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ピッチの際に投資家から聞かれる10の質問【ブランドン・ヒル】


[読了時間:2分]

日本から世界へ、を支援するブランドン・ヒルさん
日本人の世界進出を支援 ー もうお馴染みとなりつつあるブランドン・ヒルさんのブログ記事を転載いたします。最近、StartUp界隈でバズワード化している「ピッチ(Pitch)」、つまり投資家への売り込みについて米西海岸における現状が整理されています。

ここ数年のサンフランシスコ/シリコンバレー界隈のスタートアップに対しての小額投資ブームの勢いが凄い。 また、最近は日本から海外進出するスタートアップが増え、その中でもアメリカで起業、資金調達を目指す方々も少なく無い。つい先日も、某企業に対して投資を前向きに検討している投資家とその会社のCEOとの三者面談を行った。

その投資家はヨーロッパ系のファンドを管理しており、国際的な企業への投資を積極的に行っている。YComの躍進やConvertible Noteの存在もあり、100万ドル以下の小額シードファンディングをかなり短いスパンで行うのが彼の仕事である。投資対象のサービスが、既にある程度のユーザー数を稼いでいる場合は、会話の大部分が投資家から起業家への売り込みトークである事も少くない。

その一方で、新規立ち上げで実績が少ない場合、起業家が投資家に対してピッチをする必要があり、これまでの投資家とのやりとりの経験から、ピッチの際に必ず抑えておきたい10のポイントがあることが分かった。下記の基本的なポイントは必ずと言って良い程聞かれるので、今後アメリカの資金調達を考えている場合は、絶対に抑えておく必要がある。以前に書いた、まとめ-シリコンバレーでの資金調達に関するポイントと併せて活用頂ければ幸いである。

1.現在ユーザーが感じている問題/不都合は何か?

企業として商品やサービスを提供する目的は、問題解決である。現在ターゲットする顧客層が不満に感じている問題を明確に出来ていないうちは、成功する事業プランを作成する事は不可能である。

2.どのようにしてその問題を解決するのか?

上記で問題提起をクリアに出来た場合は、それに対しての解決方法を商品やサービスに乗せて提供する。投資家が知りたいのは、極シンプルな”これ”があるから”この問題”が解決する、というポイントに尽きる。

3.対象とするユーザー/マーケットは何か?

問題とそれに対しての解決案がわかったら、次はマーケットである。投資家は通常幾つか異なる業界の企業に投資する事が多いので、それぞれのマーケット規模や詳細については起業家側に聞く事になる。その際にターゲットとするマーケットの大きさや見込み成長等に関して統計データ等を元に説明しなければならない。逆にその辺の説明が理路整然と説得力のある内容で出来れば、すでにターゲットマーケットに関しての知識とエンゲージメントを見せられるので、大きなプラス要素となる。

4.競合は誰か?

競合が全く無いケースはごく稀である。もし投資家に”似たような事を提供している、Aという会社を聞いた事があるかい?” と言われたとしたら、おそらく投資は受けられないだろう。競合の情報を調べ尽くし、なおユニークな商品やサービスが出来ていないと投資家の信頼は得られない。日本発のサービスの似たようなサービスが既に海外で展開されているケースが多々あり、驚くべき事に提供している本人達が知らないケースも少なく無い。

5.競合との差別化ポイントは?

競合他社を選定出来たのであれば、自社サービスがそれよりもより良い、もしくは違う点を見つけなければならない。また、違うだけではなく、他の会社がマネのしにくい物である必要がある。もし大きな資本を持っている会社が金の力に物を言わせて簡単にマネが出来るようであれば、市場を奪われてしまうのは時間の問題だ。

6.ビジネス/課金モデルは何か?

儲かる可能性の低いビジネスに手を出す投資家はいない。ピッチの際にはしっかりとした収益プランを提示するのが基本となる。そのプランの中には最低でも具体的なマネタイズ方法、人事プラン、成長プラン、エクジットに対するストーリー等を盛り込む必要がある。

7.個人としてのアピールポイント/実績は?

最終的に投資家が注目するのは”人”である。全く同じビジネスアイディアを100人に渡しても、大きく成功出来るのは恐らく1, 2人である。結局は誰がどうやるかが一番重要になってくる。自分がなぜそのビジネスに対して最適な人材であるかをアピールする事が重要。得に自分自身がCEOである場合は、アイディア以上に個人の資質が資金調達成功を左右する。

8.チームはどんな感じか?

もし既にスタッフがいる場合は、そのチームを説明しよう。どのようなバックグランドを持った人材がどのような役職に就くのか、そして彼らが保有する株式の割合も提示する必要がある。

9.何が欲しいのか?

投資家から得られる物はお金だけではない。お金だけを出すタイプの投資家も入れば、アドバイスや他社とのシナジー、そして幅広いネットワークを紹介してくれるタイプもあり、お金以外でどのようなリソースが欲しいのかも説明する事で、より速いスピードでの成長を望む事が可能になる。

10.どのくらい欲しいのか?

そして最終的には数字の話。投資額がいくら欲しいのか、そしてなぜその額なのか、何に使うのか等を綿密に考えて提示する。希望する投資額は少なすぎても、多すぎても良く無い。具体的なプランに基づいた現実的な数字で、無理なく会社を運営出来、なおかつ期待値を上げすぎないような額が良い。

最後に… 実は最も重要なポイント

上記で幾つか重要なポイントを説明したが、やはり一番大切なのは”情熱”である。複数のアイディアの中の一つがヒットすれば良いと思っている段階では、投資家から興味を持ってもらうのは困難である。情熱を一点に集中し、そこに全ての時間、知恵、リソースを投入する覚悟が無ければ投資を受けられ無いどころか、起業家としては大成出来ない。
反対に、自分のスタートアップを作る為に仕事をやめ、自己資金も惜しみなく投入する事が約束出来れば、事業に対しての意気込みを示す事ができる。投資家はその起業家自身がどれだけリスクを負っているかも重要視する。

そして最も基本的な事ですが、投資家と対等にやり取り出来るぐらいの英語力は必須。

著者プロフィール:Brandon Hill (ブランドン ヒル)

北海道札幌市で生まれ育った日米ハーフ。アイディアとクリエイティビティ、パッションをもって、2004年に米国・アジア間ビジネスの架け橋となる会社・btraxを米サンフランシスコに設立。

会社のウェブサイト:http://www.btrax.com/
ブログ:http://blog.btrax.com/

【関連URL】
・ピッチの際に投資家から聞かれる10の質問 | サンフランシスコのWebコンサルティング会社 -ビートラックス- スタッフブログ
http://blog.btrax.com/jp/2011/08/16/investor-10/

蛇足:僕はこう思ったッス
今年頭から「TechWaveで日本人スタートアップを海外デビューさせる」などということをポツポツ公言しつつ、延期しまくっていたところ、あれよあれよという間にベイエリア(サンフランシスコーシリコンバレー)への進出がブームとなってきつつある(滞在という形容のほうがいいケースも多いけれど)。

鍵となっているのは少額投資。日本でも多くのVCやエンジェル投資家がそのモデルを踏襲し、ものすごい勢いでスタートアップを輩出している。チャレンジは大切。いきなり現場に突入するのもいいけど、状況を理解してから、成功のビジョンを固めるのは必須だと思う。そういう意味ではブラントンさんのサンフランシスコ発の情報は貴重。

TechWaveも2011年度下半期、「日本発世界へ」というキーワードをかかげ、熱いみなさんと共に積極的に活動していきたいと思う。

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