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シリウステクノロジーズ 取材メモ

以前からお話を聞きたいと思っていたのだが、ようやく実現。以下は取材メモ。取材メモを基に書いた原稿は、時事ドットコム内の僕のコラムに出しました。まとめ記事アドローカルの記事と、ジオ・メディア・サミットの記事

【取材メモ】
シリウステクノロジーズ
執行役員 アドローカル事業部 三好雅士さん
シリウスラボ  所長 関治之さん

設立2004年 モバイルマーケティングのテクノロジーの企画、構築、サービスの提供
アドローカル ターゲテング広告の1つ。場所でターゲティングする広告
GPS
で場所を特定。GPSを使っている人がまだそう多くないので、例えば「食べログ」のようにユーザーが好きな場所を指定してその場所の周辺の飲食店を探す場
合などは、GPSではなくユーザーが選んだ場所に基く広告を配信する。媒体社から何らかの位置情報を送ってもらい、それに対して広告を返す仕組み。
GPS
の利用者は3キャリアを通して、50%を少し上回ったところぐらいと聞いている。日本のケータイは一億台を超えているので、約5000万台がGPSを搭載
している。あるアンケート調査によると、GPSを実際に使うと答えたユーザーは約20%だった。2000万から3000万

ーGPS情報取得に時間がかかるが、将来的にこの問題は解決されるのか
2つのネック。1つは技術的、測位にかかる時間を短縮する。これは新しい技術の登場で解決されるだろう。
「位置情報を取得してもいいですか」というアラートは「決め」の問題。日本以外では一度聞かれると、その後アラートは出ない。これは総務省と通信キャリアの間、メーカーとの仕様の問題。
技術的な面。クウジットの技術。iPhoneではスカイフックというアメリカの会社が同様のwifiの測位情報とロケーションをひもづけるというデータベー
スを持っている。それがiPhoneでは標準で使われている。まずwifiで測位し、細かい情報をGPSで補正するというハイブリットの形。
最初にアプリケーションを立ち上げたときに1回だけきかれる。バックグラウンドで処理されるので、スムーズに位置情報を取れるということがiPhoneではできている。それに影響されて国内の仕様も多分変わっていくのではないか。
国内ではクージット、国際的には、スマートフォンにはスカイファイヤーのような技術が搭載されるようになるだろう。
ただwifiの電波のないところでは測位できない。
海外のスマートフォン、グローバルケータイと国内ではまた違う進化があるだろう。
国内では、研究レベルですが、例えば日立さんが「屋内GPS」を研究している。それがそろそろ実証実験フェーズに入ったりしている。

ーそれはどんな技術?
屋内に端末を置く。GPSをさらに詳細な仕様、されに拡張したようなもので、電波を発して、それを使って測位する

ー屋内ってどんなところ?
例えば大きなショッピングモールとか。美術館とか。
あと、測位の速度も速くなっていく。今はGPSとケータイの基地局情報を組み合わせて測位している。

ーほかに測位技術はないのか?
さらに研究レベルなら、可視光通信とか。光の中に位置情報を埋めこむ。普通の汎用的な情報通信の手段だが、位置情報を埋めこむことも可能。

ー測位のためにバッテーリーを消費するのでは?
そうですね。GPSは特に電力を消費する。wifiのほうが諸費電力が少ない。

ーアドローカルに戻りますが、広告代理店のような仕事をしているのでしょうか?
2つの役割。1つは広告代理店的な仕事。位置情報をベースにした広告に興味を持つ広告主を集めるという役割を持っている。
一方でそうした広告を集めていきたいという媒体社を集めるという役割もある。その両方を担っている。

ー大きな代理店と一緒にやっていくということはないのか?
現状は、そちらに多く依存している。われわれはまだまだ小さな会社だし、ネット専業のオプトさんやインタースパイヤさんだったり、交通広告を扱っている代理店さんに商材の1つとしてアドローカルを取り扱っていただいている。

