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2011年の業界予測のまとめ【ループス斉藤徹】

[読了時間:4分]

株式会社ループス・コミュニケーションズ代表取締役
斉藤 徹

2011年、激動するソーシャルメディアには、どんなドラマが待っているのだろうか?
米国ブログメディアのMashableがまとめた予言集を紹介して、その息吹を感じ取りたい。

95+ Predictions for the Web in 2011

この中に含まれる18分野の予言のうち、読者の皆様が興味をもつであろう10分野に絞り、それぞれの見出しを邦訳した。短いコピーの羅列だが、意外に味わい深く、明日が浮かび上がってくるようだ。意訳しているものの多いので、さらに興味があれば、ぜひ該当記事を直接読まれることをおすすめします。
 
 
1. Social Networks in 2011 by Ben Parr
・Googleのソーシャルネットワークは、手ひどく失敗するだろう
・中途半端な規模になってしまったMySpaceは、売りに出されるだろう
・Beboのオーナーは、また変わるだろう
・Facebookの上場は、2011年にはないだろう
・Twitterは、堅実だが代わり映えのない年になるだろう
・今年のソーシャルネットワークのトレンドは、すばりモバイルフォトだろう
 
2. Social Media Marketing in 2011 by Tim Feriss
・YouTubeは、Yahooを凌駕するだろう
・Eメールは、よみがえるだろう
・大企業は、意味のない効果測定にお金を浪費するだろう
・広告と会話は、さまざまなコンバージョンレイトに影響を与えるだろう


3. Degital Advertising in 2011 by Jesse Thomas
・ローカル広告は、ふたたび地域と関係を深めるだろう
・Madison AevnueからSillicon Valleyへ。広告系の花形業種は移動するだろう
・インフルエンサーは、ソーシャルウェブにおけるセレブリティになるだろう
・新興ベンチャーから、新たなソーシャルメディアのスターが誕生するだろう
・ブランドは、よりメディア企業のようになるだろう
・Facebookの「Like」は、ブランドにとって重要になるだろう

4. News Media in 2011 by Vadim Lacruslk
・漏洩(Leaks)とジャーナリズムは、新たなメディア要素になるだろう
・多くのメディアで買収劇がおきるだろう
・タブレットオンリー、モバイルファーストを標榜する新しい企業が登場するだろう
・ローカルベースの新しい消費が発生するだろう
・ソーシャル vs 検索 の競争が続くだろう
・海外特派員はなくなっていくだろう
・大手メディアは独立系専門チームを束ねる巨大キュレーションとなるだろう
・ソーシャルでつくる物語(電車男のような)が世の中に輩出されるだろう
・報道機関は、ソーシャルメディアをよりスマートに使いこなすだろう
・インラクティブTVが陽の目をあびるだろう

5. Mobile in 2011 by Christina Warren
・タブレットへの熱狂が最高潮に達するだろう
・モバイルでの写真共有は、動画にまで広がっていくだろう
・HTML5アプリが急増するだろう
・Flashは今後もモバイルでは重要な存在にはならないだろう
・Verizon版iPhoneが登場するだろう

6. Startups in 2011 by Jennifer Van Grove
・オブジェクト・タギング(QRコードなどのタグ化)が注目されるだろう
・エンターテインメントへのチェックインサービスが注目されるだろう
・オンライン・コミュニティが、デジタル体験において最も重要になるだろう
・よりプライベートなロケーションサービスが人気をあつめるだろう
・モバイル写真共有がブームになるだろう

7. Music in 2011 by Brenna Ehrlich
・会員制音楽配信サービスは人気が出るが、儲からないだろう
・多くのアーティストが、ソーシャルメディア活用に本腰をいれるだろう
・Music Videoは引き続き発展していくだろう
・Ping(AppleのMusic Social Network)は、決して流行らないだろう
・音楽著作権は死なないだろう

8. Game in 2011 by Charlie White
・スマートフォンや専用ゲーム機など、モバイルゲームの需要が増えるだろう
・モーションゲーム用デバイスが飛ぶように売れるだろう
・Flashは崩壊 ~ 特にモバイルでは、HTML5が伸びるだろう
・WiiにはHD(高解像度)が必要だろう
・人気ゲームのリリースは遅れるだろう
・Appleが家庭用ゲーム機分野に参入するだろう
・大ヒットiPhoneゲーム、Angry Birdには様々なバリエーションがでるだろう

9. Connected Devices in 2011 by Brian David Johnson
・どこにでも、スクリーン、スクリーン、スクリーン・・・
・次のコンピューティング環境は、ベッドだろう
・車は、あなたを運ぶモバイルデバイスとなるだろう
・人々は、やっぱりテレビが好き

10. E-Book Publishing in 2011 by Phillip Ruppel
・より高機能の電子書籍リーダーが登場するだろう
・デバイス戦争はもうまもなく終わるだろう
・$9.99電子書籍(安売り)は、長くつづかないだろう
・今読んでいる書籍から次の関連書籍へアップセルするビジネスモデルが現れるだろう
・出版社は(質の悪いコンテンツがあふれるため)より重要な立場になるだろう
 
 
私自身が興味を惹かれたのは6のスタートアップ。これからの新しいソーシャルテクノロジーだ。
 
中でも、Social Networks、Mobileでも言及されている「モバイル写真共有サービス」は、特に注目すべきものだろう。ただしこれは単純な共有サービスではない。例えるならば、Twitterの写真版。テキストではなく、写真で「みんなの今」を共有しあうサービスだ。顔出しになれない世代や日本人には不向きに もだろうが、ムーブメントとしては非常に興味深いものだ。

Web2.0サミットにて、同サービスを提供しているDailybooth社のCEOによるプレゼンテーションがあるので、興味いる方はぜひチェックください。(英語のみです) 新しいソーシャルの世界が見えてくるはずです。  
 

 

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最新の筆者著書です。 『入門から業界動向までひと目でわかる ソーシャルメディア』


著者プロフィール:斉藤 徹 (さいとう とおる)
株式会社ループス・コミュニケーションズ代表取締役
2005年が創業。国内での企業向けSNS構築分野でトップシェアです。
(ミック経済研究所,アイティーアール社 2008年調査にて)
現在は,企業コミュニティを単体で捉えるのではなく,多様なソーシャルメディアと有機的に結びつけ「クチコミ動線」を設計・構築・運用するコンサルティング・ファームとしての色合いを強めています。 

書籍・コラム・ブログは個人活動ですが,ビジョンとノウハウは,ループス社員一同で共有しています。創業テーマである Socialmedia Dynamics を見つめながら,ソーシャルメディアやクラウドソーシングの分野で高い専門性を磨き続けたいと日々励んでいます。(といっても全く堅い人間ではないです。 特に夜は柔らか過ぎと定評です)

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蛇足:オレはこう思う

幾つかあれ?って思うところがあったので、原文を読んでみた。
例えば「Eメールがよみがえるだろう」という予測。
原文を読んでみると、ソーシャルメディアよりもEメールに賭けるほうが確実という話。なぜかと言うと2007年ごろには猫も杓子もMySpaceに賭けたけど、今はFacebookの時代になったので、そのときの投資が無駄になったから。Facebookも未来永劫栄えるかどうか分からないのだったら、メールマーケティングに力を入れましょ、っていう理屈なんだと思う。でも個人的には、スパムメールってソーシャルメディアの時代にはマイナス効果しかないんだと思うけど。

こうした予測って、当たるのか外れるのかが重要ではなく、その根底にある物の見方が重要なんだと思う。時間があれば原文に当たって、それについての考えをエントリーにしてみたい。

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