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「はてなココ」にみる「はてな流」、代表の近藤さんにたっぷりお話を聞かせていただきました!【三橋ゆか里】

2010年4月のサービスリリースから約5ヶ月、はてなの位置情報サービス「はてなココ」のユーザ数は現在34,000人。7月中旬にリリースされたiPhone版も好評な注目の「はてなココ」について、代表の近藤さんにお話を伺ってきました。サービスの特徴や、人気サービスを生み出す「はてな」のこだわりなど、たっぷりお伝えします。

はてな流、新サービスのつくり方

新しいサービスのリリースについて、「打率三割だけど失敗も数」と話す近藤さん。そんな彼が率いる「はてな」では、まず1週間ほどかけてプロトタイプを作るそう。仕様書を書いてその通りに作るのではなく、まず作って社員に実際に使ってもらう。ユーザを観察することでアイディアや偶然の発見があったり、そもそも一定量のユーザが楽しめるサービスかどうかを早くに見極めることが可能になる。これはイケる!と判断されたサービスだけが、その後2ヶ月ほどかけて一般ユーザへのリリースに向けて磨かれていきます。

はてなココをつくる際に参考にしたサービスはあるか?と聞いてみたところ、「ヒットサービスがでると、そのままそれをパクればいいみたいに言うけれど、逆に、見ると引っ張られるから見ない」と意外な答えが返ってきました。既にあるものを移植してサービスを作っても面白くない。何ができたら面白いかを自分たちの頭で考えて、オリジナリティのあるものを作りたい。こだわりを持ってこそ、これまでにない新しいサービスが生まれるんだなーと実感。


「はてなココ」の特徴やこだわり

近藤さんのお話を伺っていてすごく感じたのは、「ユーザの声をすごく大切にしている」ということ。視点がいつも、ユーザは何をしたいか?にある。みんな口癖のように「ユーザ視点」と言うけれど、「はてな」はそれを徹底している、というより、それが「浸透している」という印象を受けました。そんなユーザ視点が、他の位置情報サービスと「はてなココ」を差別化するサービスのオリジナリティにつながっっています。

【100%オリジナルのスポットデータベース】
「はてなココ」のスポットデータベースは100%オリジナル。もともと、はてなキーワードで位置情報(地図)が登録されているものが1万件ほどあり、現在6万件以上あるスポットのほとんどがユーザによって作られています。出来合いのデータベースは色々あるけれど、情報が偏っていたり、何から何まで網羅しているよなデータベースのどちらかしかなく、そのデータは必ずしも「イマココしたいスポット」ではないかもしれないと考えたそう。毎日500件ほど増えるスポットデータを目視することで、データベースの精度を保っています。今後は、駅など、数があっても邪魔にならない、かつユーザにとってプラスになるデータベースがあれば導入を検討するそう。

これまで幾つかの位置情報サービスを取材しているけれど、完全オリジナルのデータベースを使っているサービスは「はてなココ」が初。イマココしようと思ったときに欲しいスポットがないのは残念な反面、自分で作っちゃおうという開拓心がくすぐられるかも。今後、位置情報がより一般に浸透して各種サービスに取り込まれていくようになったとき、イマココするために作られた「はてなココ」のデータベースはかなり有効なものになる気がします。

【ユニークな機能:ラリー】
いわゆるスタンプラリー的な楽しみ方ができる「ココラリー」。中でも人気なのが「京都の数え歌ラリー」。ラリーに登録されている400個程もあるスポットを、すべてその場からイマココすることで制覇していきます。近藤さんは現在3位、140箇所イマココしていて達成率は32%。1位2位の方は、近藤さんの倍くらいのスポットを回っているからスゴイ。ラリーをユーザが自ら作って楽しめちゃえるのが「はてな」らしいですね。

【写真やコメント付のイマココがつくるリッチなコンテンツ】
はてなココの男女比率は、感覚値でだいたい半々くらいだそう。初期段階からプライバシーへの配慮がきちんとしていること(後述します)、また写真が楽しく残していけることも女性から指示される理由。「はてなココ」では、写真やコメント付きの投稿数が驚くほど多いといいます。一覧で表示されるスポット情報が見られる率も、目を引く写真があるのとないのとでは全然違うはず。そんなリッチなコンテンツもサービスの特徴のひとつと言えそうです。

【マイスポット登録すると送られてくるプッシュ型通知】
自分が通う穴場のバーなどのお気に入りの場所をマイスポットに登録しておくことが可能。マイスポット登録した場所に誰かがやってくると、プッシュ型の通知を受けることができます。あ、誰々に見つかったとか、この人よく来るななんて発見まで、新たなユーザと知り合うきっかけにもなる。

