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フィードがグーグルの世界制覇を阻止する

 小川浩さんの近著「フィードがグーグルの世界制覇を阻止する―ウェブからリアルへの逆流が始まった」を読んでます。まだ読み終わってないんだけど、感じたことをメモしながら読み進もうと思う。
 「グーグル脅威論」があまりに強くなりすぎたので、反対に「グーグルもまだ入ってきていない領域がある」という感じで反論しているのが、僕の「爆発するソーシャルメディア セカンドライフからモバゲータウンまで グーグルを超えるウェブの新潮流 [ソフトバンク新書]」(ソフトバンク新書)であり、小川さんのこの本でもある。僕は、「現在のグーグル検索エンジンはクローズドなソーシャルメディアの中には入ってこれないし、ケータイの領域ではそれほど強くない」と指摘し、小川さんは「フィードはグーグルにとっては非常に検索しづらいトラフィックである」と主張する。
 まあ今後の展開の予測としては、小川さんも僕も似たり寄ったり。「これからはソーシャルメディアの時代だ」「これからはフィードの時代だ」という一見異なる予測は、実は同じ予想図を違う断面で切り取っているだけに過ぎないのだと思う。

 ただ僕の本と比べての大きな違いは、小川さんがウェブをこれからも情報収集の主流ツールである、という観点から本を書いているところ。これは佐々木俊尚さんの一連の本も同じ。
 いえ、決してそれが間違っていると言ってるわけではありません。その通りこれからも主要情報収集ツールであり続けるでしょう。そしてその観点でウェブを語ることも、今まで通り重要だろう。
 僕はただ、情報収集に前向きな働き盛りのビジネスマンの視点も大事だが、それ以上に「表現し、評価され、集う」ためのツールとしてもインターネットの利用がさらに進むのだと主張しているわけです。効率よく情報収集する人のためのネットでもあるが、効率なんてクソくらえ、ゆるーく楽しくやりた~い、という人のためのネットという側面が急拡大しているのではないか、と思うわけであります。
 まあ、真面目なお2人と、ふざけた湯川という性格的な違いもあるのかもしれませんが(笑)。
 まだ全部読んでいないのに、もう書評を書いてしまいました(汗)。

追記:「ブログやSNSはフィードに置き換わっていく可能性が高い」P147
ほんとにそうだろうか。確かに情報感度の高い人は、RSSリーダーを使っているけど、世間一般にはRSSリーダーの利用率はまだまだ少ない。RSSリーダーやマイページがもっと普及しない限り、ブログ、SNSがフィードに置き換わる可能性は低いように思うが・・・。小川さん、コメント欄に反論ちょうだい。

追記:この本には小川さんの「フィードでやったるでー!!」感が満ち満ちていて、自信たっぷりの断言が読んでいて気持ちいい。でもところどころ「ほんまにそうなるんかいな」という読後感があるのも、まあ事実。

追記:小川さんからの返事が来た!その一部を以下にコピペ。

「RSSリーダーやマイページがもっと普及しない限り、ブログ、SNSがフィードに置き換わる可能性は低いように思うが・・・。小川さん、コメント欄に反論ちょうだい。」とあるので、アンサリングしてみる(笑)。しかもFeedで。
僕自身はFeedリーダーとか、Feed検索というようなサービスが世に広がっていくということを言っているのではなく、RSS/AtomのようなXMLベース、時間情報を持ちセマンティックなデータ記述方式による言語が作るトラフィックをフィード、と呼んでいる。

従って、現時点でのBlogやSNSのように、HTML、あるいはXHTMLベースのトラフィックのうち、相当量をFeedが
奪っていく、とは思っている。ただしそれは、アプリの形をしているものではない。インターネットが、ゴーファやFTPなどからWebに移ったように、
Webもまた、ある部分はFeed にとってかわられるところがある、と考えている。全部置き換わると言っているわけではなく、WebよりFeed
が優れているところはFeed が使われるようになる、そういうバランスの取り方をしていく、と思っている。

なるほどで、サービスの話をしてるんじゃなくて、記述形式の話をしてるんだね。そういう意味では確かに、これからはフィードの時代になる、というのは納得。

 

また、セカンドライフに代表される、ネット上のコミュニティで楽しむことを否定はしないし、今後もさまざまな形でそれらは存在すると思う
が、僕自身はあまり興味がない。実際にひとと話し、表情をみて、体全体から感じる質感を大事にしたいし、それを楽しんでいる。セカンドライフの中でスー
パーカーに乗るより、リアルな世界で軽自動車に乗る方がまだ愉快だ。少なくとも僕は。

その意味で、僕はネットをリアルに活かすためのより良い手段を提供することを仕事にしたいと思っている。

これも自分の志向、立ち位置をはっきりしていて、いいのではなかろうかと思います。

 

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