サイトアイコン TechWave(テックウェーブ)

実はYouTubeは既に黒字なんだと思う

グーグルCEOシュミット氏が語る5年後のウェブ–大きく変化するインターネット」という記事を読んで。

Googleの最高経営責任者(CEO)であるEric Schmidt氏が調査会社Gartnerのインタビューに答えているもの。さらっと流した記事なんだけど、実は興味深い点が幾つもある。自分が興味を持ったことを中心にいろいろ調べていきたい。

「われわれは、『Youtube』から相当の利益を上げ始めている」。コンテンツは今よりもさらに動画に移行していくだろう。

 YouTubeはグーグルにとって高い買い物だった、というのがこれまでの一般的な見解。YouTube買収は失敗だった、という声も上がっていた。
 でも僕自身、非常に不思議だったのが、赤字ならばなぜ配信を制御しないのか、解像度を落とさないのか、アップロードを制限しないのか、ということ。にこにこ動画みたいに、プレミアム会員制度を設ければいいのに、相変わらず「アップロードじゃんじゃんやってね」、「高解像度のビデオでもいいよ」というスタンス。幾らグーグルでも、変じゃないか。これは実はもう既に儲かってるんじゃないかって、思っていた。
 で、Schmidt氏のこの発言、「相当の利益を上げ始めている」。相当じゃない利益ならもう出てるってことじゃないの。もう既に黒字ということじゃないのか。

 でもまだ一般的には、YouTubeは赤字が続いているという認識のほうが多いみたい。どうやらYouTubeの運営のどの部分をコストとして計上するかによっても見解は異なるようで、YouTube cashes in on one billion weekly viewsという記事の中で、Enders Analysisという調査会社は次のように語っている。

“It is difficult to model out YouTube’s costs accurately, so knowing how close it is to profit is near impossible. However, I think its revenues are growing ahead of expectations and pretty rapidly in a tough advertising market.
YouTubeの運営のどの部分をコストにするのか難しいので、正確なコスト計算や、いつ黒字になるかを推測するのは非常に難しいが、広告市場が厳しい中でも売り上げは予測以上に急速に増加している。

また同調査会社によると、年内には売り上げが4億ドルになる見通し。これは去年の2倍。

Enders Analysis’s head of Internet Ian Maude, predicts that the site will generate $400m (£243m) by the end of this year, which is double his estimates of 2008 turnover.

なので、そう遠くない将来に黒字化するかもしれないって、トーンの記事になっている。

10月16日の決算発表の際の報道「Google on YouTube: We finally got all the pieces in place」という記事でも 「YouTube is on the path to profitability(黒字に向かっている)」という中見出しになっていても、その中の引用文をみれば「now on a trajectory that we’re very pleased with… we actually see a very profitable and good business for us(大変喜ばしい方向に向かっている。非常に収益性の高い事業になりそうだ)」と言っているだけで、いまだに赤字だとは言っていない。

 まあ現在、黒だと赤だと、近い将来に収益性の高い事業になるという見通しでだれも意義がないんなら、どっちでもいいんだけど。
 ただ少し前に関係者と食事をしたときに、「実はYouTubeは既に黒字なんです」と語っていた。なんでもここ1年半ほどで、映像配信技術が急速に進化し、配信コストが大幅に低下しているのだそうだ。
 それにこの映像配信に関する技術って非常にすばらしくて、グーグルの大黒柱でもある検索技術の改良にも大きなプラスの影響を与えているのだそうな。だから「YouTube買収はぜんぜん失敗ではないんです」ということらしい。

 Schmidt氏は次のようにも語っている。

5年以内に、通信速度が100Mbpsを遙かに超えるブロードバンドが登場するだろう。そして、テレビやラジオ、ウェブといった配信方法の違いは消えてなくなるだろう。

YouTubeはお荷物でもなんでもないんだし、今後グーグルがYouTubeを核に、映像ビジネスに力を入れてくることは間違いないと思うよ。

モバイルバージョンを終了