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この時期に初心者向け「ネット広告ハンドブック」を出す意味

 ネット広告大手のデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC)からネット広告ハンドブック
という本が贈られてきた。本の中の「はじめに」を、著者を代表してDACの徳久昭彦さんが「本書が、次の世代を担う方々が新たな広告手法を生み出すきっかけとなれば幸いです」と書いている。徳久さんは拙著爆発するソーシャルメディア
の中にも、僕と中華料理をつついた仲として登場してくれている(笑)が、この分野で日本で最先端の情報を持っている専門家の一人だ。
 日本でも最先端の人物が書いている本だから、さぞ難しいことが書いてあるんだろうと思ってペラペラめくってみると、部外者の僕にでも非常に分かりやすく書いてある。「どうしてこの時期にこのような初心者向けとも言える本を出したのだろう」とクビを傾げた。

 で思ったんだけど、この時期だからこそ、こうした本に対するニーズが高まっているんだろうな。最近でも広告主企業の人たちと話す機会が多いのだけど、新年度からマス広告費が削減されるという話を耳にすることが増えてきた。その代わりにネット広告を試してみたいという人が多い。
 今まではネット広告は専門的過ぎるためネット広告専門の代理店に丸投げしている広告主企業が多かったようだが、どうやらそうも言ってられない状況らしい。社内にネット広告の専門家を育成しようという動きが出てきた、という話が聞こえてくるるようになった。
 この本は、そうした広告主企業内でネット広告担当になった人たちが読んで、ちょうどいいレベルの話になっている。
 やっぱりそれくらい大変な時期に差しかかっているんだろうな、としみじみと思う。新年度からのメディア不況は、今年度下期の比ではないのだろう。新しい時代を切り開く人々の支援をライフワークにしたいと思いながらも、古い時代に属する業種に今でも身を置く自分にとって、いよいよもって複雑な状況になってきた。
 ネットは新聞を殺すのか-変貌するマスメディア
という本を出してから5年。自分の鳴らした警鐘は、いったいだれに届いたのだろうか。

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