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近年、ベラルーシは、優秀で廉価なソフトウェア開発のアウトソーシング先として注目を集めている。GoogleやFacebook等の名だたる米国企業がプロジェクトをアウトソースしていることで、日本でも少しずつ知られ始めている。
この高い技術力の輸出をリードしているのが、ハイテクパーク・ベラルーシ(以下、HTP)というソフトウェア開発支援機構だ。IT立国を掲げるベラルーシ政府は、2005年の「ソフトウェア産業の開発に関する特別法」の制定をきっかけに、ベラルーシにおけるICT分野の成長を促すべく、ビジネス環境と税制の優遇措置を施してきた。2006年のHTP設立はその目玉といえる。
ベラルーシ発、全世界のディスプレイへ
HTPは首都ミンスクの中心部と空港のちょうど中間地点にある。パーク、と言っても実際にはバーチャルなプロジェクトなので、2015年3月の訪問時、この場所にはHTP事務局と数社のオフィスがあるのみだった。これまで137社が登録しており、楽天が買収したメッセンジャーアプリViberや、全世界で数千万人のユーザーを持つゲームWargaming.net、ユニークな天気予報アプリが人気のApalonなどが、主な成功例としてあげられる。
中でも目を引くのは、2012年にニューヨーク証券取引所で上場を果たしたソフトウェア受託開発会社 epam だ。上場時点のマーケットキャップは30億ドル。ベラルーシ出身の創業者アルカディ・ドブキン氏は単身渡米し、1993年に同社を設立したが、今でも開発の中心はミンスクに置いている。
MISSION IMPOSSIBLE を POSSIBLE にするならベラルーシ
「複雑なプロジェクトはアメリカへ、大規模なチームを求めるならインドへ、Mission ImpossibleなものをPossibleにするならベラルーシですよ」
HTP理事のアレクサンダー・マルティンケビッチ氏は、ベラルーシの技術力の高さについて、こう一言でまとめた。
「実はソ連時代から、連邦内のソフトウェア開発の60%はベラルーシで行われていたんですよ。ソビエト連邦からの独立後、ベラルーシ市場の小ささから海外志向が強くなり、今では90%以上の参加企業がグローバルな製品作りを進めています。<epam>のようなアウトソースに特化した会社もありますが、そのノウハウをプロジェクト内で共有することで、現在は設計段階から自分たちで行い、世界で戦えるようになりつつあります。」
―技術力とコスト・パフォーマンスの高さが原動力なのですね。
「実はHTPに登録している会社の半数は、ベラルーシ国外の資本によるものです。25%が完全な外国資本、また35%がジョイント・ベンチャーなんです。これはエンジニアの質と人件費の安さだけでなく、免税などの優遇措置にも起因していると考えます」
―エンジニアたちは、ベラルーシ国内で技術を習得するのでしょうか。
「ベラルーシでは毎年、約16,000人の技術者が大学を卒業しますが、彼らのほとんどは国内でプログラミング技術と英語を学びます。この2つは大学機関が最も力を入れているポイントですので、HTPも協力しています。最近は、HTPだけでなく民間のスタートアップやイベントスペースでのハッカソンも増えてきました。」
―日本人の訪問や、日系企業からの問い合わせは増えていますか。
「楽天によるViberの買収以降、徐々に増えていますね。日系企業というか、東京の本社からも来られるようになり、うれしい限りです。ただ、ビザの手続きが煩雑なのが大変申し訳ない。将来的には緩和なども政府に働きかけたいです。そのために、日本のみなさんが関わるプロジェクト数が増えるよう期待しています」
【関連URL】
HTP Belarus (英語) http://www.park.by/
Special thanks to Dr. Valery Tsepkalo, Mr. Alexander Martinkevich and Ms. Janina Łaszkiewicz