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買収をきっかけに一気に世界へ=ウノウ山田進太郎氏

 米Zyngaによる日本のウェブベンチャー企業ウノウの買収が明らかになってからちょうど1月がたった。米ベンチャーが日本のベンチャーを買収すること自体異例で、これからの日本ベンチャーの世界戦略の1つの形として注目を集めた。ウノウの代表取締役だった山田進太郎氏は、いったいどういう思いで買収に合意したのか。どういう経緯で買収の交渉が行われたのか。今後Zyngaは日本でどう進んでいくのか。新体制構築で忙殺される山田氏に聞いてみた。

ー買収はどういう経緯で進められたのか?


昨年末にZyngaの幹部がプライベートな理由で来日し、グロービス・キャピタル・パートナーズの高宮さんに紹介いただき、情報交換を目的に会った。

そのときに漠然と「一緒にできないか」というような話になった。といっても買収という話が出たわけではなく、提携したり、レベニューシェアでできないかというような話だった。

彼が帰国後もメールやスカイプなどでやりとりをした。買収の話も出た。100%買収したいと言われたが、どのくらい本気なのか分からなかった。

買収の案件というのは、それほど多くはないが過去にもいくつかあった。しかしそういった話は様々な理由でたいてい実現しない。特に今回はアメリカのホットなベンチャーにおける日本のベンチャーの買収だが、そういった例は過去にはなかった。なのでZyngaからの話も本気度を測りかねていた。

ー買収されるということに抵抗はなかった?前向きだった?

直感としては、おもしろいかなと思った。

世界に進出するというのは長期目標としてはありましたが、具体案というものはまだなかった。ただ昨年ぐらいから1、2ヶ月に一度は中国や米国で出張し、海外進出を自分なりに模索していた。ただ実感としては海外進出はそれほど簡単でないし、日本でまず地固めをしてからと考えていたので、海外進出するとしても1、2年先だと思っていた。

それを一気に超えて世界とつながれるというオファーだったので、魅力的な話だと思った。


ー海外進出できるというメリットの半面、経営権を失うとか独自性を失うという問題もあるじゃないですか。

当然それはある。会社の目標は「世界中で使われるインターネットサービスを作る」というものだったが、この目標を優先するのか、独立性を優先するのか、という選択だった。

それとZyngaがどういう会社で、ウノウと親和性があるのか、という点も重要だった。そこが合わなければ買収に応じるつもりはなかった。

ーでは親和性、方向性が一致したということですね。

2月くらいにZyngaのM&A担当のロバート(今後Zynga
Japanの社長になる予定)が来日し、日本のSAP約20社ぐらいに会って回っていた。そのときにも買収のことに関しても触れた。

3月に米国で開催されたゲームデベロッパーのイベント(GDC)に参加したついでに、シリコンバレーのZyngaのオフィスに出向き、そこで結構いろいろな話をした。

さらにもう一度シリコンバレーに来てくれてと言われて、5月ゴールデンウィークの終わりに、行ってきた。そのときは毎日みっちりと話をした。5月の中旬、帰る直前に、株で交換するか、現金で買収するのか、というような具体的な話にまでなった。

その後もかなり慎重に話をして、親和性も高く、方向性も近いと思ったので、決断した。社内のインテグレーション(統合)は、今のところ順調で、主だった混乱は生じていない。

ー買収は株式交換、現金?

これははっきりとコメントできないが、両方の組み合わせであった。

ー今後の山田さんのZynga Japan内でのポジションは?

まだ決まっていはいないが、プロダクト責任者のような立場。製品担当執行役員のような立場になると思う。

最終的にはZynga Japanは、米国Zyngaとソフトバンクのジョイントベンチャーになるのだが、今は移行期。社長はロバート・ゴールドバーグになることが決まっているが、まだ日米を行ったり来たりしている状態。

取締役は資本構成を反映するので、Zyngaから何人か、ソフトバンクから何人か、という形になるはず。

ーソフトバンクはZynga Japanにどう関わってくるのか?単なる投資と考えているのか、Zynga Japanを使ってなにかしたいと考えているのか?

考えはあるとは思うが、今のところ具体的な話はない。

今はZyngaとウノウの間で新しい体制作りをしているという感じ。Zyngaの人間が10人ほど来日して一緒に働いている。

ただソフトバンクと資本的なつながりができるので、ソフトバンク・グループの会社といろいろな仕事がやりやすくなるのではないかとは思う。

ーAppleがiOSにソーシャルゲームのプラットフォーム「Game
Center」と作ったが、ソフトバンクも自社ケータイの中に同様のプラットフォームを作る気なのでは?

将来的にそういう可能性もなくもないだろうが、今のところはZynga
Japanの体制固めの段階なので、今は日本できちんとした体制を作って、まずはいいゲームを作るということに注力している。

現在も、あらゆるポジションを積極的に採用しており、いい形で組織ができてきていると思う。

ーZynga Japanはゲーム開発をメインにするのか、プラットフォームになりたいのか?本家の米Zyngaはプラットフォーマーになりたいように見えるが。

まずはデベロッパーとしていかにいいゲームを作るかに専念したい。そこから次のことを考えればよい。

個人的な考えでは、プラットフォームを作るのはゲーム開発とはまったく別の能力だと思う。そこをやる前に、ゲーム開発に力を入れるべきと思う。

ーZyngaのチームと一緒になることはウノウの開発チームにどのような作用を与えていると思いますか?

もともとウノウはウェブサービスを開発してきた。ゲームでもそれなりの仕事はしてきた自負はあるが、ソーシャルゲーム専門のZyngaのやり方を共有することによって、より洗練されてきていると思う。

Zyngaのやり方は、米国では奏功して米国市場では圧勝している。そのやり方をウノウのゲーム開発に応用しようとしている。

ー具体的にはどのようなやり方?データ分析とか?

ノウハウは結構秘密になっているので公表はできないが、データ分析などもその1つ。あといいアイデアはすぐにテストして取り入れる。その過程のスピード感がすごい。それが1つの強みかなと思う。

ー今後、新製品のリリースの予定は?

直近の予定はない。今は、引越しであるとか体制作りに時間を取られている状況。

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