【はてなスター】
「はてなココ」に限らず、はてなのサービスに共通しているのが「はてなスター」。Facebookでも”イイネ”があったり、口コミサイトも星による評価付けは当たり前。5つ星のうち星いくつといった限定された形ではなく、連打していくつでも星をつけられるのが「はてなスター」。テキストでコメントすることと、「見たよ」という足跡的なものの中間を、明示的でありながら気軽にする方法はないかと考えて思いついたそう。0か1のイイネより、はてなスターがいいというユーザは多いと言います。結局「イイネ」は共感を表すためのもの。トピックは必ずしもいいことだけではないし、マイナスなことに対してもそれに共感したり、頑張ってといった応援の気持ちを星で表現することを可能にしています。

【プライバシーへの配慮】
「はてなココ」で友達とつながるためには承認が必要。各ユーザのイマココ履歴はあくまで承認した友達にだけが見られる仕組み。ただ、個別のスポットごとに見ると、その場所でイマココしたユーザの履歴は誰でも見ることができます。誰かが京都駅にイマココしたことはわかっても、そのユーザが京都駅の後にどこに行ったかはわからない。また、スポットごとに公開・非公開(秘密スポット)が設定できるため、自分の家をスポット登録しておけば、場所を知られずに家にイマココすることもできちゃいます。

「はてなココ」のビジネスモデル

ビジネスモデルに関してはまだまだこれから検討していくそうですが、既にスタート地である京都の立命館大学と組んだキャンペーンを実施するといったことを始めています。大学周辺の飲食店でイマココすると割引してもらえる。今後は全国展開しているチェーン店などと組んで、お互いにユーザ獲得に貢献するようなモデルができれば積極的に展開していきたいそうです。また、先述したユーザが作っていく「イマココしたいスポット」のデータベースも、位置情報をメインにしていないサービスに提供するなどして組むと面白いことになりそう。

位置情報サービス、そして「はてなココ」のこれから

当初、大学生のあいだで友達の居場所を知る強いニーズがあることから、大学生をターゲットにサービス展開を始めた「はてなココ」ですが、スマートフォンにも力を入れ始めた今、幅広いユーザをターゲットにしています。はてなココに流れている情報は、本来タウン情報誌でも見なければ入手できないもの。信頼できる友達が提供する情報だから、ある意味カスタマイズされていない情報誌よりもさらに質がいい。そんな中に生活の質を向上させてくれるような発見があると言います。地域の情報誌を買うことは特に興味でもなければしないすごく能動的な行為。それを、iPhoneで友達がしていることをただ見るという受動的な行為から行えることも「はてなココ」を使う醍醐味。

「世間の誰もが読めてしまうネットにブログを書く人なんてそういない、なんて最初は言われていたけれど、結局ブログ市場は数百万人規模になりました。日本人って人様の見える場所に日記を書き続けたりするんだ、というのがここ5年くらいの発見だったと思います。はてなココで取り組む位置情報サービスは、文章を書くより敷居が低いという意味ではそれ以上いくかもしれないし、やっぱり公開することへの抵抗の方が強くて、もっと小さい規模になるのかもしれません。どちらにしても、イマココ!ってして何が楽しいの?という最初のハードルを、位置情報サービス全体で盛り上げて超えて行かなければいけないと思っています。」

近藤さんのiPhone4にはケースがついてなくて、「ケースはつけない派ですか?」なんて雑談をしていたら、「使い倒されたツールって好きなんです。こんなに使われて、コイツ幸せなやつだなーって思う。」と話してくれた近藤さん。「はてなココ」も、それくらい使い倒される、人々の生活に浸透したサービスになるのか。今後、アンドロイドアプリのリリース、またiPhoneアプリと同等のことができるくらいのAPIの公開を予定しているそうです。

【スタッフブロガー】三橋ゆか里

肩書きウェブディレクター。ディレクションの他、翻訳やライティングなど、フリーでお仕事してます。ツイッターIDは”yukari77“。

個人で運営している【TechDoll.jp】というサイトで、海外のテクノロジー、ソーシャルメディア、出版、マーケティングなどの情報を発信しています。目指せタイムリーな情報発信!

これまで雑誌のECで→UIデザインのコンサル→ウェブ制作会社などを渡り歩いてきました。そこで得たスキル、人、全部かけがえのない財産。幸せの方程式は、テクノロジー(UI, IA..)×マーケ×クロスカルチャー×書く・編集。いま一番夢に近いとこにいる。

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