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“本音”の口コミサイト「みんなのウェディング」を取材してきたよ【三橋ゆか里】

[読了時間:3分]

幅広いファンを持つTechWaveスタッフライター、三橋ゆか里さんによる、ウェディングの口コミサイトについての記事です。(本田)

三橋ゆか里
(@yukari77)

 「みんなのウェディング」って聞いたことありますか?透明性を追求し、ユーザの求めるものを実現することで業界を変えつつあるサービス。昨年末、週刊ダイヤモンドで「評価の信頼性が高い口コミサイト」として紹介されたり、今年頭にも月刊プレジデントの「口コミが世の中を変える」という特集で紹介されたり。ユーザの圧倒的な信頼を獲得している口コミサイトです。

 そんな「みんなのウェディング」を運営する株式会社みんなのウェディングの代表取締役である飯尾慶介さんと、コンテンツ部部長の大橋位江さんにお話を伺ってきましたよ。

サービス開始の背景

 もともとDeNAで南場さん率いる社長室プロジェクトとしてスタートした「みんなのウェディング」。サービス開始は2008年2月、2010年10月にDeNAから分社化。当時、ウェディングという一生に一度のイベントをつくっていくのに情報といえば結婚式場目線の情報サイトが多かった。きれいな情報だけじゃなく、もっとユーザが本当に知りたいこと、実際のところを伝えたい。そんな思いからサービスを始めたそう。

本音の口コミと透明性

 「みんなのウェディング」の口コミは、300文字以上でなきゃいけない。口コミにだって質がある。「美味しかった」「きれいだった」なんて一言の口コミじゃなく、本音を知りたいユーザが本当に参考にできる具体的な口コミだけを集めたいから。口コミは誹謗中傷などを除き、マイナスな内容だって公開してる。またやらせを排除するために同じIPアドレスからの複数投稿に関しては表示はするものの、★の評価をグレイ表示にするといった工夫をしてる。

 もうひとつ、「みんなのウェディング」の透明性を高めているのが明細書。なんと式場の見積もり書から最終明細書まで、実際の明細を画像としてアップできる仕組みを提供。結婚式の準備でありがちなのが、最初の見積もりと最終的にかかった費用が大きく異なるケース。明細書があれば上がってもこれくらいの費用感とだいたい想像がつく。これから式を挙げるユーザの不安を取り除く「みんなのウェディング」ならではの機能です。最初から式場相手のビジネスにしていたら難しかったはず。

チャンスは1回、いかに口コミを集めるか

 一生に一度の結婚式。そんな一過性のイベントでいかに口コミをしてもらうか。結婚式を準備しているあいだはすごく忙しいし、結婚式が終わってしまったら「みんなのウェディング」というサイトそのものは必要じゃなくなる。じゃあユーザにとって結婚式をあげた後に口コミすることのメリットは何なのか。

 飯尾さんによると、それは大きく3つの動機に分けられるそう。まずは「すごく良かった!」という感動、それを共有したいという思い。もうひとつは「すごくつらい思いをした。それを伝えたいし、他の人に同じ思いをしてほしくない」という思い。最後に「みんなのウェディング」が設けているご祝儀ポイントというインセンティブ。ご祝儀ポイントは現金に交換可能なポイント制度で、口コミを書いたら○○ポイント、実際の見積もり書をアップしたら○○ポイントといった具合に増えていくもの。式場の本番の口コミと下見の口コミとでポイントが違ったりなど、一度結婚式を挙げる際に3つくらい口コミをすれば1,000円以上の現金になるんだそう。

 でもやっぱり口コミをする人のモチベーションの大きいところは「伝えたい」「共有したい」という思いみたい。人間の本質だものね。

口コミ以外のコンテンツや機能

 口コミ以外にユーザに喜ばれているのが「みんなのウェディング」の相談広場。ちょっとしたフォーラムのようなもので、ユーザ登録をしていれば誰でも相談を投げかけることができる。投稿された相談には他のユーザが答えてくれる。初めてのことだらけの結婚式に関して、新郎新婦だけじゃなく、二次会の幹事などを任される友人なんかが相談するみたい。

