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Facebook禁止でも中国でユーザー急増中 香港では既に生活の一部に【マインドフリーDaniel Leung】

[読了時間:5分]

2月18日に大阪で、TechWaveとマインドフリー株式会社が共催したイベント「ソーシャルが開く2011年のビジネスチャンス」の中で、マインドフリーのレオン・メイ・ダニエルさんのお話が面白かったので、その内容を寄稿していただきました。ダニエルさんは、香港出身。大阪の女性と結婚されたので、大阪で起業されました。香港、台湾、中国本土の情報に詳しく、セミナーでは、Facebookへのアクセスが中国では政府の政策として禁止されているのにもかかわらず、富裕層を中心にあの手この手でアクセスする人が増えているというお話や、香港では既に生活の一部になっているというようなお話をしていただきました。

マインドフリー株式会社
代表取締役
レオン・メ・イ・ダニエル(Daniel Leung)

 2月18日のセミナーでお話しました内容の一部を記事にしまして、情報共有したいと思います。少しでも皆さんのお役に立つのでしたら幸いです。

アクセス禁止でも70万人

 まず、中国では、現在Facebookのユーザーが約70万人とというデータがあります。ユーザー数は11月から急成長中です。No.1のFacebookページ(ファンページ)は航空会社です。ユーザが増え始めたばかりなので、日本と同じように、Facebookページの数はまだまだ少ないです。

 中国ではFacebookを見ることできないのでは?と思う方がいらっしゃると思います。確かに中国では普通のやり方だとFacebookを見ることができません。でも、それがイコール、ユーザーがいないということではないのです。実際、私の中国人の友人の多くはVPN接続でFacebookに毎日アクセスしています。中国で見ることのできないサイトでも専用回線を利用するなどの方法を見つけてきて、アクセスして見ています。そういう人たちが観光で来日した際にも、頻繁にFacebookをチェックしていました。バケット代をまったく気にしないで、アクセスしていました。

香港の人口の半分が利用

 香港について言えば、700万の人口のうち既に約390万人がFacebookユーザーです。人口の半分以上の利用率です。統計を見れば、1ユーザー当たり1ヶ月に37回もログインをしている状況です。

 私自身はFacebookを3年前から利用しています。最初は参加したいという気になかなかならなくて、友達から招待メールがきてもずっと拒否し続けていました。しかし毎日のように招待メールが何通もくると、「自分も入らないといけないかな」と思うようになり、最後にはFacebookに登録することになりました。

 今は毎日アクセスして、自分の中で一番アクセスするサイトになりました。400名くらいの友達のうち、半分以上は海外の友達で、さらにそのうち親戚は60人ほどです。私の母は毎日ログインしていますし、80歳の祖父も週に2,3回アクセスしています。

 注目すべきのは、母も祖父も既に1、2年Facebookを使っていますが、一度も投稿したことも、コメントしたこともありません。何をしているのかというと、ただ知り合いがアップした写真を見ているだけなのです。

 香港の調査では、Facebookの利用方法で最も多いのが(1)友達、家族の写真、動画をみる(2)ゲームをする(3)お得情報探し という順番になっています。このことからも香港ではFacebookが生活インフラになっていることが分かります。

 下記の写真は香港のShoppingモールのInfomationセンターの写真です。”Find Us on Facebook”と書かれたサインが見られます。統計はありませんが、相当多くの店舗がこのような案内看板を掲示しています。飲食店はもちろん、小売店などでもこうした案内を掲示するところが多いです。

 日本では、ぐるなびの案内看板やカードを飲食店でよく見かけますが、今後はMIXI、グリーなどのSNS上の企業ページへ誘導するような看板やカードが増えるかもしれません。自社のホームページへ誘導するよりも、SNSなどへ誘導し、友人にレコメンドしてもらうほうが効果的だからです。SNSの企業ページのほうがユーザーと交流できますし、その結果EC購買につながる動きにもなりやすいからです。

 実際私が香港行った際にも、友達が前日行った店からFacebookを通じて「友達紹介割引券」をもらいました。友人、家族からの情報の信頼度が高いので、ソーシャルメディアを通じたマーケティングが効果的だ、とよく言われますが、まさにその通りだと思います。

