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sFundは、シリコンバレーの有力ベンチャーキャピタルのKleiner Perkins Caufield & Byers(KPCB)が中心になり創設、Amazon、Facebookに加え、ソーシャルゲーム最大手のZyngaが協力する。総額2億5000万ドルをソーシャル系ベンチャーに投資していくほか、Amazonは同社のクラウドコンピューティングのサービスAmazon Web Servicesを提供し、FacebookはFacebookのプラットフォームを提供する。Zyngaは、AmazonのクラウドサービスやFacebookのプラットフォームを利用して成功した経験をもとに、ベンチャー企業を支援するという。
KPCBのJohn Doerr氏は、「今はIT業界にとって第3の時代の幕開けだ」と指摘する。第1の時代は、半導体やパソコンが登場した1980年代から90年代半ばまで。第2の時代は、インターネットの商業利用が広がった1990年代の半ばから2010年まで。そして今まさに新しい時代が幕を切って落とそうとしているという。
Doerr氏が、その時代の変化に気づいたのはZyngaのソーシャルゲームがきっかけだった。Zynga以前にも対戦ゲームなど友人とプレーできるゲームはあったが、Zyngaの農場ゲームなどは友人の収穫を手伝うなどという行為を前提に作られたゲーム。友人とプレーしなければ、一人でプレーしてもまったく楽しくないゲームになっている。こうしたソーシャルな要素を基盤に取り入れることで、Zyngaは急成長した。これを見てソーシャルが創りだす新しい時代の到来を感じたのだという。
Zuckerberg氏は、Zynga以前にもソーシャルのパワーに気づいていたという。Facebook上のサービスで、友人と楽しむということを前提に構築したものはすべて、急成長してきたからだ。
Facebookの写真アルバムもそうしたサービスの1つ。写真に写っている友人の名前をタグとして記入すると、その友人に通知される仕組みになっている。それまでの他社の写真アルバムサービスは写真の解像度や印刷機能などで競争していたが、Facebookの写真アルバムサービスは写真を友達と一緒に見るということを前提にサービスを組み立てた。
Facebookの写真アルバムサービスは後発にもかかわらず、競合他社の写真サービスの数倍の利用頻度を達成するようになった。ソーシャルな機能を前提に、サービス自体を一から組み立てたからだという。
Zuckerberg氏は、Zyngaがゲーム業界に激震を起こしたように、今後あらゆる業界がソーシャルな要素をベースにした技術やサービス、ツールで激変する可能性があると指摘する。その可能性を持つベンチャー企業を、これらの企業で支援していこうというわけだ。
ゲーム業界以外にどのような分野がソーシャルをベースに大きく変わる可能性があるのだろうか。KPCBは既に何社かソーシャルベンチャーに出資している。そのうちの1つが、日本人ユーザーの間でも人気が高いiPadのアプリ「flipboard」だ。
flipboardは自分がフォローしているTwitterユーザーのTweetの中に引用されているリンクのウェブページを、まるで電子マガジンのような体裁で表示してくれるアプリ。微調整を繰り返すことで、自分の人間関係を通じて流れてくるニュースや情報のページを自分好みの電子マガジンに仕立てることが可能。自分の人間関係を基盤に作り上げる新しい情報摂取の形、新しいメディアの形だといえる。
sFund Announcement, October 21, 2010 – Facebook