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日経ビジネスセミナー「ツイッター実践キャンプ」 東急ハンズ・カトキチに学ぶツイッター実践術 【三橋ゆか里】

日経ビジネスセミナー「ツイッター実践キャンプ」に参加してきました。満席とは聞いてきましたが、本当に大盛況で、いかに企業のツイッターへの注目度が高まっているかを物語っていました。ご紹介したい話は山ほどありますが、ここでは特に面白かったお話をピックアップしてご紹介します。記事後方にTogetterのまとめページなど関連リンクもリストしましたので、よろしければご活用ください。

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■ソーシャルメディアについて
ソーシャルメディアとは、という基本的なところをお話してくださったアジャイル・メディア・ネットワークの徳力基彦氏。成功事例、炎上したケースを含め、国内外の多くのソーシャルメディア活用事例を耳にしますが、事例のいいところや悪いところが一人歩きして誤解を招いているケースがよくあります。中でも特に多い誤解を4つご紹介してくださいました。

1.「4マスにインターネットが加わった」
4マスにインターネットが加わったという考え方は間違っている。ネットはまったく違う属性を持っている。マスが大量の読者に届ける手段であるのに対し、ソーシャルメディアはもっと会話に近い。メディアというよりも、コミュニケーションである。

2.「ソーシャルメディアなら短期間で認知度があがる」
ちょうど良い、マーケティングコストをかけずに利用者が獲得できるじゃないか、と安易な発想にいってしまってはダメ。ソーシャルメディアは急激なお祭り型のイメージがあるけれど、時間をかけることで徐々に、そして着実にファンを獲得していくことの方が得意である。


3.「お金を積めば口コミを増やせる」
ブロガーにお金を払って自社製品やサービスについて記事にしてもらうのは、口コミではなく記事広告。記事広告としてはそれはそれでアリだが、純粋な利用者やファンが行うものではないため口コミとはいえない。ソーシャルメディア上で企業が言いたいことを書いてもらっているだけ。

4.「ソーシャルメディアは炎上する」
炎上するケースのほとんどが、何かしらやらせ的なことをしたり会話を拘束したりすることで発生している。ソーシャルメディアやツイッターだから炎上するのではなく、ソーシャルメディアで炎上が可視化されるようになったというだけ。

ソーシャルメディアは会話、コミュニケーションであるため、メッセージをコントロールすることは不可能。でも逆をとれば、利用者の本音を聞くことができるチャンスである、というソーシャルメディア活用における最も重要なポイントについてもお話してくださいました。徳力氏が、ご自身の資料を公開してくださっているので講演の詳細はこちらをご覧ください。

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■企業のツイッター実践
東急ハンズの本田浩一氏、テーブルマーク(旧カトキチ)の末広栄二氏、デジタルガレージの佐々木智也氏が実践についてお話してくださいました。皆さんのお話をコンパクトにまとめてみました。

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【東急ハンズ 本田浩一氏】
ご自身が試行錯誤しながら東急ハンズのツイッターアカウント@tokyuhandsを作っていった様子を伺うことができました。「ツイッターでの対応ポリシーは、店頭の接客と同じだから特別ではない」と本田氏。東急ハンズさんの場合、商品が売れたりリアル店舗にお客様が足を運んでくださることが大切。リアル店舗で現場から生の声でツイートしてみたり、お客さんが見ることができない開店・閉店前のハンズの様子を写真をともにツイートしたり。「舞台裏」を見せるということ、また店舗からツイートすることでライブ感を出す、その空間を一緒に共有しているような気持ちにさせることでファンを増やしていったそう。

また、社内の方の理解を得ることが大事というお話が印象的でした。フォロワー、対話する人数が少ないときは1人で対応することができても、2,000人くらいを超えた時点でいわゆる「中の人」のやることが変わってくる、と。自分だけの情報収集では限界があるため、販売促進に関わるメンバー全員に理解して認知してもらうといったことを積極的に行ったそうです。社内の方とも普段からコミュニケーションをとっておくことで味方をつくっておくこと。これはツイッターに限らず言えそうですね。

