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「いい度胸だ」情報処理学会がトッププロ棋士に挑戦状 【増田(maskin)真樹】

 社団法人情報処理学会は4月2日、コンピュータ将棋でトッププロ棋士との公開対局を望むべく、社団法人日本将棋連盟に対し挑戦状を送付したと発表した。

 1日遅れのエイプリールフールかと思えるこの発表だが、情報処理学会は大まじめ。日本将棋連盟も「いい度胸だ」とまさかの承諾となった。


こちら情報処理学会の挑戦状(冒頭の画像)

挑戦状

社団法人 日本将棋連盟 会長 米長 邦雄 殿

コンピュータ将棋を作り始めてから
苦節三十五年
修行に継ぐ修行 研鑚に継ぐ研鑚を行い
漸くにして名人に伍する力ありと
情報処理学会が認める迄に強い
コンピューター将棋を完成致しました
茲に社団法人 日本将棋連盟殿に
挑戦するものであります

平成ニ十ニ年四月二日

これに対する社団法人日本将棋連盟の返答。

社団法人 情報処理学会 会長 白鳥 則郎 殿

挑戦状確かに承りました
いい度胸をしていると
その不遜な態度に感服仕った次第
女流棋士会も誕生して三十五年
奇しくも同年であります
今回は初戦相手を女流棋界の
第一人者清水市代に決定しました
全ての対局運営は女流棋士会ファンクラブ
駒桜が執り行うように委嘱いたします

平成二十二年四月二日
社団法人 日本将棋連盟
会長 米長 邦雄

 気になる実際の対局だが、今年の秋ごろからになる模様。清水市代女流王位・女流王将が対局すると報じられているが、具体的な日時と対局内容はいまのところ未定だ。

 コンピュータ対人の対局としては2007年3月に行われた、世紀の対局と呼ばれる「コンピュータ将棋ボナンザ 対 渡辺竜王」が記憶に新しい。

 ボナンザは、理論物理化学研究者の保木邦仁氏が開発した“最強ランク”とも評される将棋プログラム。2006年の第16回世界コンピュータ将棋選手権において、初出場でありながら並みいる強豪を打ち破り優勝を果たした将棋ソフト。2009年1月28日はソースコードを公開するなど話題をさらった。

 コンピュータ対人の対局について日本将棋連盟は2005年10月、プロ棋士がソフトと無断対局することを禁止していたにも拘わらず、2007年3月21日に公の場で史上初めてボナンザと渡辺明竜王の対局を実現。ボナンザは善戦していた。
 

 今回の挑戦状による対局は「ボナンザVS渡辺竜王」以来のコンピュータ対人間の戦いとなる。情報処理学会はソースが公開されたボナンザを駆使してくるか、それとも異なるプログラムを投入してくるか動向に注目が集まっている。

[公式] 情報処理学会が日本将棋連盟に「コンピュータ将棋」で挑戦状
・(渡辺竜王)渡辺明ブログ 大和証券杯特別対局ボナンザ戦。その2(当日編)

(増田(maskin)真樹)

著者プロフィール:増田(maskin)真樹

 1990年より執筆およびネットメディアクリエイターとして活動を開始。
 週刊アスキーを初め、日経BP、インプレス、毎日コミュニケーション、ソフトバンク、日経新聞など多数のIT関連雑誌で活躍。
 独立系R&D企業のマーケティング部責任者の後、シリコンバレーで証券情報サービスベンチャーの立ち上げに参画。
 ネットエイジでコンテンツディレクターとして複数のスタートアップに関与。ニフティやソニーなどブログ&SNS国内展開に広く関与。
 現在、複数のメディア系ベンチャー企業にアドバイザー・開発ディレクターとして関与。大手携帯キャリア公式ニュースポータルサイト編集デスク。
 書き手として、また実業家として長年IT業界に関わる希有な存在。

twitter:maskin

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