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KDDI「au携帯用Skype」本日ダウンロード開始、けどこれ禁断のアプリなの? 【増田(@maskin)真樹】

[読了時間:1分]

 SkypeとKDDIは11月26日、携帯ブランドau向けにIPテレフォニーサービス「au携帯用Skype」の無料でダウンロード開始した。同日発売のauのスマートフォン「au IS03」と「au IS01」で動作する。当然ながらスカイプユーザー間の通話は無料。海外への通信でスカイプレートが適用されお得間もあり、携帯ならではのチューニングも施してあるが、国内電話への発信は不可。“禁断のアプリ”と言えるほどのものか疑問がある。





 というのもユーザー側から見た場合、あえてau携帯専用Skypeを使用するメリットというのは常時待機状態になるという点と、Skypeユーザー同士の音声通話そのものがパケット代と関係なく無料である所でしかない。携帯アドレス帳と連携したという点もあるが、そもそも国内通話非対応なので利点という段階ではない印象だ。

 細かい部分で、音質や安定性、電池の持ちがどれほど良いかが焦点になるが、そもそも普通の携帯電話通話よりも快適に使えない限り移動中にSkypeで通話する理由はないし、長電話に使うという使途を見出した人はすでにパソコン等で通話する方法を取っているように思えるため、au携帯Skypeが登場したからと言って、iPhone用スカイプが3Gでも通話できるようになった時のほどのインパクトがない様に感じてしまう。

 そりゃ、パケット代に加算されず無料通話ができる点、一般通話と同じようにエンドtoエンドで回線を独占する回線交換方式を使用することで、Skypeで最も負荷がかかるエンコードとP2P(ピア・ツー・ピア)通信におけるサーバー等とのセッションを回避し、Skype実行にかかるCPUの負荷低減や音質の面で優位性があるなど、キャリアに取っては画期的な試みが投入されているし、もしかするとSkype投入でARPU(携帯加入者1契約あたりの売上)が減少するかもしれないリスクを取った勇気が存在するかもしれないが、それをわざわざ禁断のアプリと公言するのは事業者よがりのような印象を受ける。

 と、まあ、どうも中途半端な感じが満載なので突っ込みまくりたくなる人も多いだろう。禁断のアプリとまで言うのだったら、ユーザーメリットについても「禁断を破ってここまでやった」と言えるように、チャットなどの有料部分を無料にしたり、国内通話を含めSkype融合統一インターフェイスで「新たなARPUモデルに着手」するくらいのことは言って欲しかったと思うのは筆者だけではないはずだ。

■ 関連URL
・Skype™ | スマートフォン | au by KDDI
http://www.au.kddi.com/seihin/ichiran/smartphone/skype/index.html
・KDDIとSkypeの戦略的包括提携「Skype™ au」の提供について
http://www.kddi.com/corporate/news_release/2010/1018h/index.html

蛇足:僕はこう思ったッス

回線交換方式に賛否両論があるようだけど僕は賛成。SkypeにはP2P通信を確立するためにスーパーノードという「特別なユーザー」が存在する。存在といっても既存のユーザーが勝手に任命され、その界隈の通信におけるサーバー的役割を果たすので、ここが重いと遅延が出たりグデグデになる。その点、回線交換方式はエンドtoエンドで独占回線を使用できるわけで、その部分はP2Pとは切り離していると考えられる。キャリア内部の(古い設備かもしれないけど)リソースまで活用しているのだろうから、一歩踏み込んだ感はあるし、実は「ここから先」があるのだろうと期待していたりする。つまり、アプリ登場は中途半端だけど、次章があってその禁断の扉を開いたという意味だったのではないか。考え過ぎかもしれないけど、KDDIのau以外の通信インフラでも包括提携しているわけだから、チャレンジは応援していきたいッス。

と、いいつつ、こんな動画を紹介したりして

著者プロフィール:文筆家・イマジニア 増田(maskin)真樹

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 十代からメディアクリエイターとして企画設計からマーケティングまでマルチな才能を発揮。週刊アスキーなど多数のIT関連媒体で活躍。雑誌ライターとして90年代を疾走後、シリコンバレーで証券情報サービスの起業に参画。帰国後、ネットエイジで複数のスタートアップに関与。関心空間、富裕層SNSのnileport、@cosme、ニフティやソニーなどのブログ&SNS国内展開に広く関与。坂本龍一氏などが参加するプロジェクトのブログ立ち上げなどを主導する。

 数年間の休眠後、現在TechWaveのスタッフライター1号機として活動する他、書籍などを中心に執筆活動および講演活動を展開。大手携帯キャリア公式ニュースポータルサイト編集デスク。DJやイベントオーガナイザー。スタートアッププロジェクトのアドバイザー等として活動。ユニークな経験、独自の情報ツール等を武器に、徐々にフルスロットル状態へ。

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