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注目位置情報サービスの「FourSquare」日本で利用可に=狙うはローカル広告

 最近アメリカのブログを読んでいるとロケーション情報サービスのFourSquareのことがよく出てくるようになった。今回のニューヨーク出張でも、特に多くの人と話をしたわけではないんだが、ある女性が唐突に「こんなサービス知ってます?」とFourSquareのことを話し始めたのでびっくりした。

 「夫がはまってるんです。近くのスーパーマーケットとベーグルショップのメイヤーになっていて、ちょっと時間があると、スーパーマーケットとベーグルショップに出かけてチェックインしてくるんです。それで同じようなお店のメイヤーになっている女性と友達になったとか言って喜んでました」。どうやら数あるロケーションサービスの中でFourSquareが頭一つ抜きに出たのかもしれない。

 このFourSquareは、日本でもアプリは以前からダウンロードできたんだけど、日本の都市はサポートされてなかったので、どんなものか使い勝手がまったく分からなかった。だが1週間ほど前に50都市を新たに追加、東京もその中に入った。とはいえまだローカライズされていないようで、表記は英語。当然今後早い時期にローカライズしてくることだろう。APIを公開するなど、ジオメディアの基盤インフラを目指しているのは明らかだ。先行する日本のジオメディアや地方新聞社、フリーペーパーなどの脅威になる可能性がある。

 今回のニューヨーク出張でFourSquareを試してみたんだけど、Yelpに比べてソーシャルメディアの色彩が強く、一人で利用してもその面白みがよく分からなかった。前出の女性や米ブロなどによると、FourSquareの特徴はゲーム性と情報の両方にあるという。

 GPSで現在地を把握すると、その周辺のレストランやバーなどのリストが表示されるのは日本のロケーションサービスと同じ。ただ他のアメリカのソーシャルメディア同様に、他社のソーシャルメデアと積極的に連携しようとしているところが、日本の一部ジオメディアと大きく異なる。FourSquareではTwitterとYelpと連携、そのお店の周辺のTweetやYelpに書かれたそのお店のレビューを読むことができる。「tip」というタブをタッチすると、「ここの名物料理は○○で、ビールと一緒に注文するといいよ」というちょっとした情報を読むことができる。「people」のタブを開くと、そのお店に頻繁にくる人の情報を見ることができる。

 そのお店に行くたびにFourSquareでチェックインし、チェックイン数に従っていろいろな称号をもらえるようになっている。称号は「バッチ」と呼ばれるが、チェックイン最多の人はメイヤー(市長)というバッチが与えられる、多分。ほかにもいろいろなバッチがあり、東京に戻ってきてから近くのレストランでチェックインすると、「Newbie」というバッチをもらえた。新参者というバッチなのか、最初にこのお店にチェックインしたというバッチなのかはよく分からないけど。サイトを調べればどこかに説明が書いてあるかもしれないけど、調べてません。ごめんね。

 このバッチを集めるということが1つのゲームのようになっていて自分のお気に入りのカフェでメイヤーになりたいという心理が働き、そのカフェに頻繁に出向くようになるようだ。これはそのカフェにとっては当然ありがたいことで、FourSquareが店舗から人気が高い1つの理由になっている。店舗に人気があるので、広告がつく。ニューヨークの1つの店舗をページを見ていると、「Special Near-by」という緑色のタブが表示された。近くのお店のお得情報のようだ。

 そこをタッチすると、アイスクリームのクーポンが表示された。FourSquareでチェックインしたことを店員に伝えると、アイスクリームを無料でアップグレード(多分大盛りにしてくれたりトッピングを増やしてくれることだと思う)してくれるそうだ。これって非常にうまくできた仕組みじゃないか。

 友達が今どこの店にチェックインしたかも分かるようになっている。もちろんチェックイン情報をだれに公開するのかは自分で決めることができる。別に会う約束してなくても、友達たちが集まっているところに出かけることができる。友達に来てほしくなければチェックインしなければいい。「Shout」というボタンがあるのは、「今からそこに行ってもいい」とか聞くときに使うのだと思う。ある在米ブロガーは、FourSquareでチェックインすると「Shout」と使って「そのお店は○○がおいしいよ」などといろいろな情報を寄せてくれるのが便利だ、と書いていた。そんな使い方もできるんだろう。

 

そのfourSquareがAPIを公開したのだ。

 ネット上の有効なビジネスモデルは2つ。1つはプラットフォームになること。もう1つは、小規模体制のままそのプラットフォームを利用して専門性を活かして大きな収益を上げることだ。
 TwitterがAPIを公開したことで非常に多くのクライアントアプリが登場し、そのアプリが機能を先行開発し、Twitter自体を進化させている。Twitterを核にした生態系が完成したので、Twitterは成長を続けている。Twitter自体、技術的には簡単な仕組みだし、UIが特に優れているわけでもない。技術的、デザイン的に優れた後発企業が次々登場したが、Twitterを追い越せないのは、Twitterが作ったプラットフォーム上にこうした生態系が完成してしまったからだ。Twitterを使っている人なら、このプラットフォームになるというビジネスモデルが非常に有効なことを実感できると思う。

 ジオメディアをおさえたところが、次のグーグルになる、ということは以前のエントリーで書いた。そのジオメディアのプラットフォームになるべく、FourSquareがこのほどAPIを公開した。GigaOMの記事
Twitterに出資したベンチャーキャピタルのUnion Square Venturesからは $1.35 millionの出資も受けた。東京を含む50都市で、サービスを開始した。
 日本はGPS搭載ケータイが世界で最も普及している国だといわれる。世界に先駆けてジオメディアも誕生した。しかし米国のジオメディアは急速に進化し始めている。米国ジオメディアがローカライズし本格上陸するまで、そう時間はない。

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