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Googleがホームエンタテイメントシステムを開発=WSJ紙【湯川】

[読了時間:3分]
 米Wall Street Journal紙は、Googleの家庭内のAV機器を無線でつなぐホームエンタテイメントシステムを開発中と報じた。自社ブランドで発売することになるという。

 Googleはこれまで電子デバイスの基本ソフト(OS)や技術仕様を開発し、それを搭載したハードメーカーが独自ブランドで発売するという形を取っていたが、ホームエンタテイメントシステムに関してはGoogleブランドで発売することになるという。

 音楽やビデオなどのコンテンツを、テレビ、タブレット、スマートフォンで共有するシステムになるもようで、AppleのAirPlayと同様のコンセプトを目指しているものと思われる。

蛇足:オレはこう思う

 GigaOmによると、Googleは昨年12月に米連邦通信委員会(FCC)に対して、米国内4都市での無線技術の実験の申請をしている。その申請書によると、GoogleはWi-FiとBluetoothを使ったエンタテインメントデバイスを研究開発中で、最終的なコンプライアンステストの前に試作品を研究所の外の環境で試用することで微調整を行いたいとしている。実際の家庭環境の中で他のデバイスとの接続具合や電波の安定性の影響などを調べる必要があるとしている。

 実験期間は1月17日から7月17日までで、実験を行う都市はカリフォルニア州のMountain View市、ニューヨーク市、マサチューセッツ州Cambridge市、ロサンゼルス市の4都市、となっている。252台のデバイスの接続実験を行う、としている。恐らくGoogle社員の自宅での実験になるものとみられている。

 7月まで実験ということは、その後微調整が行われ、年内発表、来年発売、というスケジュールだろうか。

 WSJも注目しているし僕も今回のニュースでおもしろいと思ったのは、Googleが独自ブランドで開発、発売するというところ。

 これまではハイテクデバイスのビジネスモデルは2通りあった。標準となるソフトを開発し、ハードメーカーにライセンスするという方法が1つ。MicrosoftがWindowsをパソコンメーカーにライセンスするというやり方がそうだ。

 もう1つは、ソフト、ハードともに自社で開発するという方法。Appleがその代表例。

 これまではMicrosoft方式のほうが優れていると一般的に考えられてきた。事実パソコン市場では長年に渡りMicrosoftがAppleに圧倒的な差をつけてきた。

 ところが最近ではApple方式のほうが優れているのではないか、という意見も出始めている。事実Appleの業績の伸びは半端ない。(関連記事:Apple予想を超える絶好調決算 世界一のスマホメーカーに【湯川】

 もし今回のWSJ紙の記事が事実なら、GoogleはMicrosoft方式からApple方式に戦略転換した可能性があるということだ。確かにMotorola買収を発表した辺りから、戦略転換の兆しはあったのだけれど。

 どうしてApple方式が有効になってきたのだろうか。1つには、主戦場がパソコンから家電に移行してきたから。パソコンは主に企業ユース。企業はコストパフォーマンスを重視するので、Microsoft方式でメーカーが価格競争してコストパフォーマンスのいい製品を出してくれたほうがありがたい。でも家電の場合だと、消費者はちょっとしたコストパフォーマンスの違いより、統一された使い勝手のよさを求めているのかもしれない。

 Googleの戦略転換のもう1つの理由は、やはりAppleの大躍進だろう。自社でソフト、ハードの統一感ある製品を出したほうが大きな収益につながるということを最近のAppleが示してくれている、ということが大きいのだと思う。

 さてではGoogleはどのような開発しようとしているのだろうか。AppleもAirPlayのような仕組みを提案しているのだが、今、ホームエンターテイメントシステムで最も先行しているのはSonosだと思う。下のビデオを見ていただければ分かるが、家の各部屋にはスピーカーが設置されていてスマートフォンやタブレットと無線でつながっている。その状態でスマホやタブレットのアプリを操作することで好きな楽曲を聞ける。自分の今いる部屋を指定して、その部屋だけで聞けるようにもなっているし、家中のすべての部屋で同じ楽曲を聞くこともできる。

 iTunes上の楽曲も聞けるし、聞き放題サービスspotifyなどとも連携しているのでspotifyからストリーミングされる曲を好きな部屋で聞くことができるようになっているようだ。(関連記事:1,500万曲が聞き放題!音楽配信サービスSpotifyをあらためて使ってみた【梶原 健司】

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