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草の根無線LANのFONは成功するか

 自宅など自分の無線LANを開放しだれでも自由に使えるようにすることで、ほかの人の無線LANも同様に利用できるという草の根無線LANネットワーク「FON」が注目を集めている。
 これまでにも Wibiki、UnitedWiFi、ShareMyWifiなど同様の試みがあったが、FONは昨年11月のスタートからわずか半年足らずで本拠地のスペインで4000人、米国で5000人が参加するなど急成長を続けていることで注目を集めている。(米ビジネスウィーク誌、英文、会員限定
 FONは一切、広告や宣伝を行っていない。あくまでもネット上の口コミに頼っている。ただ口コミで情報が広く伝播するように、有力ブロガーをアドバイザリーボードに迎えるとともに、株式を与えている。
 注目を集めている1つの理由は、グーグルやスカイプ、それにスイスのベンチャーキャピタルのインデックス社、シリコンバレーの著名ベンチャーキャピタルのセコイアキャピタルなどが2月に総額2170万ドルを出資したから。
 セコイアといえば、米ヤフーがまだ創業者二人とコンピューター2台の時代に出資し、育て上げたことで有名。シリコンバレーの目利きが認めたビジネスだから有望なのではないか、という見方が広がっているのだろう。
 自分の無線LANの開放の仕方は2種類。「ライナス」と「ビル」。「ライナス」はだれにでも無料で無線LANを使用させてあげる代わりに、ほかの「ライナス」の人の無線LANを自分自身無料で利用できる。「ビル」は1日の使用料2ドル(もしくは2ユーロ)を支払った人に対して無線LANの使用を認める。その代わり自分がほかの「ビル」の無線LANを使用する際には同額を支払わなければならない。「ライナス」はリナックスを開発したライナス・トーバルスの名前を、「ビル」はビル・ゲイツの名前を由来にしているのは明らか。
 FONのサイトからプログラムをダウンロードしてルーターに搭載するだけでいいそうだ。欧米では、FONのプログラムがプリインストールされたルーターも販売されているという。
 ビジネスモデルは、「ビル」会員同士でやりとりする使用料や、自分の無線LANを持たない一般ユーザーからの使用料の一部を受け取るというものらしい。

internet.comによると、

2010年までに会員が提供する Wi-Fi 接続 (ある種の Wi-Fi ホットスポット) の数を、世界100万か所に増やしたい考えだ。

 なかなかよさげなアイデアだけど、幾つか問題点があるようだ。
Rauru BlogによるとFONが普及すればインターネットの基幹網の通信量が大幅に増えて交通渋滞を起こす可能性があるという。
以下、internet.com からの引用

1つ障害になりかねないのは、FON 会員が用いている ISP の接続サービス利用契約条件だ。一般的な利用条件では、契約者が Wi-Fi などの無線接続技術によって、接続サービスを共有することはできない。

調査会社 JupiterResearch のブロードバンド担当アナリスト Joe Laszlo 氏は、「FON は完全に ISP の善意に依存している」と述べた。同氏によれば、たとえ FON が売上の多くを ISP に分配するとしても、「おそらくほとんどの ISP は、そうした方法で売上を得ることに関心を抱かない」という。
「米国内において、これはかなり不確実なビジネスモデルだ。FON は複数の重大な問題に直面している」と Laszlo 氏は述べた。

 それにサンフランシスコやフィラデルフィア、上海などは、自治体が市全域で利用可能な無線LANのインフラ整備を進めているとも聞く。
 日本ではまだ展開されていないようだけど、伊藤譲一さんが支援者に名前を連ねているので、いずれ伊藤さん周辺の会社などから活動が始まるのだろうと思う。

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