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「Ubuntu 10.10」リリース、クラウド強化・iPhone/Android対応も【増田@maskin真樹】


[読了時間:2分]



 英Canonicalは10月10日、Linuxディストリビューション「Ubuntu」の最新バージョン10.10(コードネームMaverick Meerkat)を正式に公開した。提供されるのは「Desktop」「Netbook」「Server」の各エディション。サイトから入手できるCDイメージなどからインストールできる。

 Ubuntuは年に2回、定期的なアップデートを実施している。前回のリリースは「10.4」で2010年4月に実施。今回は「10.10」で10月に実施されるという意味。「Desktopエディション」における今回の目玉はUI向上など多数あるが、最大のポイントはクラウドサービス「Ubuntu One」の強化にある。






 Ubuntuは10.4の段階から個人向けクラウドサービス「ubuntu one」を提供している。2GBの無料スペースを持ったDropboxに似たサービスで、ブックマークやTomboyという付箋紙ソフトのデータ連携などが提供されていたが、まだまだ非力という印象だった。今回の10.10提供にあわせWindows対応や「ubuntu one mobile」の提供を開始、iPhoneおよびAndroidとの連携を大幅強化。アドレス帳(アプリは9/25から提供)や写真のオンライン同期のほか、音楽配信サイト7Digitalを供給元とする「ubuntu one music store」で購入した楽曲をクラウド経由でストリーミング受信することもできるようになる。

 しかしながら「ubuntu one mobile」の使用は月額3.99ドル(年間39.99ドル)と有料。Appleの「mobile me」(年間9800円)に対抗しようとしているのだろうか。いずれにせよ、他の競合サービスに匹敵する出来栄えでないと、優位に立つのは難しいだろう。

UIも進化したネットブックエディション


 「Netbookエディション」にも大きな変化があった。最大のポイントは最新の「Unity」インタフェースに対応した点。上の画面は、筆者所有のネットブックにインストールしたところ。タッチパネルの機種ではないが、移動中でもトラックパッドでストレス無く操作できる。

 一方で、前バージョンから使用しているユーザーにとってはあまりの変わりように戸惑いを隠せない部分もある。

優秀なデスクトップUI

 新フィーチャーばかりにフォーカスしたが、ネットブックとともにデスクトップの起動が最速レベルに向上され、UIの完成度はさらに高くなった。

 例えば写真管理ソフトも機能的にはiPhoneに匹敵しないまでもかなり優秀になった。iPhoneやiPodとのシンクロが面倒な印象だったが、「ubuntu one mobile」によって改善される可能性が出てきた。

 前バージョンからOSレベルで実装されていたソーシャルメディア機能、つまりTwitterやFacebookとの連携もパワーアップしている。「ubuntu one」ではソーシャルメディアのコメントもフルバックアップしてくれる。

 ざっと一通り紹介したが、「Linuxなんて難しそう」と感じている人は、是非一度インストールしてみて欲しい。難しいどころか、直感的で軽快、しかもソフトウェアは無料だ。

■ 関連URL
・Ubuntu
http://www.ubuntu.com/

蛇足:僕はこう思ったッス

僕のメインマシンは「Ubuntu」。デスクトップ用途からサブノートまで所有するほとんどのマシンにインストールして使っている。自分専用情報収集サーバーもUbuntu Server Editionが動いている。emacsとの組み合わせで書籍まで執筆する。何よりインターフェイスが優秀だし、動作がとても軽快。Windows動作マシンはもちろん、Intel Macでも少し古かろうが大抵はインストールでき快適に動作する。日本語も全く問題ない。基本的に執筆から開発、ビジネス文書作成までUbuntuで事足りる。日本でもっと普及してもおかしくないと思う。
ただiTunesや画像加工系のソフトのためにMac OS Xのマシンも併用せざるを得ない状況がある。しかし今回のような音楽系サービス提供などの試みが打破してくれることを望んでいる。

著者プロフィール:増田(maskin)真樹twitter:maskinmetamix)
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 アスキーのApple系雑誌でライターデビュー。1990年より執筆およびネットメディアクリエイターとして活動を開始。週刊アスキーを初め、日経BP、インプレス、毎日コミュニケーション、ソフトバンク、日経新聞など多数のIT関連媒体で活躍。
 独立系R&D企業のマーケティング部責任者として教育・研究開発向け製品の輸入企画や開発、マーケティングに関与。専門家向けプロショップ運営。雑誌ライターとして90年代を疾走後、シリコンバレーで証券情報サービス立ち上げに参画。帰国後、ネットエイジでコンテンツディレクターとして複数のスタートアップに関与。関心空間、富裕層SNSのnileport、ニフティやソニーなどのブログ&SNS国内展開に広く関与。
 現在、TechWaveのスタッフライター1号機として活動する他、書籍などを中心に執筆活動および講演活動を展開。大手携帯キャリア公式ニュースポータルサイト編集デスク。スタートアッププロジェクトのアドバイザー等として活動する。ソーシャルメディアやブリック&ブロックのプロ。書き手として、また実業家として長年IT業界に関わる希有な存在。詳しいプロフィールはこちら

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