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[後編] ユーザ数60万人、女性向け人気ソーシャルゲーム「雑貨屋さんストーリーズ」をインタビュー【三橋ゆか里】

「雑貨屋さんストーリーズ」のインタビュー前編に続き、後編をお送りします。

ユーザのモチベーションを意識すること

課金ユーザも非課金ユーザも楽しめるようにつくっている雑貨屋さんストーリーズ。もともと課金ユーザを積極的に増やすようにはつくっておらず、課金アイテムを出す際も単価は3桁まで、1000円以内と決めています。また、無料ユーザでも睡眠を削ってゲームを遊ぶことで課金ユーザに対抗できるような仕組みにしているそう。

リアルに近い仕入れ値変動のシステムも雑貨屋さんストーリーズならでは。雑貨屋さんストーリーズでは、アイテムの仕入れ値が時間帯によって変動するという斬新な仕組みを取り入れています。他にも特定の商品を陳列するとスペシャルゲストが遊びにきたり、いらなくなったインテリアを合成して新しいアイテムをつくったりすることも可能。雑貨屋さん経営を楽しむさまざまな要素が用意されており、すべての要素を楽しもうと思ったら最低でも1ヶ月はかかると言います。いろんなストーリーが散りばめられているけれど、これを一定レベルごとに1つずつ開放することでユーザを圧倒せず、新しい要素を飲み込めるようにしています。


ユーザのモチベーションに大きく影響するのがランキング。イベントのランキングは、ランキングを上級者、中級者、初級者に分けて用意することで同レベルのユーザと競えるように工夫しています。また、ランキングで順位を競わせるトータルポイントのものランキングのほかに、自分のペースで楽しめるように(無課金でも)到達ポイントで報酬がもらえる個人表彰が用意されています。あくまで自分のペースで楽しみたいという女性ならではの性質を捉えています。

雑貨屋さんのKPIとチーム体制

サービスをリリースする際は必ず1ヶ月の目標テーブルを定めるそう。ソーシャルアプリなら、それはユーザ数や課金額だったりする。リリース時にはユーザ数だった雑貨屋さんストーリーズのKPIは、今では継続率にシフトしています。
現在のチームはディレクター2名、デザイナー2名、エンジニア2名で構成された計6名。ソーシャルアプリを始めると、必ずプラットフォームの公式掲示板ができるわけですが、そこにつくられる改善希望などのトピックの巡回はかなり強化をし、必要なものを取り入れています。

ゲームへの変更は、ディレクターが集計したユーザからの要望や意見を議題にあげるところから始まります。変更を加えることのメリットと、その変化によって生じるデメリットを洗い出した上で着手する/しないを結論づける。実地することになった場合は、次は手を動かすエンジニアの工数を見積もった上でトータル的なコストで判断をします。社内に女性スタッフが多いため、βテスト以降は社員全員でゲームを試し、その感想を集めてブラッシュアップさせていくそうです。

次は男性をターゲットにしたソーシャルゲーム

マルチプラットフォーム展開を目指し、雑貨屋さんストーリーズは最近グリーにも登場したばかり。また、Mobageでも「鬼ごっこバトル」という新しいソーシャルゲームを3月28日にリリース。とっても個性的なディレクターとエンジニアが作ったアプリなんだとか。舞台は古の時代で、主人公の目的は強い鬼を退治すること。鬼に負けると自分が鬼になってしまい人を襲うことしかできず、他の人に鬼を感染させるまで普通の村人に戻れない。村人に戻れると装備を充実させたりドレスアップしたりできる。

もうひとつ近日リリースされるのが、今度は男性をターゲットにしたお店屋さん経営シリーズ「勇者さまと商人ストーリーズ」。基本の仕組みは雑貨屋さんストーリーズのものを用いていて、商人が親父さんのお店を次いで商売をするというストーリー設定。登場人物には同じ年のダメダメ勇者がいて、勇者は色んな武器が使える。ユーザは稼いだお金で勇者に武器などを着させ、クエストをこなしていくことで困っている村を助けていく。どんどん街の治安をよくしたり、知名度をあげたりしていくゲームです。雑貨屋さんストーリーズ第2弾になるかどうか、注目したいところです。

メディアインクルーズさんのこれから

これまでMobageやグリーといったプラットフォームにゲームを出してきたメディアインクルーズさんですが、今後もゲームのコンセプトや会社の戦略というところで常時使い分けていく、と話す太田さん。ただ、ゲームやアプリを作ることが事業の主軸になっていくのは間違いない。ソーシャルアプリはつくるのは簡単、大変なのはマネタイズと運用だと言います。現在ソーシャルアプリの収益は課金のみに頼っていますが、今後はソーシャル市場のタイアップ広告も狙っていく予定。既に今年2月に芸能人とコラボしてガチャガチャを販売したりしたんだそう。また、いま必死に溜めているソーシャルゲームのノウハウを副産物にして、ソーシャルアプリの運用に頭を悩ませる企業などにイベント支援などの形でビジネスにしていくことも考えているそうです。

【スタッフブロガー】三橋ゆか里

肩書きウェブディレクター。ディレクションの他、翻訳やライティングなど、フリーでお仕事してます。1/15に公開の映画『ソーシャル・ネットワーク』の字幕監修をさせていただきました。ツイッターIDは”yukari77“。

個人で運営している【TechDoll.jp】というサイトで、海外のテクノロジー、ソーシャルメディア、出版、マーケティングなどの情報を発信しています。目指せタイムリーな情報発信!

これまで雑誌のECで→UIデザインのコンサル→ウェブ制作会社などを渡り歩いてきました。そこで得たスキル、人、全部かけがえのない財産。幸せの方程式は、テクノロジー(UI, IA..)×マーケ×クロスカルチャー×書く・編集。いま一番夢に近いとこにいる。

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