 自社のホームページは、あくまでも自社の商品、情報を正確に発信する場所。ただしそれしかできない。一方でFacebookのようなソーシャルメディアは、友人などを通じて情報を流してもらう場所。自社ホームページとソーシャルメディアとの機能の違いを理解し、いかに双方をうまく組み合わせてユーザーにリーチすべきかを、真剣に考える時期にきているのだと思います。

台湾は3年でトップSNSに

 一方で台湾は香港ほどFacebookが普及しているわけではありませんが、人口約2300万人のうちFacebookユーザーは約1000万人。人口の44%が利用していることになります。

 もともと台湾にはMixiのようなSNSが存在していました。「無名小站」というサイトです。女の子が写真をいっぱい投稿しているだけのSNSですが、急成長したので、2007年に台湾ヤフーに買収されました。ユーザー数は約800万人です。

 しかしFacebookが台湾版を公開した3年後の昨年11月に、Facebookは登録ユーザー数が1000万人に達し「無名小站」を超えてしまいました。(英語の関連記事

 しかも、Facebook の公式発表では、2011年度の1月度のMAU(月間アクティブユーザー)が900万人の記録をしています。1000万人中900万人がアクセスしていることになります。本当かどうか分かりませんが、でも、実際Facebook発表の数字です。

 3年かけてFacebookが国産SNS最大手を超えたのです。同じようなことが日本でも起るのでしょうか?

 個人的には、Mixiが「実名」での登録をユーザーに求めれば、Facebookと同じ実名SNSになり、勝負はどちらのほうが使い勝手がいいのか、という勝負になると思います。この話はまた別の機会にしたいと思います。

 セミナーでは幾つかの香港、台湾企業のFacebook活用事例を紹介しました。Facebookは、香港、台湾では既に2、3年前から活発にMarketingに活用されているため、現在ではキャンペーンに欠かさないコミュニケーションのチャンネルの1つになっています。アプリの制作開発もかなり進んでおり、弊社は台湾支社からいろいろ情報収集していますが、本当に奥が深いと思います。特にソーシャルCRMはまだまだ日本で普及していないので、早くノウハウを吸収して、皆さんにご提供できるようにしたいと思っております。

 最後になりますが、最近話題のエジプト、そして、台湾、香港のように、Facebook上の情報はリアルと連動して、リアルの生活情報源になっています。リアル情報とウェブ情報はもう分けて考えられないと思います。「ウェブの口コミ」の形が、大きく進化してきていると言えるでしょう。

【ゲストブロガー】
マインドフリー株式会社 レオン・メイ・ダニエル

香港出身。16歳からカナダの大学教育機関にてファインアートおよびコンピューター技術を学ぶ。2000年来日後、「株式会社モンジグラフィック」にてウェブデザインに従事し、ビジネス領域でのデザインを学び、「株会社アイアクト」でのプランニング・アートディレクター、を経て「株式会社Qript」では事業本部長としてメディア事業部を発足させ、『ITと人の繋がり』をキーワードにISPポータルサイト、ECサイト、採用サイトの構築・運営に対して深い見識を持つのが特徴。
また、事業開発、BPR推進、コミュニティ戦略まで、幅広くコンサルティングを担当。06年に世界3大広告賞のクリオ賞にも受賞経験があり、現在はCGMを生かしたビジネスのプロデュースを展開しております。

趣味:映画鑑賞、読書、歴史と文化

人生で重要なキーワード:先端、LOVE、教育、家族

好きな言葉:我為人人、人人為我

【企業プロフィール】
社名:マインドフリー株式会社
事業内容:
ウェブ・モバイルマーケティング戦略立案業務
ソーシャルメディア(ブログ/SNS)関連サイト構築
ウェブサイト、モバイルサイト構築業務
システム・インフラ構築業務
マインドをフリーにして取り組めること!
URL:
http://www.facebook.com/fanpac
http://mindfree.jp/
http://twitter.com/mindfree_daniel
http://twitter.com/mindfree_japan
http://twitter.com/mindfree_ccp

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