-TIPS-
・ついなびの公式カウントに認定してもらう(フォロワーUP)
・お客様の趣味趣向に合わせた返信
(言葉遣いを合せたり、時にアニメやゲームのキャラクターになりきってみたり)
・「普段は見られない」をお見せする工夫(閉店後の店内、バックヤードの様子、会議の中継)
・ドラマ仕立ての展開
 もともと使っていた@HintMarketから正式に@TokyuHandsにアカウントを移行する際に、事前に十分に告知。ただ告知しても面白くないので「襲名」という形にし、襲名披露口上を用意。

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【テーブルマーク 末広栄二氏】
そもそもカトキチがツイッターを始めたきっかけは、冷凍うどんのコミュニティを作ろうという話があったからだそう。冷凍うどんが好きな人が集まる、そんな人たちの居場所としてツイッターを採用。企業にとっての成果には、業績・より良い仕組み・人材育成・CS顧客満足・ES社員満足などあるが、ツイッターは必ずしも業績に直結しない。「直接売上げにはつながらないかもしれないが、直接顧客とつながる場を用意することで最終消費者とのコミュニケーション手段ができる。この価値は大きい。普段からコミュニケーションをとることで、ライフタイムバリューを最大化することが可能になる」と末広部長。

ツイッターを始めた頃、力を入れて初ツイートをしてみたものの、何の反応もない。カトキチのユーザがどこにいるのかもわからない。そこで、ツイッターで「うどん」というキーワードで検索してみたところ、沢山の人がうどんについてツイートしていることがわかった。嬉しくなってどんどんフォローをし、会話をしていったそうです。情報収集、また発信する際もハッシュタグを有効に使っている様子がうかがえました。末広部長はまさにハッシュタグの達人といえそう。

発表の最中もちょくちょく会場の笑いをとっていましたが、ツイッターでもお笑いカーペットを目指しているそう。末広部長のお話でいちばん印象的だったのは、「コミュニケーションの頻度」に関するお話。普段あいさつもしない近所の人がゴミ捨てのエリアをちらかしていったとします。きっと怒りますよね、何なのあの人!って。でも、いつも挨拶をする人が同じことをしたらどうでしょう?きっと、ちょっと掃除しておいてあげようとかってなるんじゃないでしょうか。コミュニケーションの頻度が関係性を作る。結果として、普段から生活者の人たちとコミュニケーションをとることでリスクも下がるのだと、とっても説得力のあるお話でした。ツイッターならではの心遣いやおもてなしの心を綴った末広部長の「ツイッター部長のおそれいりこだし」も好評予約受付中です。

-Tips-
・宣伝には、きちんと宣伝と書いてツイートする
・「なるほどなるほど」「メモメモ」など連呼して柔らかいニュアンスでリプライするなど工夫
・相手が女性の場合、下の名前で呼ぶ
女性はお母さんや奥さんになると、どこどこの奥さん、だれだれちゃんのママなどと呼ばれ、下の名前で呼ばれなくなるため。

私も実際に会場で講演後の末広部長とツイートで絡ませてもらいましたが、下の名前で呼んでくださいました。こんな相手の心にちょっと触れるような心がけが大事なんだな、と改めて実感。

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【デジタルガレージの佐々木智也氏】
最近のツイッターの傾向や、サントリーのほろよいキャンペーンや、パナソニックの製品ナイトカラーなど、ツイッターを活用した事例を紹介してくださいました。企業がツイッターで検索することで、自身のサービスやプロダクトについてヒヤリングする活用法が増えているそうです。これは、東急ハンズさんやカトキチさんもまさにお話してくださったことですね。共通の話題で会話することを可能にしてくれるハッシュタグは大活躍しているわけです。このハッシュタグも、もともとはユーザが編み出したもの。ユーザの声を聞くことで何が求められているかを見極めるという、ソーシャルメディアにおけるポリシーをツイッターもまた実践しているんですね。

