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Hack For Japan ハッカソン開催(7月23/30日)のお知らせと岩手沿岸部取材レポート【関 治之】

私もスタッフの一人であるHack For Japanでは、7月23日と30日、(一部23日と24日)に、東日本大震災からの復興を支援するためのアイデアソン/ハッカソンを行います。

7月23日アイデアソン、30日ハッカソン (仙台・会津若松・東京) – Hack For Japan
http://www.hack4.jp/RelatedInfo/Events/FutureEvents/110723mtg

7月23日アイデアソン、24日ハッカソン (遠野) – Hack For Japan
http://www.hack4.jp/RelatedInfo/Events/FutureEvents/110723tono

震災から4ヶ月以上が経過し、被災地の状況もだいぶ変わってきておりますが、まだまだ復興の道のりは長く、多くの人のサポートが必要な状態です。先月被災地を訪れた結果、ITでサポートできることが多くあると感じました。TechWaveの読者である皆様であれば、きっと素晴らしいサポートができるのではないかと思います。現地の状況を少しでもお伝え出来ればと思い、【Hack For Japan 岩手沿岸部取材レポート】 を寄稿させていただきます。
アイデアソン/ハッカソンへのご参加、お待ちしております。テクノロジーの力で被災地の閉塞感を吹き飛ばすアプリケーションを皆で考えましょう。
(以下、http://blog.hack4.jp/ からの寄稿文となります。)

未だ大量に残る瓦礫(陸前高田周辺)

Hack For Japan メンバーである岩切さん(@kohsei)のコーディネートで、6/25(土)、26(日)とHack For Japan 数名で岩手沿岸部を取材してきました。被災地沿岸部を見てきたと同時に、5つのボランティアセンターで取材をさせていただきましたので、レポートとして記録しておきます。主に、Hack For Japanとして、被災地の為にITを活用したお手伝いができるかどうかをヒアリングさせていただいています。
たった2日の取材でしたので、現地の状況を完全に把握したレポートではありません。その点はお含みいただいた上でお読みください。
今回は、釜石→大槌→大船渡→陸前高田というコースを回ってきました。沿岸部の状況を、ご自身も被災されたという小野寺さん(@onoderau1)にご案内・解説いただきました(小野寺さん、お忙しいところどうもありがとうございました!)。同時に、釜石、大船渡、陸前高田のボランティアセンター、住田基地及び遠野まごころネットで、担当の方にお話を聞いてきています。

前線のボランティアセンターへのIT導入は継続的なサポートが必須

釜石市ボランティアセンター

前半におじゃました釜石、大船渡、陸前高田の3つのボランティアセンターは前線基地といった位置付けで、瓦礫撤去、民家や側溝の泥出しなどの作業のニーズ集めと、そこへ派遣するボランティアスタッフの割り振りを行うのが主な役割です。それに対し、後述する住田基地と遠野まごころネットはそれらのボランティアセンターの後方支援基地にあたり、ボランティアスタッフの宿泊施設や情報交換所として機能しています。いずれも社協(社会福祉協議会)が場所やスタッフを提供していますが、スタッフには、社協から派遣された人以外も多いそうです。

どこのセンターでも、

という課題は抱えているという印象でした。それぞれのセンターの詳しい情報については、下の方の取材メモをご確認ください。

前線基地では現地ニーズの把握と人員のディスパッチが最優先で、その作業に毎日追われている状況のようです。ブログは運営できていますが、スタッフがどんどん入れ替わることもあり、何かIT系のツールやサービスを提供したとしても、操作に習熟が必要な類のものは導入が難しいと感じました。
そもそも担当者も忙しく、外部からニーズ把握などのコミュニケーションをすること自体が先方の負荷になってしまう状況です。ただ、物資をブログで募集したところ、数日で想像以上に届いたという経験もあり、IT自体の有用性は現場の方も把握しているようです。

中長期で現地に滞在できる方や、定期的に現地を訪れることが可能な方であれば、ITを使って活躍できる余地は十分にありそうでした。私の知っている限りでは、トライポッドワークスの佐々木さんや、マイクロソフトの西脇さんなどはまさにそのような活動をされています。この日も、釜石で取材をしている時に西脇さんにばったり遭遇したりといったことがありました。

その後実施したHack For Japan のスタッフミーティングでは、Eye-fi カードの自動アップロード設定をしたデジカメを渡して、それを使って、支援者に知ってほしい情報を撮影してもらうというアイデアが出たりもしました。これは早速次回アイデアソンで導入を検討することになりました。

後方支援基地は、ITサポートでできることがたくさんありそう

遠野まごころネット

住田基地と遠野まごころネットは物資/人員の補給基地であると同時に、情報共有の場所でもあります。宿泊施設も兼ねているため、前線基地よりヒアリング効率がいいと感じました。スペースも広く、会議をやる場所などもあります。なにより、各地に行ったボランティアから情報が集まってきており、その情報は綺麗に紙にまとめられていたりといった点も良いと思いました。
担当者の方々も、現地ボラセンより中長期的な視点を持っており、ITの必要性も強く認識されていました。
特に、遠野まごころネットで対応いただいた、副代表の多田さんからは、いくつかの具体的なニーズをヒアリングできました。(仮設住宅データベース、ホームページ作成、ソーシャルファンディングなど)