ー代理店が取っていないようなロングテールの広告主にはどうアプローチするのか?
現状は、われわれの営業スタッフが直接地域の店舗に直接アプローチしたり、アドローカルのサイトにアクセスしてもらって自分でアカウントを開設し、自分で広告を出稿することができるようになっている。

ーウェブ経由の出稿はいつから?
2007年の春から。アドローカル全体では、アカウント数、広告額などは順調に伸びてきている。ロングテールの広告主からの出稿は、まだ期待したほどは伸びていない。

-課題は?
テールの部分の啓蒙をもっとがんばっていきたい。今は、全国展開している店舗やコンビニ、英会話スクールなどの大手が中心。使ってもらっている企業さんの、広告効果を分かりやすい形でフィードバックできる仕組みを作っていくことが必要かなと思っている。

ー未来展望は?
たくさんの方に使っていただきたい。テールも含めた広告主さんもたくさん、
ユーザーさんも、その両方を広げていきたい。
そのための広告営業を続けていく。一方で、今はモバゲー、食べログなどの人気のサイトに使ってもらっているが、大手ポータルやSNSなどのサイト、キャリアのサービスに標準的にこういう仕組みが整ったりというような形を目指していきたい
もう1つ。同じことが世界でできるのではないか。昨年一月からアメリカシリコンバレーのサニーベールに事務所を置き、アメリカでもアドローカルのような仕組みを既に開発しているんだが、世界展開をしていきたい。

ー技術的にはどのあたりがすごいのか?

索連動広告はキーワードに合わせて出すが、アドローカルは地名との物理的な距離をベースに広告を出す。これは特許を取っている。例えば渋谷から少し離れた
ところ、神泉とかにあるお店の場合、通常の検索連動型広告だと、お店側で「渋谷」とかいうように近くの地名で有名なキーワードを自分で調べて、そこに広告
を出す必要がある。アドローカルだと神泉で広告を打つと、空間的に近い、例えば半径一キロ圏内でケータイを使っている人に広告を表示できる。エリアマーケ
ティングという考え方からは非常に使いやすいというのが特徴。

ー特許はどのような特許?

キーワード広告の場合は、キー
ワードが合致していたり、似たキーワードだと広告が表示される仕組み。アドローカルは、距離が近ければ近いほど広告が出やすくなるという仕組み。あとは重
みづけ。例えば渋谷駅にいて周辺の店舗がいろいろある中で、近い順と、入札された広告単価という要素を考慮して、出す広告を決める。

ーいろいろなデータを持っている企業同士の連携は進んでいるのか?

んでもかんでも自社でしようというより、媒体社は集客に力を入れ、広告は収益化を得意とする他社に任せるという考えは進んできていると思う。アドローカル
も実験的に一部媒体社からユーザー属性などのデータを送ってもらい始めている。それをわれわれのほうで深く分析し、短順に近いということで広告を出すので
はなくて、違うアルゴリズムで出し、その効果を測定したり、ということは、取り組みとして始めている。

ー付け加えたいこと
広告効果の指標を、広告を見てお店にいった、というところにしたい。それをどうやって仕組みで解決するんだろう。きっと電子マネーとの連携とかいうことになっていくのだろうけど、そういうプラットフォームとの接続、連携を進めていきたい。

ジオ・メディア・サミット
ーシリウス・ラボとは

割は社内向けと外向けの2つ。外向けには、ジオメディアを普及させることをミッションにしている。位置情報を使ったアプリケーション、サービスが世の中に
普及するためのサポートをするということ。社内向けにはアドローカルの改良とか、使う技術的なリサーチ、マーケットリサーチとか。

ージオ・メディア・サミットとは
もともとは位置情報好きが集まる飲み会だった。目的はジオメディアを盛り上げようというもの。有志によるオープンな集まり。勉強会とかイベントの開催とか。去年の新年会から。公式なイベントとしてはこれまでに4回開催した。東京で3回、関西で1回。あとは懇親会を数回。