ツイッターがブレイクしたのは2009年、現在ユーザ数は500万人以上だそうです。(PC上のユニークユーザ、iPhoneや携帯は含まれない)またツイッタードラマが始まってからケータイからの新規登録が増え、女性利用者が増えているんだとか。ツイッターに参入する企業はどんどん増えており、現在ついなびの公認企業アカウントは2080件だそうです。興味深かったのはツイートに記載されたURLの8割がクリックされているという数値。ツイッターのヘビーユーザがいかに好奇心旺盛かを象徴していますね。うまくファンにして味方になってもらえば、すごく強力なユーザであるといえると思います。

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■パネルディスカッション
オラクルの玉川岳郎氏、GABAの山根豪太氏、マイクロソフトの熊村剛輔氏が参加。主にソーシャルメディア活用に関するガイドラインについてディスカッションが行われました。マイクロソフトの分厚いガイドラインは、「知る・攻める・守る」の3部構成なんだそうですが、うち7割が「攻める」と聞いてちょっと意外でした。ガイドラインには、ソーシャルメディアをマーケティング戦略に落とし込むときにどうするのか。企画から、予算関連、実装していくところまで、効果測定、最適化の一連の流れについて書かれているそうです。

ガイドラインをガチガチの「やってはいけないこと」集にするのではなく、ある程度の柔軟性を持たせる原則主義にすべきという点はお三方とも意見が合致していました。あまり固めすぎて、コミュニケーションがとれなくなってしまっては本末転倒。

会場からの質問で、「会社や他社員の理解をどう求めるのか」というものがありました。その答えは、まずは経営陣を落とすこと。成長する、コミュニケーションをとる、早期に課題を発見するんだ、といった大きなところに重点をあてて話をすると効果的だそうです。結局、上層部を巻き込んで話をしていかないとただの氾濫で終わってしまうと。また、ソーシャルメディアを無視するリスクを理解してもらうこと、具体的にソーシャルメディアでブランドや製品がどのように語れているかを見せることで、自分たちのユーザがそこにいるということを理解してもらう、といったお話がありました。

自分の顧客がいないのに流行っているからといってツイッターをやることには意味がない。どうしてもツールが先にきてしまいがちですが、大事なのはツイッターを使うことではなく、自分たちのユーザに合せて、彼らのいる場所に出向き、そこで彼らとコミュニケーションをとることなんですね。

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どなたにお話を聞いても、皆さんが心がけているソーシャルメディアとの接し方は同じ。ソーシャルメディアがユーザや利用者の生の声を聞く場、コミュニケーションの場であることを考えれば当然なのかもしれません。人のコミュニケーションの基本ルールはオンラインであろうと、オフラインであろうと変わらない。ただ、企業が忘れてはならないソーシャルメディアに対する姿勢は「聞く姿勢」。マーケティングというと、どうも声を大声にして自分たちの伝えたい情報を大声で叫んでしまいがちですが、ソーシャルメディアではまず耳を傾けることが大事。私もツイッターを始めた当初は、発信に偏りすぎてコミュニケーションをあまりとっていませんでした。でも、何か違和感を感じて話しかけてくださった方にリプライしたり自分から話しかけているうちに、対話が基本になっていったように思います。「ビジネスツイッター」にも、ホームオフィスから世界的大企業までのツイッター活用の先進事例が70以上詰まっているので、もっと知りたい!という方はぜひ読んでみてくださいね。

【関連資料】 ※ハッシュタグは#nbtw
・徳力氏のプレゼンテーション資料
・セミナーTogetterまとめ
・登壇者・関係者を中心としたTogetterまとめ

【スタッフブロガー】三橋ゆか里

肩書きウェブディレクター。ディレクションの他、翻訳やライティングなど、フリーでお仕事してます。ツイッターIDは”yukari77“。

個人で運営している【TechDoll.jp】というサイトで、海外のテクノロジー、ソーシャルメディア、出版、マーケティングなどの情報を発信しています。目指せタイムリーな情報発信!

これまで雑誌のECで→UIデザインのコンサル→ウェブ制作会社などを渡り歩いてきました。そこで得たスキル、人、全部かけがえのない財産。幸せの方程式は、テクノロジー(UI, IA..)×マーケ×クロスカルチャー×書く・編集。いま一番夢に近いとこにいる。

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