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2009年9月にリリースと同時に米TechCrunchに取り上げられ、いっきに注目を集めた頓智ドット株式会社の「セカイカメラ」。iPhoneのセカイカメラ越しに現実空間を覗くと、位置情報に基づいて残された情報“エアタグ”が浮かび上がってきます。拡張現実(AR)を利用した日本の代表的サービス「セカイカメラ」について、広報の康(かん)さんとゼネラルマネージャーの矢野さんにお話を伺ってきました。本日リリースされたiPhone版 2.5.0のアップデートや、セカイカメラのツイッタークライアントのお話まで、最後までお楽しみください。
目指すのはあくまで「世界」
最初からあくまで「世界」を目指している、それが位置情報サービス、また一日本企業として見た頓智の特徴。ブレイク後、日本でのメディア掲載が多かったこともあり、全体の6~7割を日本ユーザが占めてはいるものの、最近リリースされたセカイカメラアプリ内で楽しめるゲームタイトルに関しても英語版を出すなど、常に「世界」を意識していることがわかります。現在40人ほどいる社員の国籍は5ヶ国にまたがり、外国籍の社員が15%ほどいるという、頓智そのものもインターナショナルな環境。以前に参加したTechCrunch Japan主催のイベントでも、CEOの井口氏のキーノート資料は全部英語でした。まず日本で地を固めて市場を世界に広げるのではなく、最初の最初から「世界」がビジョンに明確に刻まれています。
ユースケースの提示とプロモーション
セカイカメラに限らず、位置情報サービスが抱えている大きな課題のひとつが、ユースケースをいかに確立し、提示するか。ARというコンセプトが面白いことは間違いないけれど、一過性のユーザ登録ではなく、より生活やライフシーンに浸透するサービスになるための試行錯誤を繰り返しているといいます。その一環として実施しているのがセカイカメラを活用したプロモーション。セカイカメラを活用して何かインパクトのあるプロモーションはできないか、と問い合わせの数は捌ききれないほど多いそう。中でも、クライアントとセカイカメラ双方にユーザ獲得などの相乗効果が見込めるものを展開してきています。
全国展開しているようなフランチャイズと組むなどして、ユーザがいっきにスケールするようなプロモーションを積極的に展開していきたいと話す矢野さん。今月末から展開されるそんな取り組みのひとつを、記事後方でご紹介します。
ビジネスモデル
セカイカメラは、ビジネス向けソリューションとして「Sekai Camera eX」「OpenAir for API」を提供、その使用料がひとつの収益になっています。ウェブからエアタグを好きな位置に配置できる「Sekai Camera eX」と、エアタグデータを流し込めるAPIです。とはいえ、これらのソリューションを活用する企業はどちらかというとコンテンツパートナーといった意味合いの方が大きいそう。現在のパートナーには、飲食系や不動産が多いといいます。現状はB2Bが収益源になっているものの、今後はセカイカメラゲーム内でのユーザ課金や、広告モデルなどB2Cにシフトしていく可能性が高いそうです。
セカイカメラを生活に浸透させていくこと
セカイカメラのユーザは、まだまだアーリーアダプターが多いのが現状。アーリーアダプターの中でも、特に新しいもの好きな一部のユーザに使われているといいます。実際に使われるシーンも、週末の外出時など非日常的なシーンが多いそう。よく、民宿などに一言残していくためのノートが置いてありますよね?現在の使われ方は、どちらかというとあのノートのようなイメージ。ここぞという残したいメッセージがある際に使われることが多く、そのため写真の投稿率は高いんだとか。セカイカメラをいかにユーザの生活や日常に浸透したサービスにしていくか。そのひとつが今年7月にリリースされた「ばくはつカブーン」や「セカイユウシャ」などのセカイカメラのゲーム。ゲームの内容によって異なるデモグラフィックに響くものを提供していきたいと考えているそうです。人と遊ぶ、人とつながるという体験をゲームによって提供することで、ひとつのユースケースを確立し、スケールするためのひとつの突破口に繋げたいと。
また、単発のエアタグではなく、エアタグの固まりにいかにコミュニケーションのコンテキストを作っていくかも課題。時間軸や場所だけでなく、例えばイベントといったコンテキストでエアタグを紐づけることでコンテンツとして面白い見せ方をしていく。どのようにコンテキストを日常に散りばめて、かつ後からユニークな参照法を提供できるか。セカイカメラの進化はまだまだ続きそうです。
「セカイカメラ」のエンジニア主導
セカイカメラのエンジニアは全体の6割強。いかにイノベーションを生み出す組織をつくれるかを意識し、ボトムアップを重要視しています。発言権は誰にでもある。エンジニアの皆さんも、何か起こしたい!という志と高い技術力を持つクオリティの高い方が多いそう。年2回の開催を目指す全社員の合宿では、チームに分かれて競い合い、夜まで議論して朝にはプロトタイプができているほどの勢い。また、週に2回開催されるステアリングコミッティミーティングでは、次々に出てくるアイディアをフレキシブルに受け入れ、優先順位やリソースの見直しを行うといいます。全体の進行スピードが上がることは間違いないだろうし、アイディアを持っている人とそれを作る人が同じというのはひとつの強みかもしれない。エンジニア主導という、ひとつの頓智・文化を垣間見ることができました。
iPhone版 2.5.0でさらに進化
また、明日には新しいプロモーション「ユウシャジャパン」がスタート。セカイカメラゲーム「セカイユウシャ」を使って、現実の地域と連動したコンテンツを展開していくプロジェクトで、第一弾は岐阜県で展開。飛騨高山のお土産や名産などが、敵の要素やアイテムとしてゲーム内に登場します。また第二弾では、県知事も王様として登場しちゃうそうです。地域振興のためにセカイカメラを活用したいという自治体からの問い合わせは多く、岐阜県を皮切りに「ユウシャジャパン」が全国展開されていくかも。
頓智・はすごい勢いでメンバーを増やしていますが、まだまだ絶賛人材募集中だそうです。「頓智」こそ、頓智・の大事な資産。普通なことを言うと、「頓智が利いていない」とさされるそう。世界という社内に浸透されたビジョンに向けて、エッジのきいたメンバーが生み出す頓智の利いたサービスに今後も期待したいです。ツイッタークライアント含めいろいろとアップデートされているので、皆さんも改めてセカイカメラを起動してかざしてみてくださいね。
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