サイトアイコン TechWave(テックウェーブ)

携帯ゲーム機は有力ネットデバイスとして成長するか? PSP後継機「Vita」はGPS機能つきで年末発売 【増田(@maskin)真樹】


[読了時間:2分]


screenshot_10

 ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は6月6日、PSPの後継となる次世代携帯ゲーム機「プレイステーション・Vita(ヴィータ)」(PSVita)を年末に発売すると発表した。5インチの有機ELパネルと搭載し、左右に十字キーとアナログスティックが一つずつ、画面背面にもタッチパネルがある特殊なユーザーインターフェースが特徴。

 通信回線として、Wi-Fi以外に3G携帯ネットワークも使用できるようになるほか、GPS機能も搭載する。このWi-Fi/3G通信対応モデルは2万9980円(税込)。3G非対応モデルは2万4980円(税込)となっている。6月7日より開催される世界最大のゲームショウ「E3」では実機の展示も行うという。





 ゲームというと、市場が衰退しているせいかどうしても「自分には関係ない」という人が多い昨今ではあるが、PSVitaのメッセージはいわゆる 過去の“ゲーム”として位置付けとは明確に異なってくいる。例えばネーミングなどは「プラットフォーム名称に採用したラテン語の「Vita」は、「Life」という意味です。エンタテインメントと現実の境界を越え、日々の生活そのものを遊びに変えていきたいという気持ちをこめて」いるといい、日常をゲーミフィケーション(ゲーム化)によって楽しいものにしたいというメッセージが込められているのだ。

 これまでのゲーム業界は「ハイクオリティ」「エキサイティング」「壮大なストーリー」ばかりだったように思える。それはそれでいいと思うのだが、ここにきてネットの活用によるコミュニケーションをゲームとして促える時代が到来したということだ。これは実はスマートフォンでIT業界人が期待しているところと同じではないか。

 「出会い」、「つながり」、「発見」、「共有」、「遊び」。いかにもスマホアプリのキャッチコピーにありがちなキーワードだが、実はPSVitaのプレスリリースの文章である。思い出して頂きたいのだが、ニンテンドーDS用ソフトとして2009年に発売されたドラゴンクエスト9では、2か月たらずでのべ50万人のユーザーがすれ違い通信(P2Pの自動通信でゲームの地図を交換)を実施(スクエニに登録したユーザーのみを対象としているので、実数はこの何倍もあると推測)をおこなっている。ドラクエ9ユーザーなら、日本中至るところで通信によって地図交換ができたことを記憶に残っているのではないだろうか。

 SCEはこういった通信によるコミュニケーションがゲームを変えると判断したのだろう。同社は2011年1月27日に、GPSを活用し周辺にいる他のユーザーが今どのようなゲームを楽しんでいるのかを共有できるPS Vita標準搭載サービス「near(ニア)」を発表している。リリース文章を読む限り、これは完全な位置ゲー(GPSを活用したゲーム)の部類に入るようだ。

 そう考えるとゲームはスマホの各種サービスとは別ものなのか?という疑問がさらに強くなる。Foursquareだって、Colorだって、ネットとGPS(とカメラ)があれば別にゲーム機で構わない。むしろスマホよりもヘビーデューティなゲーム機のほうがジオロケーション系サービスには適しているし、今後も拡大するネット組み込みサービスやNFCにも適していると感じるのだ。

革新的な遊びを実現する次世代携帯型エンタテインメントシステム
名称を「PlayStationRVita」に決定
希望小売価格
Wi-Fiモデル: 24,980円(税込)/249USドル/249ユーロ
3G/Wi-Fiモデル: 29,980円(税込)/299USドル/299ユーロ

 とはいえ、SCEはPlayStation Networkなどの一大トラブルが収束させていない。ネットサービスをやっていく以上は、その辺のテコ入れが試金石となるだろう。

【参考URL】
●プレスリリース[PDF] 革新的な遊びを実現する次世代携帯型エンタテインメントシステム
名称を「PlayStation®Vita」に決定
http://www.scei.co.jp/corporate/release/pdf/110607a.pdf

蛇足:僕はこう思ったッス
ゲームは日本のお家芸とまでは言わないけれど、さまざまなノウハウが蓄積されているし、先日記事で取り上げたTreasureSquareのようにジオロケゲームにおける絶妙のバランス感覚などは世界的優位性があると思う。“キーボードがない?” 大丈夫、これまで十字キーで快適に文字入力ができる技術を沢山観てきたので、どれかが実装されれば解決するはず。

著者プロフィール:TechWave副編集長・イマジニア 増田(maskin)真樹
 コードも書けるジャーナリスト。イベントオーガナイザー・DJ・作詞家。8才でプログラマ、12才で起業。18才でライター。日米のIT/ネットをあれこれ見つつ、生み伝えることを生業として今ここに。1990年代は週刊アスキーなど多数のIT関連媒体で雑誌ライターとして疾走後、シリコンバレーでベンチャー起業に参画。帰国後、ネットエイジで複数のスタートアップに関与。フリーで関心空間、富裕層SNSのnileport、@cosme、ニフティやソニーなどのブログ&SNS国内展開に広く関与。坂本龍一氏などが参加するプロジェクトのブログ立ち上げなどを主導。“IT業界なら地方で成功すべき”という信念で宇都宮市から子育てしながら全国・世界で活動中。 / ソーシャルアプリ部主宰。大手携帯キャリア公式ニュースポータルサイト編集デスク。
メール maskin(at)metamix.com | 書籍情報・詳しいプロフィールはこちら


モバイルバージョンを終了