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ガートナー・ハイプサイクルに見る技術バブルの推移予測【湯川】

[読了時間:8分]

 3Dテレビはバブル真っ最中。これから一気に熱が冷める!?

 米調査会社Gartnerが1800種類ものテクノロジーのハイプサイクルを発表している。ハイプとは、過度に期待が高まっている状態のこと。ブームやバブルのことを指す。2、3年前に産業界がこぞって三次元空間セカンドライフに参入したのはハイプだった。多くの技術は、登場してから期待を集め、過度に期待が高まればバブルが弾け、その後ゆっくりと完成の域に達して普及していく。この一連の過程を、ハイプサイクルと呼ぶわけだ。

 もちろん中には、過度の期待を集めることなく完成し普及していく技術もある。今話題の技術は単なるバブルなのか、広く普及するのは何年後になるのか、などをGartnerがまとめたのがこの図だ。

 僕自身の予測とは異なるところも多々あるんだけれど、おもしろそうなものを幾つか、紹介、解説したい。


▼2年以内に成熟し普及する技術

 白い◯は、2年以内に成熟期を迎え普及すると思われる技術。ペンベースのタブレットパソコンがその先頭を走っている。そうかなあ。そんなの使っている人、周りにいないんだけど。恐らく医療現場や倉庫の中で使うタブレット機器のことを指しているのだと思う。

 そのほかの白い◯には、Predictive Analytics、モバイルアプリ市場、CGMがある。Predictive Analyticsって何だ?英語のWikipediaによると、統計、データマイニング、ゲーム理論などを使って過去、現在のデータを解析し、未来を予測する技術のことらしい。データをベースにした経営のためのソフトやシステムなんだろう。あまり日本では使っているところがないのかもしれないけど、米国の企業なんかは使ってそうだなあ。

 モバイルアプリ市場って、iPhoneのAppStoreなんかのことを指しているのだろう。確かにスマートフォンも広く普及し始めたし、スマートフォンの種類も増えてきた。テレビやパソコン上にもアプリ市場が登場してきた。もうあって当然のフツーの技術になりつつある。

 CGMもそう。最近はソーシャルメディアって言い方が一般化してきたけど。僕が爆発するソーシャルメディア
という本を出したのが2007年3月。僕からすれば、ソーシャルメディアという言葉が普及するのに時間がかかったなって感じ。もう少したってから出せば、もっと売れたかもしれなかった。トホホ。

▼2年から5年で成熟し普及する技術

 水色の◯は、2年から5年で成熟し、普及する技術。

 Speech Recognition(音声認識)、Location Aware Applications(位置情報アプリ)、 Electronic Paper(電子ペーパー)、Interactive TV(対話型テレビ)、Biometric Authentication Methods(生体認証) Idea Managementなどは、今後過度に期待されることもなく成熟し、普及していく技術だとしている。

 確かに音声認識って長い間まったく使い物にならなかったけど、iPhoneなんかのGoogleアプリの音声認識ってほんと精度がよくなっているもんな。2年から5年もすれば確かにもっと使えるようになるだろうし、いろんなアプリに搭載されていくような気がする。

 位置情報アプリって特に日本ではアーリーアダプター層の間で人気。日本に限っては2年以内にキャズムを超えるか超えないかぐらいのところまで普及するんじゃないかと思う。GoogleやFacebookなんかも力を入れてきそうなんで、この領域は今後激変するんじゃないだろうか。

 電子ペーパーはAmazonの電子書籍リーダーのkindleなんかにも搭載されているし、今後はポスターの変わりなんかに使われるようになるかもしれない。確かに過度の期待でバブルになりそうな技術ではない。

 対話型テレビってどんなことをいうのかよく分からない。もう一つInternet TVという名称の技術も青色の◯になっている。対話型テレビって、今はほとんどインターネットテレビと同義語のように思うんだけど、どういうことなんだろう。Gartnerによると、対話型テレビのほうは今後バブルになることもなく5年から10年で普及、Internet TVはバブル寸前の上り坂に位置している。これからバブルの絶頂期を迎えるという場所だ。となると、対話型テレビとは、HDDレコーダーやDVDレコーダーつきテレビのことをいって、Internet TVとはGoogleTVやAppleTVのことをいうのだろうな。GoogleTV、AppleTVともに今、ホットな領域になりつつあるから。

 生体認証ってあまりニュースにもならないので、まあ今後バブルになることはないんだろう。瞳や指紋で認識しID代わりになるという仕組みは確かに2年から5年もすればあちらこちらで採用されているような気はする。

 Idea Managementって、例えばクラウドソーシングのように非常に多くの人のアイデアをまとめる技術のことらしい。みんなで小説を書き上げたり、翻訳したり、wikipediaのような知識を集積したりって仕組みは、地味に普及していくのだろうなあ。

▼バブルが終わった技術

Video Telepresence、E-Book Readers(電子書籍リーダー)、Microblogging(ミニブログ)、Gesture Recognition(ジェスチャー認識)などといった技術はもうバブルが終わった技術と、Gartnerは考えている。

 Video Telepresenceのはテレビ会議のようなテクノロジーを含む技術の総称。ジェスチャー認識は、デジタルサイネージの見本市で見たことがある指や腕の動作をカメラが認識してそれに合わせてディスプレーが変化する。マウスやキーボードの代わりにジェスチャーでコンピューターを操作するわけだ。

 電子書籍リーダーや、Twitterなどのミニブログなどのバブルはもうそろそろ終わり、というのはそうかもしれない。だめになっていくということじゃなくて、これからは当たり前のように普及し、5年後にはかなりの人がフツーに使う技術になる、という予測だ。まあそうでしょう。でも日本国内に関しては、電子書籍リーダーが5年後にフツーに普及しているのかどうかは分からない。それは出版業界がいいコンテンツを電子化するかどうかにかかっていると思う。

▼バブルの絶頂

Cloud/Web Platforms、Cloud Computing、Activity Streams、3D Plat-Panel TVs and Displays、Media Tablet、Private Cloud Computingなどの技術は今がバブル真っ最中。これから一気に熱が冷める技術だという。Cloud/Web PlatformsってGartnerは何のことを指しているんだろう。salesforce.comや、Facebookのようなプラットフォームのことを指しているのだろうか。確かにsalesforceは少し前に非常に注目されたし、今はFacebookが映画になるなどしてブームになっている。クラウドコンピューティングもIT業界だけではなく一般企業の間でも注目され始めたのでもうそろそろブームは終わりか。3Dテレビは、テレビ広告や家電量販店の店頭では大きく扱われたりしているけれど、僕のネット系の友人たちの中で熱く語られているのを見たことがない。

 Media Tabletというのは、iPadのようなデバイスを指すのだと思う。確かに最初熱狂的だった人たちもクールダウンし始めたもようなので、Gartnerの指摘は正しいと思う。

 Private Cloud Computingというのは、gmailのようなクラウドコンピューティングを自前のデータセンターで持とうということ。パブリックなクラウドコンピューティングサービス関連の技術が進歩してきたので、大企業の中には、社員のために同様のサービスを自社データセンターをベースに提供しようという動きが出てきているようだ。

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