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海外で資金調達するための最短英語学習法【小泉純】

[読了時間:2分]

音読 (シャドーイング)が特徴のオンラインビジネス英語サービス「スクリプト」を運営する小泉純さんから寄稿頂きました。英語学習法については百家争鳴ではありますが、英語習得をゴールから導く効果的なプロセスを提案されていると思います。
ちなみに、これを編集している私は英語学習のためフィリピンの学校に短期滞在中です。(本田)

小泉純
(@Jun_ko1zu3)

 私はビジネス英語/英会話のスクリプトというWEBサービスを運営してます。最近、自分のまわりでも海外で資金調達しようというスタートアップが増えています。9月にはTechCrunch DISRUPTもありますし、世界を目指してみなさん頑張ってますよね!

 さて今回は、ただでさえ忙しい(そして往々にして英語が苦手な)スタートアップのみなさんが、シリコンバレーで資金調達するための最短英語学習法を考えてみたいと思います。考えなしに英会話教室に通う前に、参考にしてみてください。

現地であなたは何を話すの?

 勢い任せに英語学習をはじめる前に、まずは具体的なゴール(会話内容)から考えましょう。テストに出ない問題の勉強をしてもしょうがないですからね。

 今回は資金調達のための海外出張を考えてみましょう。絶対言えなければ困る会話内容は何でしょうか?


< 重要度:高 >

 これらは、打ち合わせの本題なので必須です。話せなければ、そもそも何のために会いに行ったんだという話になりませんか?

つづいて、
< 重要度:中 >

 Mtg前後の雑談や、投資家といっしょに食事するような場合よく聞かれます。対策して損はないでしょう。

さらに、
< 重要度:低 >

 ここからは、費用対効果が一気に下がります。つまり、優先順位は下がりますが、会話の難易度は一気に跳ね上がります(予め話題が特定できず、会話に登場する語彙も予測できないため)。忙しいみなさんは捨てていいでしょう。

 振り返ってみると、思ったより最低限の会話は少ないのではないでしょうか?抑えておくべきは、ビジネス及びあなた自身の説明ですね。

具体的には何を【どう】話すの?

 次に、ビジネスや自身の説明における具体的な会話文まで想像してみましょう。

『この度はお時間を割いていただきありがとうございます。私は、日本でビジネス英会話の学習サイトを運営している、コトバンク株式会社の小泉です。弊社のビジネスは・・・』

 ここからは、自分のセリフを想像しながら読み進めてください。具体的な内容まで考えることで、内容についての特徴が見えてきます。

A:実は、自分が一方的に話しているだけ
 「はい、トム」「やぁボブ」みたいな、短くテンポのよい双方向の会話は少なく、会話の大半は決まりきった自分の説明(長回しのセリフ)を一方的にすることになります。

B:実は、「TOEIC800点単語帳」の言葉は使わない
 自分の業界についての専門用語や、コンセプトを説明するための言葉こそ重要です。TOEICの使うかどうかわからない単語を覚えている暇はありません。

C:「通じれさえすればいい」はウソ。丁寧に話す必要がある
会話文は、当然ながら礼儀正しく、丁寧語で話さなければなりません。
「御社のサイト名は?」「SQRIPT!」
「御社のコア・コンピタンスは?」「コンテンツ!」
「御社のいまの収支は?」「赤字!」
「苦手な食べ物は?」「ピーマン!」

 このような幼稚園児然とした回答は好ましくありません。「英語は通じればいい」の信念の下、相手の質問に対して、英単語1語で切り返している人がいますが、ビジネスの現場では礼に失する態度ととられてしまいます。

D:スピードや発音もかなり重要
 あなたは、投資家の希少な時間を割いてもらっています。
「Waたー、し、のー、ビジノスーは、TO-TEMO、シュウエキセイが、タカいでhu(ここまで5秒)」

 このような会話は、日本語でだってゴメンですよね。誰だってイライラします。

学ぶべきは英”会話”ではない?

ここまでで挙がった会話の特徴を振り返ってみましょう。

A:実は、自分が一方的に話しているだけ
B:実は、「TOEIC800点単語帳」の言葉は使わない
C:丁寧に話す必要がある
D:スピードもかなり重要

 勘のいい人はもうお気づきですね。A/B/Cから考えると、学ぶべきは”会話”よりも”プレゼン”です。

 この場合、自分用に英会話原稿を作成して、それだけ丸暗記するのが最も効率的な学習です。日本語で作成してから、それらを翻訳してもらえれば、丁寧語についても問題ないですし、単語は原稿にでてくるものだけ覚えればOKです。

 Dのためには、作成した原稿を誰かに録音してもらい、それらをシャドーイング練習するのがよいでしょう。”シャドーイング”とは、ネイティブの発音を声に出してマネするトレーニング方法で、近年では脳科学や言語教育学の見地から有効性が証明されており、通訳者の訓練でも積極的に利用されています。

 つまり、あなたが本当にやるべきは
STEP1:自分で日本語を作成する
STEP2:誰かに英訳してもらう
STEP3:誰かに読み上げたものを録音してもらう
STEP4:音読とシャドーイングで丸暗記

 英訳は、例えばLang-8さんを使えば無料で添削してくれますし、コニャックさんで依頼するのもオススメです。録音は、Text to Speechを使うのもいいでしょう(たまに変に発音する場合もありますが、許容範囲です)。もちろん、すべてを英会話スクールの講師にお願いするのもひとつです。手前味噌で恐縮ですが、シャドーイングを使った練習方法は、SQRIPTでわかりやすく解説されていますので、ご参考までに。

最後に

 以上、英語の苦手なスタートアップが最小限の努力で結果をだすための学習プロセスを考えてみました。このように自分に必要な英語のみを学ぶ方法は、ESP (English for Specific Purposes)と呼ばれ、大学受験等で文法や単語の基礎を身につけている方には、非常に有効とされています。
 今後、日本人が世界で活躍する(お金を稼ぐ!)ために、そもそもの勉強法から考えなおすきっかけになれば幸いです。

著者プロフィール:小泉純

1984年生まれ。東京大学医学部(健康総合科学)卒。
日本人が世界でも稀なほど苦労している語学学習だからこそ、
最も価値あるサービスが作れるのではないかと、コトバンク株式会社にて試行錯誤中。
応援してくださるエンジニアや投資家を絶賛募集中です!

ビジネス英語/英会話のスクリプト:SQRIPT
Twitter:@Jun_ko1zu3

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