至る所に様々な模造紙が

まごころネット発で生まれている被災地支援企画や別の地域の支部などもあり、社協が担当する「ボランティアのディスパッチ」という枠を超えた活動を行っている点も、IT技術者としてお手伝いできそうな部分が多くありそうに感じました。とてもHack For Japan と相性がよさそうです。
個人的には、遠野や住田基地には1日百人単位でボランティアが集まってくるわけですので、そのリソースを、少しでもIT支援に向けても活用できるプラットフォームが作れればすごいことが出来るのではないかと感じました。

余談ですが、この遠野まごころネットは、ボランティアスタッフの自己組織化がとても素晴らしいと感じました。私自身 sinsai.info という、ボランティアスタッフが運営する組織の責任者をやっていますが、通常の会社組織と違い、ボランティアスタッフの組織というのは非常に運営が難しいものです。給料を払っているわけではないですし、人材の流動性もとても高い上、スキルもモチベーションも人それぞれです。私達は数時間の滞在中でも、時間が来たら自発的にミーティングを始めたり、至る所に情報が綺麗に整理された張り紙があったりと多くの工夫の跡を発見することができました。

Hack For Iwate in 遠野まごころネット開催決定

我々Hack For Japanとしてもまずはこのニーズに答える動きをしてみたいと思い、多田さんのご協力の元、遠野まごころネットで 7月23日、24日とアイデアソン/ハッカソンを開催することになりました。もともと東京や仙台、会津若松にて23日、30日の日程でやる計画でしたが、遠野会場が追加され、遠野のみ23日、24日の2日間で開催いたします。

告知用ポスター(PDFリンク

5月に仙台、会津若松、東京など複数の都市で行われ好評だった、復興支援アプリケーション開発の為のオフラインミーティング、Hack For Japanのアイデアソン/ハッカソンが、いよいよ岩手県内最大のボランティアセンターである「遠野まごころネット」で開催されます。今までも複数の有意義なプロジェクトがHack For Japanから生まれています。皆様是非ご参加ください。
会場には、チューターもいますので、初めての方や、開発者以外の方もお気軽にご参加ください。 開発に関する質問は、ネットを通じて投げかけることも可能です。また、プロジェクトを進行中の方も、情報交換・協力者探しの場としてもご利用いただけます。当日は、独りで自分のプロジェクトの開発作業に没頭することもできますし、あるいは、チームに加わって共同開発に参加することもできます。もちろん、プログラマに限らず、企画やデザイナが得意な方、パソコン操作に長けている方を、歓迎しています。どちらか一日のみといった参加も可能です。



ご興味のある方は、是非告知ページにて詳細をご確認ください。
私も遠野会場には参加します。個人的には、これまでのハッカソンのように新しいサービスを作ったり新規のアイデアを実現していくというよりも、既存のツールなどをうまく組み合わせて、先方のニーズに答えていくような場にしたいと考えております。

以下、取材メモ

■釜石市ボランティアセンター
http://blog.canpan.info/kamaishi-vc/

■大船渡ボランティアセンター
http://ameblo.jp/ooshakyo/

■陸前高田ボランティアセンター
http://rikutaka.ti-da.net/e3439670.html

■住田基地(陸前高田・大船渡へのボランティア派遣基地)
http://sumitavc.blog.fc2.com/

■遠野(遠野まごころネット。陸前高田から山田までの広域の後方支援)
http://tonomagokoro.net/
ビジョンのPDF→https://lolipop-tonomagokoro.ssl-lolipop.jp/main/wp-content/…
Facebook https://www.facebook.com/tonomagokoronet

<Hack For Japan について>
 東日本大震災に対し、IT 開発者の力を結集したい。復興に少しでも実際に役立つアイデアを集めたい。開発者のそうした取り組みを少しでも多くの人々に知ってもらい、サービスを利用してもらいたい。Hack For Japan は、IT 業界の有志により、そうした想いを形にするべく立ち上げられました。
 想いを同じくする開発者の情報共有のためのメーリングリストやサイトを運営し、開発者イベントを開催しています。
 詳しくは、Hack For Japan (http://www.hack4.jp) のウェブサイトをご覧ください。
 また前回のハッカソンのレポートやアンケート結果などについては、Hack For Japan のブログ(http://blog.hack4.jp)からご覧いただけます。
著者プロフィール:関 治之(せき はるゆき)

sinsai.info総責任者/ジオメディアサミット主催/Georepublic Japan CEO/シリウスラボ所長

1975年生まれ。モバイルインターネット黎明期から数多くのモバイルインターネットメディアの構築に携わる。モバイルの位置情報連動広告配信サービスである「アドローカル」を提供する株式会社シリウステクノロジーズへ2006年に入社。同社の研究所、シリウスラボで所長を務める。2008年より有志による位置情報関連メディアの勉強会、「ジオメディアサミット」の運営を開始。位置情報を使ったメディア、「ジオメディア」の普及と拡大を目指し活動中。TwitterID:hal_sk

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