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Huluで内輪揉め=メディアの寄り合い所帯がうまくいかない理由

 YouTubeに対抗するため米の有力テレビ局が集まって設立したオンデマンドビデオサイトHuleで内輪揉めが始まったと米MediaWeekが報じている。

But according to sources, network sales execs, who’ve never been crazy about the idea of another party controlling their content, are increasingly wary of the relationship. They say that Hulu’s sales staff―rather than treating the relationship as a partnership―at times deliberately sells against its network brethren, promising lower CPMs that can end up diluting the value of the entire category.

 もともとHuleの設立には消極的だったテレビ局の営業責任者が怒っているらしい。テレビ局が提案している広告料金よりも安い料金設定をHuluの営業担当者が広告主や広告会社に対して提案しているようだ。

 まあ十分ありえる話だなあ。

 こうしたメディア企業の連合体というのは、日本にもあったりするんだけど、なかなかうまく行かないもの。
 まず設立の動機というのが、新しい技術使ってユーザーに新しい価値を提供するという前向きなものではない。もともとはライバル同士だった社の前に共通の敵が現れたので急きょ共同戦線を組んだというのが、本当のところ。つまり共通の敵はいなくなったり、相対的に力が弱まると、共同戦線を組む意義も薄れる。成り立ち経緯からして、こういう結果なることは避けられない。
 唯一結束を維持する可能性のあるシナリオとしては、中の人たちが出身母体よりも新しい寄り合い所帯に重心を置くようになった場合だ。
 しかし事業規模では今だに比較にならないくらいに従来型メディア事業のほうが大きい。この先オンライン事業が急成長することはありえないだろうし、従来型メディア事業がゆっくりと縮小していく中で、寄り合い所帯の売り上げが母体の売り上げを合わせたものより大きくなるのはかなり先の話。そのころには、競合社との戦いは決着がついていることになるだろう。
 顧客に新しい価値を提供するという前向きの事業でないかぎり、付け焼刃の寄り合い所帯というのは成功するのがなかなか大変だと思う。船頭ばかりの船になっちゃうからね。

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