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仕事探しにこそ人間関係が効く IT系フリーランサー向けビジネスマッチングFacebookアプリ「ProFinder」【湯川】

[読了時間:2分]

 インターネットはこれまで、モノやサービスの最低価格を探すのに便利なツールだった。モノを最低価格で購入できる利点は確かに大きいのだけど、サービスは価格だけで単純に判断できない。「少々高くてもいいので安心できる人や会社に仕事を頼みたい」という依頼主もいるだろうし、そうしたニーズにこれまでのネットサービスは答えられなかった。

 株式会社I&GパートナーズがこのほどリリースしたFacebookアプリ「ProFinder」β版は、エンジニア、クリエイターといったIT系フリーランサーと、そういったフリーランサーにウェブサイトやアプリの開発を依頼したい企業とをつなげるビジネスマッチングアプリだ。ちょっとした価格の差よりも安心できる人に仕事を任せたいという企業と、価格を落とさずに質のいい仕事にこだわりたいフリーランサーのマッチングを目指すのだという。

 価格やプロフィールだけに頼らず、安心して仕事を任せるフリーランサーをどうやって探すのか。

 友達のつながりを通じて探すわけだ。

 このアプリを使うとフリーランサーと依頼者の間の共通の友人が表示されるので、フリーランサーの技能レベルや性格などは友人に聞くことができる。

 こうした人を介してのビジネスマッチングは、欧米ではLinkedInが担っているが、LinedInは主に正社員のビジネスマッチングが中心。I&Gパートナーズの渡邊昌資さんによると、ProFinderはIT系フリーランサーに限定しているのが特徴という。また欧米と違って日本ではLinkedInではなくFacebookをビジネス上の付き合いに利用するユーザーが多いこともあって、Facebookアプリとしてリリースすることになったという。


 具体的な機能を見ていこう。依頼主は、募集案件の内容、必要としているスキル、報酬、期間、場所などの詳細を入力するところは、他の人材系サービスと同じ。ただフリーランサーが応募してくると、そのフリーランサーと自分との間の共通の友人が一覧表示される。共通の友人のアイコンを押すとその場でメッセージが送れるようになっている。

 一方で仕事を求めるフリーランサーは、このアプリにあらかじめ技能的に何ができるのか、具体的な開発言語名やデザイン系アプリケーションプログラム名などを登録しておくことができる。例えばhtml、CSS、Linux、Ruby、photoshop、dreamweaverなどのボタンがあって、使える言語、ソフトのボタンを押しておく。おもしろいのは、それぞれの技能に対して友人が「good」というボタンを押せること。自分自身では自分の技能に「good」ボタンは押せない。友達からの評価が可視化されるわけだ。

 こうしたサービスの難しいのは、登録者をどうやって増やすか。一定数まで増えるとあとは、多くの登録者の存在がさらに多くの登録希望者を呼ぶ、という好循環が起こる。この好循環が起きるところまで、最初にどうやって登録者を募るのかが重要になる。

 渡邊昌資さんによると、I&Gパートナーズは求人サイトや人材紹介業を手がけているのでまずは取引企業などの利用が見込めるほか「フリーランサーは普段チームを組んでやっているので、だれかが使い始めれば相互に紹介し合い、評価し合うようになるのではないか」と言う。

 利用料金は、β版のため3ヶ月から半年は無料。その後はフリーランサーには月額の少額課金、依頼者には募集案件を掲載するごとに課金することを検討中。金額は未定という。

蛇足:オレはこう思う

 まあこれからの仕事探しはこの方向だと思うね。本文にも書いたけど、履歴書と料金だけで判断なんてできないし、特に仕事の依頼は料金が安ければいい、という話でもないもん。サービス提供者にとってもネットって値切られるための道具でしかなかったんだよね、これまで。

 今までもフリーランサーは人間関係を通じて仕事を融通し合うことが多かったけど、Facebookを通じてより効率的に仕事を融通し合うようにできるようにしたサービスだね。Facebookの利用、リアルソーシャルグラフが拡大してきたからこそ、実現できたサービスだ。今のところネット上で実名を使ったリアルソーシャルグラフが確立しているのってIT関連企業が中心だから、まずはその領域でサービスを展開してきたのだと思う。

 今後のリアルソーシャルグラフの拡大に合わせて、あらゆる職種でこうしたサービスが展開されるようになればいいのに。こうした仕組みを通じて、プロたちが縦横無尽にチームを組み、仕事が終われば解散していくようになれば、いずれ企業でなくても個人の集合体でも大きな仕事ができるようになるんだと思う。どんどん個人の時代になっていく。自分が得意とする技能を磨いていけば、つながりやすくなる時代に向かっているんだと思う。

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