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さて大阪の大学生の瀬戸口翔大さんは、そのPathを家族の間で利用しているという。瀬戸口さんに、その様子を寄稿していただいた。ありがとうございました。
瀬戸口翔大
Path – Nervous at Home from Path on Vimeo.
ぼくが、家族内インフラとしてPathというSNSを導入した背景には、家庭的問題にあります。で、その問題とやらの核心に迫るとどうやら家族間のコミュニケーションがうまくいっていないことに気づきました。2010年の7月10日に祖母が脳梗塞になったあたりからお互いの歯車がうまくかみ合わなくなってきました。看病やらお見舞いやらで、みんなの時間軸と優先順位に狂いが生じはじめました。こりゃまずいと、ぼくはぼくなりに試行錯誤を繰り返してみたのですが、うまくいきませんでした。当時ツイッターがぼくの中でプチセンセーションを起こしていたこともあり、そこからインスパイアされて、「風呂ったー」というサービスを浴槽内で展開したりしました。テクニカルな要素の全くない、防水ノート(L!FE OUTDOOR MEMO) と鉛筆を風呂に設置するといった簡易なウルトラアナログサービスでした。
「半身浴を楽しみながら、今日の一日をシェアしよう!ストレス軽減・健康にもいいよ!」的なコンセプトで始めた家族内コミュニケーション第一弾。家族でメシを食うことのほとんどない家庭なので、もちろんぼくが個別に告知するハメになりました。(と言っても四人だけですが)はじめは、浴槽の中でもキレイにスラスラと書ける仕様がウケ、弟も妹も、父も母もみんな思い思いに書き残してくれたのですが、気づけば通気口のカビキラー、バスクリンetc…の横あたりに追いやられていました。何ヶ月ぶりかに見てみると、鉛筆がカステラみたくふわふわになっていました。。もちろん、何度もリマインドして、書いてもらうように指示は出したのですが、どうも定着しませんでした。原因は、風呂の中で何かをする習慣のないぼくの家族にとっては「面倒くさいツールだった」という、シンプルな一点でした。問題の「コミュニケーションを円滑にするためのソリューション」には至りませんでした。
そこで何ヶ月かが過ぎ、ひょんな事をきっかけに家族5人中4人(妹以外)がiPhoneを携帯するようになり、先月からPathを使い始めることになりました。
なぜ、Pathかというと、50歳近くの父母を思ったわけでもなく、単純にぼくが父母と、mixiやfacebook, twitterといったプラットフォームを通して自分のソーシャルグラフをシェアしたいとは到底思えなかったからです。(いくらなんでも、それはイヤっすよw)強いて、両親思いなところを、むりくいPRするなら、「伝えたい」と思った日常のワンシーンをPathで切り取って、ボタンひとつで写真として保存・共有できる点です。mixi, facebook, twitterにくらべると、それが驚くほどシンプルにできます。撮って、載せるだけ。すると、ぼくのiPhoneがプッシュでお知らせをしてくれます。「Hahaoya added a new photo」的な具合に。(動画も10秒までOKです)しかも、GPSでどこにいるかがチェックでき、その画像に対してのコメントを残せる機能までついています。だれでもフォローできるtwitterやinstagramにありがちなプライバシー問題も、ここにはありません。まさに、Pathはぼくの探していたソリューションにピッタリでした。そしてぼくの読みもピッタリで、みんなおもしろがって使い込むようになりました。秀逸なUIのなせる技です。
Pathを通して改めて気づいたSNSの良さ
SNSの良さを議論しようものならメリット・デメリットは山ほどあると思いますが、ぼくが今回気づいた答えは、たったひとつです。伝えたい人に、シンプルに「今」が伝わること。Twitterがこれだけ沢山の人を虜にする理由の一つに ”Real-time contextual service” であることが挙げられると思います。これは、「今の背景をリアルタイムに伝えるサービス」という風にぼくはとっているのですが、このリアルタイム性がここまでの発展を生んでいるのだと考えています。たしかに、ネットの出現はぼくたちの生きる時空間にイノベーションを与えてきました。しかし、Twitter の出現はそれ以上だと考えています。例えば今から1ヶ月後に誰かのblogの記事を通して「エジプトで革命が起こった」という事実を知るのと、1秒後に「リビアで革命が起こったらしいよ!」というツイートを知るのではショックの差が違うと思います。しかもそれが瞬く間に、ドミノを倒したように広がっていく。今、まさに今、ここではないどこかで起こっていることを、手のひらで知ることができる。伝えたい人に、シンプルに「今」が伝わった瞬間です。この紛れもない「今」の事実に、人の心は動かされるんだなぁと思いました。
Pathも上手にその辺を考慮して設計されている(と思う)ので、ぼくの家族 or ぼくが伝えたい内容がダイレクトに伝わります。たとえそれが大阪と東京、日本とアメリカでも。
Path のおかげで、家族間コミュニケーションは大変円滑になりました。なにをもって効果測定すればいいのか曖昧なところですが、本当に、家庭内が明るくなりました。今では、煩わしいメールでの会話以上の価値をシェアできています。ぼくの父は、まだ一回も写真をアップしていませんが、写真をチェックしたら「あしあと」が残るので、ちゃんとチェックしているようです。もう、”便りがないのは無事な証拠” というフレーズは死語となりつつあるのかもしれないと、ふと思いました。まだまだ使い道がたくさんありそうなサービスなので、これからも使い込んでいきたいと思います。もしお使いの方がいらっしゃいましたら、コメント欄もしくはTwitter (@ststgc) でシェアしていただけると喜びます〜。長文失礼しました。読んで下さった方、ありがとうございました。
ITベンチャーで武者修行してます。社会の ”あたりまえ” に風穴を開けることを仕事にしたいです。
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日本のネットサービスは、どれだけ人気になってもユーザー数が2000万人を大きく上回ることがないといわれる。一種の経験則だ。この事実をもって「ネットでコミュニケーションなんかしたくない人が大半なんだ」と結論づける人がいる。
僕はそうではないと思う。人間は社会的動物である。だれでもが、ほかの人とつながり、コミュニケーションすることが基本的に好きなんだと思う。その根源的な欲求を引き出すために、どのようにサービスを設計するのかという問題だと思う。
Pathはリアルな友人、家族とのクローズドな空間という安全で安心できる空間を提供し、シンプルなデザインで情報発信を手軽にした。こうすることで、今まで情報発信しないと思われていた層の人たちまでが情報発信し、コミュニケーションを楽しみ始めたわけだ。
「リアル」「クローズド」なウェブには、2000万人の壁を破る可能性があるのだと思う。