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「アート作品の解説まとめ」から新しいアート体験を提案するアトコレ【本田】

[読了時間:1分]
 11月10日にα版がリリースされた、「アート作品の解説まとめサイト」を標榜するアトコレ。その目指すところについて、株式会社アトコレ代表の成田修造さんに話を聞いた。

アトコレとは?

 アトコレとは、日本全国で行われる展覧会に出展される作品や、各地の美術館で見られる美術作品の解説・見所などを分かりやすくまとめて共有できるwebサービス。一種のキューレーションメディアといえる。

 既存の展覧会情報サイトが、主に展覧会全体をテキストを中心に伝えているのに対し、アトコレは展示される作品一つ一つに焦点を当てている。例えば今度の展覧会で見られる特定の絵について、その見所を画像とテキストで解説してくれる。開始一週間で150作品分のコンテンツが集まり、ユーザー数は1日800-1000、PVは同4000-5000。

 サービス立ち上げの動機をこう説明してくれた。
 「展示作品についてもっと知りたいという欲求が僕にはありました。また、もともと相性がいいのにアート(の鑑賞)がデジタル化されていないことにも疑問を持っていて、そこで、ソーシャルメディアに共有され、興味などからコミュニケーションが生まれる新しいアート体験が出来るようなサービスを作ろうと思い至りました。」

 ビジネスモデルは、純広告、タイアップ企画、アフィリエイトなどを予定している。まさにメディアのそれである。日本の美術館全体の予算のうち、150-200億円が広告宣伝費といわれている。この市場で一定のビジネスが出来るのではないかという狙いだ。

早速見えてきた課題


株式会社アトコレ代表・成田修造氏
(Photo:Masahiro Honda)

 リリースして約10日、課題も早速見えてきた。

 現行のα版でコンテンツを作るのは基本的にはユーザーだが、それは結構難しいようだ。コンテンツを上げてくれる人も、解説ではなく自分の感想を述べる人もいて、運営者の想定とは違っているという。

 コンテンツの質・量担保のために考えている改善策は現在2つ。まず、例えばnanapiのように運営者側で編集部を組織すること。次に、美術館や美大などと組み学芸員などから解説をしてもらうこと。こちらは現在、森美術館などと話をしているそうだ。ユーザー参加型を主とし、専門家によるキュレーションも組み合わせていく方針である。


今後の展開

 上述の問題解決に加え、年明けの予定されるベータ版では機能改善を進める他、以下の施策を予定している。

を目指す。

 「ネットが入り込んでいない世界に入って、世の中に使ってもらうようなプラットフォームを作りたい。」と最後に抱負を語ってくれた。

蛇足:私が思うに、
 私も現代アート作家なので、そのジャンルで何か書こうと思ったけど、実際書くのは難しい。
求められているのは単なる感想やネタではなく、ある程度客観的な事実関係の説明、解釈だからだ。
また、長々とそれらしく書いてあるものもあるが、どこかにあるであろう出展が全く明記されていないコンテンツもあった。美術分野できちんと書くには結構ハードルが高いものである。

 ユーザー参加の敷居を下げ、かつ良質なコンテンツを保つというCGMに共通の相反する課題をどう克服していくか。ただ、もっと美術をワイワイ楽しんだり共有出来たりする仕組みはあっていいし、ユーザー参加型と専門家コンテンツの組み合わせは正しい方向性だ。比較対象になるか分からないが、nanapiやNaverまとめの人気から参考に出来ることもあると思う。

著者プロフィール:本田正浩(Masahiro Honda)

写真家、広義の編集者。TechWave副編集長
その髪型から「オカッパ」と呼ばれています。

技術やビジネスよりも人に興味があります。サービスやプロダクトを作った人は、その動機や思いを聞かせて下さい。取材時は結構しっかりと写真を撮ります。

http://www.linkedin.com/in/okappan
iiyamaman[at]gmail.com

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