米(トロント:Collison)やアジア圏(香港:RISE)でも開催されています。いきなりポルトガルまで足を運ぶのは気が引ける、という方はRISEが来年3月に開催される予定ですので、最新のテクノロジーカンファレンスの一部を体験してみるのはいかがでしょうか?

まとめ

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国の協力も得ている国際的テックカンファレンスでは、安心して参加者との交流ができ、情報の共有が徹底されているため、自主性をもって積極的に参加することができる、新感覚のイベントでした。テックカンファレンスだからこそアプリやドローンなどを利用して情報発信をする、という当たり前のようで前例がない新しいイベントの形を経験できるでしょう。

レポータープロフィール


田村 理紗(たむら りさ)
カリフォルニア州立大学バークレー校にてメディア学を専攻し、卒業後から現在まで
総合不動産デベロッパーにてコワーキング施設の営業や運営、開発などを担当している。

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