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DECOLOGストーリー、後編をお伝えします。ケータイ・ブログサービスとしてのDECOLOGについて、またDECOLOGが女の子に支持される理由などについては前編にまとめています。
DECOLOGから生まれる周辺ビジネス
ここまで濃い、リアルなネットワークをベースとした女の子のコミュニティがあると、そこから色々な声が聞こえてくる。そんな声を拾って、例えば女の子にとっての理想のつけまつ毛を商品化したり、女の子だけが参加できるフリマイベント「ギャルマ!」などを開催。まだまだ収益化できていないものの、女の子たちにブログ以外のコミュニケーションの場を提供しています。
フリマイベント「ギャルマ!」第2回目を開催
DECOLOGのユーザ間で個別にフリマ的なことをやっている子が多く、だったらDECOLOGで主催して色々な子を集めて同時開催したら面白いんじゃないかというのが「ギャルマ!」実現の背景。ギャルマも男の子は入場禁止、参加できるのは女の子だけ。また、普段DECOLOGでやり取りをしている女の子とリアルに会える場、超大規模オフ会だったりもします。今回の大阪会場のユニークな入場者数は5,400人。今後、「ギャルマ!」一開催場所当たりの入場者数を1万人まで持っていきたいそう。大阪で春秋に開催した場合、それで2万人。全国5箇所で開催できれば、年間10万人を動員する女子イベントとなり、その規模になれば相当面白いことができそう。
ネット専業だとお客さんの顔が見えにくかったりする。炎上するときの勢いは感じられても、プラスのものが見えにくい。「ギャルマ!」のようなリアルなイベントを開催することで、ユーザのプラスの勢いを肌で感じられる。大阪ギャルマ!の来場者専用BBSを見てもらえれば、その盛り上がりをほんの少しでも感じてもらえるかな。それにしても、本当に人酔いしちゃうくらいすごい人でした。雨はイベントの敵だと言われるけれど、まったくそんな気配なし。人気ブロガーさんと一緒に写真を撮ったり、普段DECOLOGでやり取りをしている子とリアルで初顔合わせをしていたり。ファッションでいうと、ギャル系からストリート系、正統派の子まで本当にいろんな女の子が一箇所に集まってました。彼女たちの共通点は、年齢が近いこと、そしてDECOLOGを日々使っていること。ネットとリアルを連動させている本当にいい事例なんじゃないでしょうか。
DECOLOG初のCD発売と雑誌創刊
さらに11月17日には雑誌も創刊。雑誌コードを発行してもらい、全国のコンビニや書店に並ぶそうです。ファッション誌ではなく、DECOLOGでブログを書く女の子のストーリーにフォーカスを当てた内容にしたいと話す光山さん。紙にはない奥行きをインターネットで実現できるはず、と。手探りだけど、女の子が喜ぶ雑誌を作っていきたいと話してくださいました。オンラインコミュニティと雑誌の連動は、これまでにもMySpaceやYahoo!などがやっているものの、コミュニティとの連動が弱いものばかり。もっとプラットフォームと雑誌が近い、そんな新しい形の実現を期待したいですね。
60億ページビューに対応する技術チーム
DECOLOGを本格的に始めるまで、受託開発をしていたミツバチ・ワークス。受託をしていた時の経験を活かす独特の開発に関する考えを持っています。受託をしていると、時に途中で時間がなくなって納品が間に合わないことだってある。そんな時決まって言われるのは、「技術力がない」というセリフ。結果、技術力を高めなくては、という反省に行き着くことが多い。でも、実際は営業フェーズ・仕様策定・ハードの調達・プログラミング・というそれぞれの過程において遅延が発生している。例えば、営業が発注書をもらうのに時間がかかったり、仕様が決まらなかったり、後から仕様が二転三転するなど。その結果、当初予定していた1ヶ月のプログラミング期間が半分になったりする。それを「技術力」が足りないの一言で片付けることは、本質と違うし、プラスにならない。そのため、DECOLOGではこのトータルの流れを「開発力」と呼んでいるそう。
全体の技術力をあげるよりも、開発力をあげる方が問題解決に繋がるようなことが多い。具体的には、仕様の策定のバージョン管理ができるようにしたり、営業の書類ツールをドキュメント化するといったような取り組みで、「開発力」アップに取り組んでいます。プロジェクトにおいて、全体を最適化するのが開発力。制作会社にいたことがある人間としてすごく同意。現在DECOLOGは絶賛人材募集中です。DECOLOGの技術部隊に加わりたい!という方、ディレクターをやりたい!という方、ぜひぜひ応募してみてくださいね。募集の時期などについては、@DECOLOG_TECHでも告知するそうなのでフォローしてみると良いかも。そうでなくても普通にオススメアカウントですよ。
DECOLOGのこれから
ミツバチ・ワークスがいちばん最初に作ったのは「acbi(アクビ) 」というSNSでした。広く普及することなく、DECOLOGという新たなサービスをリリース。acbiから学んだ反省点は、リリース前に作りこみすぎたこと。その教訓を活かして、DECOLOGではあくまでユーザの生の声をきちんと聞き、それを反映していくというやり方をとったそう。10代後半から20代前半の女の子が何を求めているのか、最初はわからないことだらけだったと言います。でもDECOLOGで彼女たちの日常を知り、彼女たちが喜ぶだろうと思うことを実施してきた結果、徐々に自信がついてきたと話す光山さん。
地域別でいうと、DECOLOGユーザは関東よりも近畿など地方に多い。いちばん最初に人気に火がついたブロガー女子が岡山出身で、その周辺から女子クラスタでサービスが広がっていった結果といえそう。ミクシィが強い関東圏では、まだまだユーザ獲得の課題が残っています。それでも女の子をターゲットにしたケータイ・ブログサービスでは関東でも一番。全体ユーザの中では1%、多くても5%というiPhoneユーザのためにiPhone対応も実施。サファリでもDECOLOGが見られるようになりました。さらに閲覧するだけならPCでも可能になりました。
今回の取材、約2時間みっちりお話を聞かせていただいたんですが、新規登録が数人だった時期を乗り越えて、月間60億ページビューを稼ぐに至るまで3年の道のり。自分と同じようなデモグラフィックのユーザがターゲットだと、逆に自分が邪魔をしてしまいがちなのかも。わかったような気がしてしまうというか。私ですら、同じ女子とはいえ、10代後半から20代前半の女の子となった途端にある意味異文化。でも、逆に異文化だからこそ、きちんとユーザの声を拾い、丁寧にサービスを作っていくことができたのかもしれない。また、なるほどーと思ったのは、サービスの有料化について。大人がターゲットでもハードルが高いサービスの有料化。今後、例えば特定の機能などを有料で提供するようなことはありえるかを聞いたところ、今のところ予定はないものの、実際のところ女の子はデコメや絵文字、着メロなどにすごくお金を使っている、と。問題は、簡単に携帯に決済できるかどうか。確かに若い女の子のあいだでは小口課金がすでに根付いているんですよね。ちょっと目にうろこでした。
実際にサービスを利用することはなくても、サービスそのもの、また技術面でもDECOLOGから学べることって本当にたくさんある。先述しましたが、DECOLOG技術チームのツイッターアカウントは、DECOLOG_TECH。ブログも書いているそう。今まで出会えなかったことを残念に思う反面、これから本気で応援したいサービスとの出会いに感謝。2回に渡ってお伝えした「DECOLOG」、今後もウォッチしていきたいと思います。
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