 もうひとつ、「みんなのウェディング」のユーザ(多くが女性)に貴重だと喜ばれるのが男性の口コミ意見。忙しかったり女性の方が結婚式を挙げることへの思い入れが強かったりで、女性主導になりがちな結婚式までの準備プロセス。そんなときに男性が投稿した口コミはすごく参考になるんだって。

 また5000社もある式場から理想の式場を探すのは簡単じゃない。より探しやすくするために、特集を組むことでユーザが式場を探すさまざまな軸を提供。例えばパパママ婚とか、おめでた婚などなど。結婚式の日付をベースにTO DOリストを時系列につくれて、メールでリマインドしてくれる機能や、ウォッチしたい式場に新しい口コミが投稿されるとプッシュ通知がくるといった便利な機能も提供してる。結婚式のA-Zまでが「みんなのウェディング」で実現できるのね。

だんだん式場も味方に

 サービス開始から約3年。PCとモバイルを合わせて68万人に訪問される日本最大級のサービスに成長した。2011年1月のページビュー数は1086万ページビューで昨年対比125%。日本の年間の婚姻件数は70万件くらいだそうで、そのうち結婚式を挙げる人は意外と少なくて30-35万組。と考えると、このページビューはそんな式を挙げる人たちに相当リーチできていることになる。

 進化と成長をつづける「みんなのウェディング」。サービス開始当初は強かった風当たりも、いまでは式場が応援してくれるようになったと話す飯尾さん。サイトに登録されている式場の数は5,000件、そのうち650件に対してコンテンツ増加などの法人サービスを提供している。法人サービスを開始したのはサイトローンチから1年後のこと。よりユーザのためになるサイトにしていきたいという思いに共感してくれる式場が増え、いまでは1営業日に1式場くらいのペースで増えているんだとか。

「みんなのウェディング」のあたらしい取り組み

 結婚式を挙げると決めた人たちだけじゃなく、これから結婚を考えるような世代にもリーチするためにモバゲーやオリコンなどにコンテンツの提供もしているそう。また3月11日の東北大地震後には、ゼクシィと共同で「震災後に結婚式を挙げた人から、これから結婚する人へのメッセージ」を集めたそう。「みんなのウェディング」の相談広場にもこのタイミングで結婚式を挙げていいのかといった声が集まり、そんな不安を抱えるカップルの背中を押すことになった。

 いろいろと新しいことを仕掛けていくと話す飯尾さん。直近では、グーグルプレイスに明細情報を提供する予定。また口コミだけでなく、それを書いたユーザの評価やユーザ間のコミュニケーションなどにも力を入れていくそう。

 株式会社みんなのウェディングは40人体制。やりたい!と手を挙げた人が、それに賛同する人と一緒に新しいことをやっていける文化。ベンチャーっぽさをすごく感じた。そんな「みんなのウェディング」はただいまエンジニアを絶賛募集中。新しい媒体、価値観、そんなものを創造していきたいと思うエンジニアさん。そんな意気込みがある人はぜひ直接info@mwed.co.jpまで問い合わせてみてくださいな。

【ITライター】三橋ゆか里

肩書きウェブディレクター。ディレクションの他、翻訳やライティングなど、フリーでお仕事してます。1/15に公開の映画『ソーシャル・ネットワーク』の字幕監修をさせていただきました。ツイッターIDは”yukari77“。
個人で運営している【TechDoll.jp】というサイトで、海外のテクノロジー、ソーシャルメディア、出版、マーケティングなどの情報を発信しています。目指せタイムリーな情報発信!
これまで雑誌のECで→UIデザインのコンサル→ウェブ制作会社などを渡り歩いてきました。そこで得たスキル、人、全部かけがえのない財産。幸せの方程式は、テクノロジー(UI, IA..)×マーケ×クロスカルチャー×書く・編集。いま一番夢に近いとこにいる。

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