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「君を幸せにする会社」天野敦之著

 いつも読んでいるITやビジネス系の本とはちょっと趣の異なる本を読んだ。「君を幸せにする会社
」。
 経営が傾いたリゾートホテルの二代目社長のクマ太郎が、何のために働いているのか、生きているのかという真理を追究する物語になっている。
 その真理とは、

 「クマ太郎の物語?感謝の気持ちを持つ?なんだその陳腐な内容は」と思われるかもしれない。わたし自身も一線の新聞記者としてスクープ合戦に明け暮れていた10年前ならそう思ったことだろう。今でも「感謝が大事?そんなこと分かっているよ」という気持ちがないでもない。
 でも頭で分かっているつもりでも、「今現在自分が幸福感に満ち溢れ、周りに愛情がこぼれ落ちる状態か」というと、そうでもない。自分の今後のキャリアに対する不安、老いに対する不安もあるし、生まれてからこの社会で叩き込まれてきた「他人と比較、競争するクセ」も残っている。それらが原因となって、幸福感に満ち溢れているわけでもない。クマ太郎の心境に達するには、どうすればいいのだろうか。しばらく考えてみたい。

 この本のことを評価する文章を書きたいのだが、うまく書けない。無理に書こうとすれば、多分うわべだけの美辞麗句を並べるだけの文章になりそうな気がする。それは恐らく自分がまだ悩み続けているからなんだろう。
 ただ一言。この本をいつも自分の近くに置いておきたいと思う。この一言で、わたしがこの本をどれだけ評価しているのかを理解していただきたいと思う。
 今、競争社会の真っ只中でエネルギッシュに戦っている人でも、ふと我に帰りむなしさを感じる瞬間があると思う。そのときは、この本のことを思い出していただきたい。

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