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リスクなくイベントを開催する方法

 わたしはTechWaveをいろいろな実験の場だと考えています。何の実験かというと、マスメディアの力が低下する中で、その低下を補って余りある有益な情報発信をするミドルメディアを作ることができないか、という実験です。優れた書き手が生活を維持できるような新しいビジネスモデルを構築できないか、という実験です。もしこの実験が成功したら、業績が悪化する既存メディアの中で悩む優秀な若手に、ぜひ新天地に飛び出してほしいと思っています。そういう思いから黒字化達成率を毎月公表しているわけです。(関連記事:【目指せ!プロブロガー】5月の黒字目標達成率30.7%

 さて半年近くこのブログメディアを運営してきて思うのは、やはりメディア単体での黒字化には時間がかかりそうだということ。これはある程度覚悟していたことなので、特に慌てているわけではないのですが、やはり周辺事業の早期確立が重要だという思いを強くしています。

 周辺事業としては、講演、コンサルティング、電子出版などいろいろと手がけているのですが、やはり情報はデジタルになればフリーの方向に流れがちです。最終的には、リアルなイベントを収益事業の中核にするのが最も有効だというように感じています。

 ただいろいろ試行錯誤するうちに、確実に収益があがるイベント運営の方法が見えてきたように思います。それを公開したいと思います。

 イベント運営の悩みは会場費です。ちょっとした会議室でも1、2万円しますし、100人以上のホールなら数十万円するところもあります。


 時事通信時代に何度かイベントを手がけたのですが、時事通信ホールを1日借りると60万円ほどしたように記憶しています。確かに新しく立派なホールなんですが、入場料5000円のイベントに200人集まって大盛況と喜んでいても、売り上げ100万円のうち60万円を会場費として支払わなければならず、手間の割にはそれほど儲かりませんでした。お手伝いしてくれた社員の人件費を考えれば赤字です。ですので会社からのサポートを実質的に打ち切られてしまいました。

 また時事通信ホールのように人気の高い会場は半年前から予約しておかなければならず、半年後に旬なテーマを考えなければならないのでかなり高リスクな事業になります。

 ところが最近のイベントではその会場費のリスクがなくなってきました。

 TweetviteTwitvite、Facebookなどのツールのおかげです。

 テーマや講師を決め、日時を決めたあと、ブログメディア上で告知し、Tweetviteなどで参加表明してもらうわけです。参加表明するにはTwitterやFacebookのIDが必要になります。TwitterやFacebookは、これまでのソーシャルメディアに比べて実名のユーザーの割合が高く、またたとえ匿名であってもどこのだれであるのかが比較的わかりやすい仕組みになっています。

 フォローもせずフォロワーもいなく発言もほとんどないアカウントは信用できませんが、ある程度の活動履歴のあるTwitterアカウントのユーザーが参加表明すれば、そのユーザーの参加はほぼ確実です。都合が悪くなれば、簡単に参加表明を取り消せます。なので常に何人規模のイベントになるのか主催者側で把握できるわけです。

 もし参加表明したままで参加しないユーザーがいれば、そのアカウントを記録しておき、次回のイベントで参加表明してもそのユーザーを見込み客の人数にカウントしなければいいだけです。

 こうすればTweetviteで参加者数を見てから、イベントの場所を探すので、当日まで「何人くるのか分からない」という不安はなくなります。参加費収入より会場費のほうが高くつくというリスクもなくなります。

 さらには「会議室などの会場を提供していただいた方は無料で参加できます」と告知すれば、会場を無償で提供してくれる企業が出てくる場合があります。参加費が高額であればあるほど、イベントの中身がいいものであればあるほど、場所の提供を申し出てくれる企業が多くなるように思います。

 参加費も当初は「3000円から5000円の間」とレンジを設けておき、会場に入り切らない人数の申し込みがあった場合は事情を説明し、上限の金額で仕切り直して、再度参加表明してもらうようにすればいいでしょう。

 ネットの双方向性をフルに利用するわけです。

 また講師ですが、ブログメディアがイベントを主催すると一流の講師が集まってくれます。ブログメディアには情報発信力がありますから、パブリシティ効果を期待する講師は喜んで講演依頼を受けてくれるわけです。

 情報の受け手が多く存在するから情報の出し手が集まってくる。情報の出し手が集まれば、さらに多くの情報の受け手が集まる。この好循環に入ったメディアだからこそ、価値のあるイベントを運営できるのだと思います。

 このようにメディアを持っていると、イベント事業をかなり有利に展開できます。

 有利ではありますが、いい内容のイベントを企画することが何よりも重要だというのは当たり前のことです。

 ほかで入手できない情報だからこそほかより高い入場料でも参加してくれるわけですし、会場を無償で提供してくれるわけです。

 ですのでいい内容のイベントを開催するために日々の情報収集と、ブログメディアを通じた情報ニーズの把握が大事になってきます。

 いいブログメディアを運営するために有料イベントを成功させる。有料イベントを成功させるためにブログメディアを運営する。

 この組み合わせが、ブログメディア成功のカギではないかと考えています。

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