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21世紀、日本はどのレイヤーで戦うべきか

 

別の言い方をすれば、日本企業はどの分野で世界に貢献すべきか、どのような価値を創造していくことが世界的に見て意義のあることなのだろうか。
 20世紀後半には、電機、自動車メーカーが価値を創造し、世界がその価値を認め評価した。世界に向けて価値を提供できた見返りとして、国内市場も豊かになった。
 派遣切りなど今日の経済的、社会的問題の多くは、日本が世界を豊かにする価値を再び創造することで、解決の糸口が見つけやすくなるだろう。
 工業化社会から情報化社会への移行期である今日において、日本が力を入れるべき分野とは何なのだろう。日本はどのような価値を創造すべきなのか。
 次の本の方向性を決める上で、こんなことばかり最近は考えている。
 最も変化が早く、しかも知的資産の投入が重要な分野こそ、先進国が集中すべき分野であるとすれば、日本が注力すべき分野はやはりデジタル情報産業であるということになる。
 そのデジタル情報産業の中で、最も知的資産の投入が重要な部分、最も変化の激しい部分、最も大きな価値を創造できる部分はどこなのか。
 インターネットの技術革新がPCを中心としたものから、モバイルやデジタルサイネージを中心としたアプリケーションに移行していることを考えても、モバイルアプリケーションの領域で日本が最も先行していることを考えても、日本が注力すべき領域はモバイルなのだろうと思う。
 パソコン業界の主戦場が、ハードからOSに移り、ブラウザに移ってから、ネット上のサービスに移り、広告やマーケティング技術に移った。同じようなことがモバイルの領域でも起こるのだろうか。モバイルの領域でも端末部分、ハードの部分は、既に主戦場ではない。モバイルOSの領域は、グーグルがアンドロイドを投入したことで、戦場ではなくなった。グーグルは戦場を、もう1つ上のレイヤー、つまりサービス、広告、マーケティング技術の領域に移行させようとしている。
 「インフラ部分で戦う」と明言していていたソフトバンクの孫正義氏は、これを受けてサービス、広告、マーケティング技術の領域を主戦場として戦略の練り直すを考えているのだろうか。
 日本のモバイル領域のサービス、広告、マーケティング、ターゲティング技術の会社は、世界展開をどのように見ているのだろうか。
 中国、韓国のインターネット、モバイル企業は、どのような動きに出るのだろうか。
 こういったことをこれからの取材の中で明かにしていきたいと考えている。

追記:どのレイヤーで戦うかというと、時代は水平モデルの時代に入ったのか、ということになるけど、実はモバイルが水平モデルの時代に入ったのかどうかということさえも判断できていない。
新しい時代を切り開いていく段階では、垂直統合のモデルが有利だけど、時代が熟してくれば水平モデルに移行する。パソコンは最初は、ハードからOSまでを1社が1つのコンセプトで開発するのが有利だったけど、餅屋は餅屋でいきましょうということになってハードはIBM互換機、OSはマイクロソフトというように水平モデルに移行した。ハードの上のレイヤーであるOSを1社で押さえたのでマイクロソフトは覇権を握った。水平モデルに移行したおかげで価格が低下したので、企業はウインテルパソコンを導入していった。でもクリエイター向けなどスペックの高いパソコンが必要な業種では、マックのような垂直モデルのパソコンのほうが有利であり続けた。
日本のケータイはキャリア主導の垂直モデルで来たので、世界一性能が高くなったんだけど、機能拡充もそろそろひと段落ついたので、そろそろ水平に移行しましょうよ、ということで総務省が中心になってオープン化を進めているんだろう。そのほうがイノベーションが起きやすいのではないか、ということだ。
問題は機能拡充がひと段落ついたかどうか。そこが実は自分の中でまだ結論が出ていない。もっともっと機能拡充があるんじゃないか。例えば先日のエントリーのようなサウンドコードとか、まだまだいろんな機能が搭載できるんではないだろうか。
そうなると、垂直モデルでやっていくほうが新しいサービス、機能を搭載したり、イノベーションが起りやすいのではないか。うーん、よく分からない。

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