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ソーシャルレコメンデーションでFacebookがAmazonと協業【ループス斉藤】

株式会社ループス・コミュニケーションズ代表取締役
斉藤 徹

AmazonがFacebookのオープングラフを利用したソーシャル・リコメンデーション・サービスを開始(元記事)した。

米Amazon.comのみでβリリースされたもので,リコメンデーションのページ右上に表示される”Tap into Your Facebook Network”という機能がそれだ。

ここからFacebookへコネクトすると,まず次のような画面があらわれ,Amazon-Facebook連係によってどのようなことができるかが明示される。


上記にあるように,現在の機能としては次の4点だ。

また,購入情報などAmazonのデータをFacebookに送信することはないということも表示されている。これは,外部サイトのアクティビティ をFacebookの友人に配信するとして大きなプライバシー問題を引き起こしサービス停止となった”Facebook Beacon”とは本質的に異なるということを明示したものだ。

では,もう少し具体的に見てみよう。

まず今日に近い順番で,友人の誕生日がこのように表示され,それぞれのアイコンの下に “See gift suggestions”(おすすめギフト)というリンクがあらわれる。これが目玉機能で,クリックすると次のようなオススメ商品が提示されるのだ。

現在は,書籍,音楽,映画を対象としているようだが,Amazonは非常に幅広い商材を扱っているので,Facebookプロファイルと連係できるものについて適時拡大していくものと思われる。

また友人への誕生日プレゼントだけではない。あなた自身へのリコメンデーションも強化された。それがFacebookの友人内で人気のある商品リストだ。

個々の商品には,友人のアイコンが表示され,あたかも友人がおすすめしている雰囲気で購買意欲をそそるものだ。実際にはFacebook でのFavorite Artistなどから情報を取得しているようで,例えばLady Gagaを指定していれば,彼女の最新アルバムが表示されるという関係性のようだ。

まだβ版とのこと,今後,Facebookがソーシャ ルグラフ収集を強力に推し進めれば,強力なリコメンデーションに成長する可能性がある。すでにFacebookではオープングラフ機能により100万以上 の外部サイトにおけるアクティビティ(Likeなど)を取得しはじめており,そのデータもリコメンデーション分析対象になると,かなり精緻なおすすめ機能 が実現されるのではないだろうか。
 
 
なお,Amazonは,これとは逆のアプローチでFacebookアプリとして「Amazon Giver」と「Amazon Grapevine」のリリースを2010年3月に発表している。

「Amazon Giver」はFacebookプロフィールページにAmazon Wish Listsが表示され,友人画面でそれを選択するとそのままAmazonでそのプレゼントを購入できるというもので,送り先を入力する必要もないなど便利なものだ。

また「Amazon Grapevine」はAmazonでのアクティビティ(活動)をFacebookのNews FeedおよびMini Feed経由で友だちと共有する機能で,どんな種類のアクティビティを共有するかは、オプトインで設定できるようになっている。

【参考記事】
Amazon、Facebookに「ほしい物リスト」を表示するアプリ発表 – ITmedia News

 

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著者プロフィール:斉藤 徹 (さいとう とおる)
株式会社ループス・コミュニケーションズ代表取締役
2005年が創業。国内での企業向けSNS構築分野でトップシェアです。
(ミック経済研究所,アイティーアール社 2008年調査にて)
現在は,企業コミュニティを単体で捉えるのではなく,多様なソーシャルメディアと有機的に結びつけ「クチコミ動線」を設計・構築・運用するコンサルティング・ファームとしての色合いを強めています。

書籍・コラム・ブログは個人活動ですが,ビジョンとノウハウは,ループス社員一同で共有しています。創業テーマである Socialmedia Dynamics を見つめながら,ソーシャルメディアやクラウドソーシングの分野で高い専門性を磨き続けたいと日々励んでいます。(といっても全く堅い人間ではないです。 特に夜は柔らか過ぎと定評です)

Twitterアカウント toru_saito
ブログへのご意見やご質問その他,お気軽にコンタクトください。

蛇足:オレはこう思う

 数年前にメディアの未来を予測するショートムービー「EPIC2014」というのがネット上で話題になった。Googleがインターネットを完全に支配してしまう、というジョージ・オーウェルの小説を彷彿とさせる内容のショートムービーだった。その中の予測の1つに、GoogleがAmazon.comと合併してグーグルゾンを作るという話があった。Googleが集めた個人情報をベースにAmazonがレコメンデーションするようになる、という内容だった。

 突拍子も無い夢物語として受け止めた人も多かったし、実際にGoogleがAmazonとは合併していない。

 でもその代わりに、FacebookがAmazonと協業して、ソーシャルレコメンデーションを実現したわけだ。プレーヤーこそ異なるが、これはまさにEPIC2014が数年前に予測したことだ。

 ああ時代がここまで進んだんだなあという感慨もあるが、Googleに代わってFacebookの時代になったんだと改めて感じるニュースだ。

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