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SXSW2012、日本のスタートアップによる音楽系サービス5選【本田】

[読了時間:2分]
 繰り返しになるが、SXSWはIT・音楽・映画の祭典である。今年SXSWに挑戦した日本企業には音楽系のサービスが多く見られ、当然ながら来場者の関心を集めていた。読者には既知・未知のサービスもあるが、ここでまとめて紹介する。

英語版をローンチし、世界展開へーPicotube

 VettelのPicotube。サービスの詳細については、既にTechWaveでも取り上げている通りだ。今回、SXSWに合わせ英語版をローンチしてきた。また、SXSW用のPOD(Picotube内で音楽を視聴するための部屋)を設けている。

 turntable.fmと比較されることの多いPicotubeだが、米国以外で使えない前者に対し、Picotubeは全世界で利用可能だ。また、音声でなくYouTubeを使う点も特徴。映像であることの分かりやすさは、こちらの来場者にも好評だそうだ。

 代表の山下英孝氏は、turntable.fmはラジオ時代、Picotubeはテレビ時代であるとし、音楽視聴の変化を指摘。年内10万ユーザーを目標に掲げ、スマホ対応を急ぐ。英語だけでなく多言語にも対応させ、特に東南アジアを中心とした世界展開を目論んでいる。


初音ミクのコスプレが大人気(Photo:Masahiro Honda)

より一般的な人にも使ってもらうため、デザインを一新ーBeatrobo

 こちらも既にお馴染みのBeatrobo。リリースから3ヶ月(リリース時の記事はこちら)。Picotubeとは反対に海外ユーザー、特に10代後半の利用が多いという。

 リリース時から完成度の高かったBeatroboであるが、今回、ユーザーの利用状況を元にチューンナップを施してきた。まずはデザイン面。クラブなど音楽性の高さをイメージした従来の黒ベースから、白ベースに変更。音楽好きな初期ユーザーから、より一般ユーザーに使ってもらうための施策と代表の浅枝大志氏は説明した。

 Beatroboの開発チームは、この取材中にもジャンル表示など改良を順次続けていた。これが実装されることで、現在人ベース(ソーシャルグラフ)による繋がりに加え、趣味嗜好(インタレストグラフ)を取り入れることで、より多くの人との音楽体験が可能になるという。

 Beatroboは今年、会社を米国内に登記。本格的な海外進出を目指す。


英語堪能な代表の浅枝大志氏が来場者対応をする後ろで、開発も進められていた。

自分のiPhoneの曲を友だちのiPhoneで再生ーMusicParty

 面白法人カヤックが3/12に全世界同時リリースした「MusicParty」は、同じWifi環境にあるiPhoneを繋ぐことで、ベースのiPhoneから、他のiPhoneの楽曲を再生できるアプリである。ベース機にスピーカーを接続しておけば、その場の皆んなで音楽を楽しむことが出来る。

 使い方は、音楽を流す親機で、アプリを立ち上げ、新しい“パーティー”を作成。子機はそのパーティーへの参加、それぞれ再生したい曲をリクエストすることで、順番に楽曲が親機から再生される。

 これはドライブ中などの利用を想定しているが、SXSW来場者の反応では、オフィスでも使いたいという声も聞かれたそうだ。また、MusicPartyはデータをコピーするわけではなく、単に別のiPhoneをワイヤレススピーカーのように使うだけで、著作権上の問題はない。


歌舞伎の装束で登場の面白法人カヤック

YouTubeを使ってバーチャルジャムセッションを実現ーmashroom

 mashroom.fmは、YouTubeの映像を最大6つまで再生し、それに合わせて自分も演奏するバーチャルジャムセッションを実現させるサービスである。

 特にアマチュアミュージシャンたちは、以前であればCDを聞きながら、あるいはYouTubeで一つの動画を見ながら、それに合わせることで自分のパート練習をしてきた。

 今YouTubeには、世界中のミュージシャンが各々のパートだけを演奏した動画が多数アップされている。それをmashroom.fm上で一緒に再生することで、自分のパートだけが抜けた音を再生することが出来、より本格的なセッションが行える。

 なお、mashroom.fmは生演奏を同時にするものではない。また、演奏結果をそのままYouTubeにアップロードすることは、著作権を考慮し、出来ない仕組みになっている。


mashroom.fmのブース。ファウンダーの2人・渡邊誠氏(右)と今野礎氏

iPhoneにある全ての曲名を友達と共有ーpalmu

 しま奈がリリースしたpalmu(パルミュ)は、自分のiPhoneに入っている曲名をFacebook上の友達とシェアするアプリである。※pal=ペンパルなどに使われる「友達」の意、muはミュージック。

 1つの楽曲に対応した紹介画面があり、そこにはYouTubeやgroovesharkなどサンプルへ飛び、買いたい場合はiTunesへのリンクも用意されている。将来的には、ここからライブチケットの購入が出来るようにしたいという。

 なお、共有出来るのは「全ての楽曲名」である。これは、全ての楽曲名を共有させることで、根っこで持っている音楽の趣味をあぶり出し、思いがけない曲、懐かしい曲との出会いを促すためだという。また、共有はあくまでも楽曲名であり、楽曲データそのものではない。


しま奈は、岡島康憲(開発)、桃子(デザイン)夫妻によるユニット
蛇足:私が思うに、
【お知らせ】SXSWに関する報告会が2つあります。
 3/23(金)、海外カンファレンス出展レポート ~SXSW × midem × Launch~ #peatix323
これは、midem、Launchという他のカンファレンス参加者と一緒に。SXSWについて、私とCompath.meの安藤さんが登壇します。

 4/5(木)、SXSW2012 Look Back Meetup~SXSW2012を振り返り、SXSW2013に向けて多くを語り、多くを学ぶ!
 こちらはSXSWだけの報告会。頓智ドットの井口さんや出展者などと、今年の報告および来年に向けたキックオフ的なイベントです。

著者プロフィール:本田正浩(Masahiro Honda)

写真家、広義の編集者。TechWave副編集長
その髪型から「オカッパ」と呼ばれています。

技術やビジネスよりも人に興味があります。サービスやプロダクトを作った人は、その動機や思いを聞かせて下さい。取材時は結構しっかりと写真を撮ります。

http://www.linkedin.com/in/okappan
iiyamaman[at]gmail.com

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