ー前回はむちゃくちゃ盛り上がってましたね。
過去最高でした。

ーどうして盛り上がってきたんでしょう。

つか理由はあるだろうけど、GPSの利用に抵抗感がなくなってきたことが1つある。最初のころは、技術的にGPSが好きだという人たちがすごいマニアック
な話をしていた。会を重ねるごとにいろいろな層の人が参加するようになってきた。ビジネス的に何か展開できそう、と思う人が増えてきた。ケータイ国取り合
戦やコロニーな生活などの先行して地道にやってきた位置情報系サービスのファンも増えてきて、露出も増えてきて裾野が広がっているということもあると思
う。

ーすごくいい感じのイベントになってますね
プレゼンする人も単なる宣伝ではなく、来てくれるひとに何か得るものを持って帰ってもらいたいという思いでやっている。スタッフも当然無償でやっているし、コミュニティという雰囲気があるのかもしれません。

ーこれまでで面白かった技術、サービスにどんなものがあるのか。
クウジットさんのケースとか。2回目のサミットで発表されて、その後、いろいろな企業への導入が決まったりした。そういう企業間の提携とかのきっかになったりするので、よかったなと思ってます。
今波を感じるのは、位置ゲー。ケータイ国取り合戦、コロニーな生活プラス。エンタメのコンテクストの中に位置情報が使われるのは面白いし、楽しい。

ーコロニーの生活ってどんなゲーム
コロプラ使ってるんです。ある場所で取得した位置情報と、別の場所で取得した位置情報の距離がゲームの中で使えるお金になって、そのお金でアイテムを買ったり、シムシティのように街を育てたりしていくゲーム。
ユーザー層の違いも面白い。リアルに動かないとゲームが進展しないので、リアルに動くお金を持っている人しか楽しめない。ユーザーは男性中心ということではなくて、女性ユーザーも多い。
会社の枠を超えて、サービスの共通化がこの場でできてしまうかも。
3つの要素を重要視している。オープン、中立、交流。懇親会がすごい。競合同士が1つのテーブルで技術的にマニアックな議論をしていたりする。その場で話されていたことがほかの場所では口外しないようなすごい密度の高い議論が交わされている。

ー何か追加することありますか。

リウスが自分たちでコンテンツ作りはしていない。あくまでもアドローカルというコンテンツの収益化のエンジンを作っている。広告の事業ってメディアがあっ
て初めて成り立つ。コンテンツが広がらなければ、われわれにも未来はない。メディアが発展し、収益化の技術が発展し、相互に大きくなっていく方向にいけば
いいなと思う。電子マネーとかサイネージとか関連するプラットホームとつながって広がっていけば、もっともっといい場になるのではないでしょうか。
位置情報好き以外の人にもどんどん参加してもらいたい。
シリウスラボとしては、ジオプラットフォームAPIという位置情報関連のAPIをやっていて、GPIを取る仕組みを簡単にできる、というものを持っている。「ケータイで位置情報アプリを作りたいんだけど」という開発者がいればどんどん使っていただきたい。

関さんからの追加情報:インタビュー中で触れた、日立の屋内 GPS システムはこちら。実際の商用施設を利用しての実証実験というのが計画されているはずですが、まだ具体的には始まっていないのかな?ちなみに、このように屋外でも屋内でも位置情報を把握するような技術はシームレス測位と呼ばれていて、IC タグを使ったものなどもあります。

少々古いですが、こちらの資料などが理解しやすいと思います。
可視光通信のくだりには、RFID を使った測位も入れていただいた方が良いかもしれません。RFID の方が普及度は高そうです。(Felica リーダーの設置場所と位置情報をひもづけるような測位方法です)

追記(湯川):最近バタバタしていて追加取材、調査が思うようにできていないけど、お二人からいただいた情報をもとにさらに勉強して、このテーマであと何本か原稿を書こうと考えています。このほかにも情報をお持ちのかたがいらっしゃったら、またいろいろ教えてください。お願いします。

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