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米TechCrunchは、米大型小売チェーンWalmartが、Facebook上のソーシャルカレンダーアプリ「socialcalendar」を買収したと報じた。
「socialcalendar」は、友人の誕生日を事前にリマインドしてくれるアプリ。Facebookも友人の誕生日をその当日に表示するが、socialcalendarは忘れたくはない大事な友人の誕生日をメールなどで事前に知らせてくれるアプリだ。
具体的には、アプリをインストールすればFacebook上の友人のリストが表示されるので、その中から誕生日や記念日を忘れたくない友人を選択。あとは誕生日や記念日のある月や週の最初の日に,
リマインドメールやSMSが送られてくる。もちろん当日にも、通知してくれるようになっている。またその日に合わせてバーチャル記念日カードを送付できるように設定することも可能だ。
socialcalendarのサイトによると、ユーザー数は1600万人で、月間アクティブユーザーは100万人、月に1000万通のメールでリマインドを送っているという。
米国の記念日カードの市場は75億ドルと言われており、同サイトは、socialcalendarがその市場の「勢力図を塗り替えようとしている」と表現している。
TechCrunchによると、Walmartは友人のソーシャルの属性をベースに友人が欲しがりそうなプレゼントを推薦してくれるFacebookアプリ「Shopycat」をリリースしたばかり。これまでにソーシャルメディア関連技術を持つKosmix社や、Small Sciety社、OneRiotを次々と買収したほか、中国のeコマース大手Yihaodianにも出資しているという。こうした企業の技術とsocialcalendarを組み合わせて、誕生日や記念日に相手が喜びそうなプレゼントをレコメンドする仕組みを作ってくることはほぼ間違いないだろう。
東京で開催されたSocial Media Weekに合わせて来日したPowerReviews社のAndy Chen氏によると、米国のほとんどすべてのコマース関連企業がFacebookを通じて誕生日プレゼントを贈るテクノロジーに大きな関心を持っているもよう。ただFacebookユーザーの多くは友人以外には誕生日を公開しないのが一般的であるほか、ユーザーがどのようなプレゼントに興味があるのかを推測するためのデータが1ヶ所に集められていない状態なので、喜ばれるプレゼントをレコメンドするのが困難なのが現状という。(関連記事:「Facebookコマースの可能性は計り知れないが米でもまだ様子見」 PowerReviews社 Andy Chen氏【湯川】)
とはいうものの、Walmartはあらゆる製品に関する消費者の購買履歴データを持っているし、それにソーシャルメディアを通じて入手したデータを紐付けること可能なはず。Walmartが、ソーシャルコマースの新しい形を最初に創り出すことになるのかもしれない。
実は僕自身、Facebookを通じたソーシャルコマースにはそれほど興味がない。時代は既に次の覇権争いに移行しているから。ただFacebook上で今後ソーシャルコマースや決済の仕組みを通じたマネタイズ手法がどう展開していくかは注意深く見守りたいと思う。その展開の仕方が、次の主戦場であるモバイルにも共通するところがあると思うからだ。
大手企業って動きが鈍くなるところが多いんだけど、さすがにWalmartはおもしろい動きをするなあ。米国の書籍市場ではAmazon優勢のまま推移すると思うんだけど、一般的な商品のコマースに関してはWalmartってAmazonにとっても結構手強い相手なんじゃないだろうか。
ネット企業が、ネット上のデータだけで戦えた時代はもうそろそろ終わり。インターネット技術がありとあらゆる産業に利用されるようになる中で、今最も有望なのはネット企業ではなく、動きの早い既存大手企業なのかもしれない。
でもほとんどの既存大手は動きが遅いんだけどね。