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オンデマンドで出版に必要なサービスをトータルで提供する”FastPencil”、個人ライターの強い味方 【三橋ゆか里】

テクノロジーが進化した今、誰もがメディアをつくれる時代になりました。ブログやツイッターはその代表格ですし、”Scribd“や”DocShare“といったドキュメント共有サービスには、個人が書いた作品が星の数ほど存在します。紙・電子書籍ともに、自費出版も今後増えていくでしょう。質はさておき、書こうと思えば誰でも書くことはできる。肝心なのは、書いた後の編集や校正、製本もしくは電子書籍として書店に卸すといった機能。これを個人で実現しようと思ったら相当なコストがかかってしまいます。そんなとき、個々人の需要に合わせて必要な部分を切り取って利用できるパブリッシングサービスが”FastPencil“です。


“FastPencil”では、”Book Writer”というウェブベースのソフトウェアを使って本を書きます。書いている最中、また書いた後に、専門家や他のライターから即座にフィードバックをもらうことができるのが特徴。また信頼する知人や友達など、読んでみて感想を聞かせてほしい人に参加してもらうことも可能。出来上がった作品を持っている場合は、それをアップロードすることもできるそう。ここまでのサービスは完全に無料です。また、一通りのことができる無料のiPhoneアプリも提供されています。

書いた本にISBNをつけて、アマゾンやBarnes&Nobleといったオンライン書店に卸すサービスもあります。アマゾンなどのオンライン書店では、販売利益を全額とるケース(卸値のみが著者に落ちてくる)が多いですが、FastPencilで販売する場合のマージンは「販売利益の20%」。つまり、卸値が800円で販売価格が1,000円の商品があった場合、アマゾン経由で出版した場合の著者の取り分は800円。それに対して、FastPencilでは著者のもとに960円が入ってくることになります。また、本を紙の本として出版したければ、200ページの本を1冊(6インチ×3 インチ)を1冊$9.30で製本・印刷が可能。さらに、表紙のデザインや校正といったプロによるサービスも受けられるようです。出版に関わるプロを集めたマーケットプレースがあるそうなので、必要な人材を見つけるのにも困らないですね。

前述したように、クラウドで自分の書いたものを評価してもらえるようなサービスは、”Scribd”などのドキュメント共有サービスでも可能になっています。でも編集者などプロからの支援、また電子書籍として卸すところまで一環したサービスを提供しているところはまだ少ない気がします。本を仕上げるのに必要なプロセスの一部一部を、オンデマンドで受けることができるのはかなり理想的ではないでしょうか。出版関連の人材のマーケットプレースもニーズは高まる一方。紙の書籍が消えることはありませんが、垣根が低い分、これから電子書籍はどんどん増えていくと思います。そんなとき個人が頼れる”FastPencil”のようなサービス、どなたか日本でも作ってみませんか。

【スタッフブロガー】三橋ゆか里

肩書きウェブディレクター。ディレクションの他、翻訳やライティングなど、フリーでお仕事してます。ツイッターIDは”yukari77“。

個人で運営している【TechDoll.jp】というサイトで、海外のテクノロジー、ソーシャルメディア、出版、マーケティングなどの情報を発信しています。目指せタイムリーな情報発信!

これまで雑誌のECで→UIデザインのコンサル→ウェブ制作会社などを渡り歩いてきました。そこで得たスキル、人、全部かけがえのない財産。幸せの方程式は、テクノロジー(UI, IA..)×マーケ×クロスカルチャー×書く・編集。いま一番夢に近いとこにいる。

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