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【UST報告】企業のあり方は「B to C」から「B with C」という時代へ – Facebookが加速する企業と消費者のソーシャルメディアコミュニケーション

 12月9日にUst配信させて頂いた、株式会社メンバーズ主催のセミナー「Facebookが加速する企業と消費者のソーシャルメディアコミュニケーション」の報告です。
 今回はIVSで京都出張中の私に代わり、TechWave Ustream部隊の一員でもあるイイヅカアキラさんに配信・報告をしてもらいました。(本田正浩:TechWave)

[読了時間:5分]

 今回は株式会社ループス・コミュニケーションズの斉藤さん、株式会社メンバーズの原さん、株式会社良品計画の風間さんによる講演がありました。すべてUSTREAMのアーカイブがご覧頂けますので、是非お時間のある時にご覧ください。

生活者に共感され、愛され、そのパワーを得た企業のみが生き残っていく

 第1部は「Marketing 3.0 変化する企業と消費者のソーシャルコミュニケーション」と題して、株式会社ループス・コミュニケーションズの斉藤さんによる講演が行われました。

 講演の内容としては「生活者の意識やメディアの変化にあわせて企業も変わっていかなければいけない」という背景のもと、「どのように時代は変化しているのか」という解説から「今後企業はどのようなコミュニケーションが求められていくのか」というものでした。

 興味深かったのは、これからは「生活者に共感され、愛され、そのパワーを得た企業のみが生き残っていく」というお話です。
 現在はソーシャルメディアの台頭によって利用者が力を持ち始めていますが、これからはこの力を持ち始めた利用者に「どのように協力してもらうか?」ということを考えていくことが企業にとって重要になってくるのでしょう。

 もう1つ興味深いかったのはZapposの企業姿勢のお話です。自社の利益にならなくても顧客にとっての最善を追求することで、長期的な信頼を得る「アドボカシー・マーケティング」の考え方を実践する企業としてZapposが紹介されていました。
 Zapposはオンラインで靴を販売する企業ですが、利用者から「靴が売り切れている」という問い合わせがあった際に、他のお店を検索し「Amazonなら在庫があるようです」と、自社の利益にならないにも関わらず、お客様にとって最善となるような提案を行うというのです。
 これらの行動は短期的では損になると言えるかもしれませんが、長期的に見ればお客様の信頼を獲得し、今後利用者が「Zapposで靴を買う」という行動に移りZapposの利益になるのかもしれません。Zapposの取り組みはいろいろと興味深いお話が多いですね。

 後半ではFacebookの事例が紹介されています。斉藤さんのブログで講演のスライドも公開されていますので、是非そちらとあわせてご確認ください。

Be to CからB with Cヘ

 第2部は「無印良品の事例に見る 企業サイトのFacebookファンページ活用」と題して、株式会社メンバーズの原さんによる講演が行われました。

 原さんからは、Facebook Japanや日本で運営されているFacebookファンページの現状が紹介されました。現状アクティブユーザーが180万人程度というまだまだ少ない現状の中で、Facebookを活用するメリットの解説がありました。

 そして、ケーススタディとして無印良品の事例も紹介されています。
 この中で無印良品の現在の考え方が紹介されたのですが、興味深かったのは従来の「B to C」から「B with C」というスタンスにコンセプトが変わっているというものでした。
 これは今回のセミナーの共通するテーマでもあると感じますし、時代をうまく言い表しているようにも感じます。

ソーシャルメディアにいる「人」を意識したコミュニケーション

 第3部は「無印良品の「中の人」が語るコミュニケーションのコツとは」と題して、株式会社良品計画の風間さんによる講演が行われました。

 Twitterは現在11万人超のフォロワーを持つ無印良品のTwitterの中の人によるお話が聞けました。まさに中の人の貴重なお話といった感じで、具体的な事例が紹介された興味深いお話でした。

無印良品の運用ポリシーとして以下の例が紹介されています。

・「握手」をするぐらいの距離感
・押し売りしない(商品PRも、あくまで紹介にとどめる)
・無印良品のアノニマス性を崩さぬよう、あえて一人称を出さない。
 しかし、その先に「人」がいることを感じさせる対応
・質問には可能な限り返信するが、判断が難しい内容はCS部署等と連携
・原則勤務時間内での対応

 これらのポリシーから感じるのは、向こう側に居る「人」を意識していることでした。Twitterで発せられるメッセージの1つ1つが人によるものであることを強く意識した対応を無印良品は実践しているのではないでしょうか。この点は、当たり前のことのようで、おざなりになりがちな点であるといえると思います。

 話の中には「能動的な顧客サーポートが可能であることはTwitterの大きな魅力」という、Twitterが可能にしたリアルタイムなアクティブサポートの話もありました。「無印」をキーワードでTwitterの発言を検索し、アプローチすることもあるようで、例えば「調布に無印良品ってあるのかなぁ?」という声があれば、メッセージを送って調布にある店舗を紹介するという能動的なアプローチも行われているようです。

 他にも「声に耳を傾けることで、新たな対話が生まれる」「同じ時間の共有はTwitterの醍醐味」「心に刺さるアプローチが絆(共感)を深める」という実践から生まれた教訓をたくさん聞くことができました。
 時事ネタに絡めて自社製品を紹介するというアプローチのお話もあり、とても興味深い内容でした。企業の担当者の方は是非ご覧になってみてください。

 「B to C」から「B with C」へ。これからの企業は利用者と一緒に商品を考え、一緒に商品を売り、一緒に課題を解決していくことが求められていく時代に変わっていっているのだなぁ。ということを実感するセミナーでした。

 2010年は日本においてソーシャルメディアの潮流が変わった年になったと思いますが、来年は企業にとってより大きな変革が求められる年になるのかもしれませんね。

【ゲストブロガー】イイヅカアキラ

ブロガー / クリエイターとして活動中。現在はフリーでウェブサイト制作をしながら、TECH SE7ENという個人メディアを展開し、新しいメディアのあり方、新しい働き方を模索中です。
TECH SE7ENはソーシャルメディアやウェブサービス、ガジェットの話題を扱っており、ライブドアブログ奨学生にも選ばれました。
Twitter:http://twitter.com/aixca

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