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たったの7分でTwitterのJapanトレンド1位を獲得した「ジャパンハート・プロジェクト」におけるソーシャルメディア施策について【吉田将人】@maskin


[読了時間:5分]

@maskin:
「特定非営利活動法人(NPO)ジャパンハート」の広報活動をしている東京大学の吉田 将人さんに転載という形で寄稿して頂きました(PR色が強い部分など一部表現を変更させて頂いた部分もあります)。
ボランティアのソーシャルメディア活動というと、古くからオンライン募金があり最近ではクラウドファンディングの利用が目立ちます。共感を得やすい反面課題も多い分野のため、掲載については躊躇する面もありましたが、吉田氏の「ソーシャルメディアのチカラなんて空虚なものを信じず、「一人一人の人間のチカラの集積」という部分に焦点を当てたから」という一文に感銘を受け掲載に至りました。

「数こそ力」がまかり通るこの時代に、そのスタンスは逆行するように思えますが、支援の輪はとても小さな関係性の上に成立するのではないか?だからこそ、成長していくのではないか?と僕は感じたわけです。というわけで、客観的に読んでもらい、みなさん一人一人の考えを頂戴できればと思います。

国内最大規模500人以上が支援、UST約4,000視聴記録、Twitterトレンドまで獲得した「ジャパンハート・プロジェクト」とは?


  右のクラウドファンディングサービス「READYFOR?」における、プロジェクトをご覧になった方も、ご覧になっていない方も、以下を読めばその全容が分かるようになっています。

(3月19日 15:00、吉田氏の要望により最新の情報に更新)

ぼくが発足したこのプロジェクトは、参加者約600名、支援額は300万円以上にのぼる、国内最大規模のプロジェクトになりました。発足させるまでの過程や、実際に達成させるためにやって来たことをここでみなさんに共有させていただきます。


「特定非営利活動法人ジャパンハート」にて、学生チームを組織してネット領域を中心とした広報活動を支援しております、東京大学4年の吉田将人です。

  ここで紹介する「ジャパンハート・プロジェクト」の目標は、これまで10,000件以上の手術を16年間に渡って無償・無給で続け、その活動が「情熱大陸」に番組初3回特集されたことで話題を呼んだ、小児外科医・ジャパンハート代表吉岡秀人の「考え方」を多くの人に対して発信し、彼のような人間の活動が様々な分野で広がっていくための「50年先に向けた種を撒く」ことです。先日、USTREAM放送を行ったのですが、たったの7分でTwitterのJapanトレンド1位を獲得し、わずかな告知で2,000回以上再生された「吉岡からのメッセージ」を編集した動画アーカイブは、コチラからご覧になれます。

 

ここでは、上記目標を前提とした「NPOの広報に対してどのような戦略を考えたのか」についてご紹介致します。

 

1. NPO法人が抱える問題を「ソーシャルのチカラ」で解決する
2. 「ジャパンハート・プロジェクト」とは?
3. 4つの企画と今後について

 

 

1. NPO法人が抱える問題を「ソーシャルのチカラ」で解決する

 

  本プロジェクトは、ネット領域における広報活動に強い人材がNPOにはなかなかいない、ということで学生の僕にもチャンスがふってきたことから始まりました。お話を頂いた時にまず考えたのは、代表吉岡の「考え方」を発信するにあたって「吉岡の存在」そして「ジャパンハートという団体としての活動」を全ての年代の多くの人にまず認知してもらうことです。そのための手段が、マスメディアとソーシャルメディアを併せた相乗効果によるバズです。

  まず第一段階として、今後も日常的にジャパンハートの活動をウォッチし応援してくれるような人々、つまり今で言うとソーシャルメディア上で配信された情報を広めることが生活習慣に入り込んでいるような若い世代の人々に「認知」させることを考えました。団体として広告費は基本的にゼロなので、使えるツールは無料で使えるネットメディアです。そこで彼らに効果的にリーチしていくために、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアで共有しやすいwebサイトや動画の話題となるコンテンツを用意する必要があると考えました。

  また話題とするものは、NPOの問題を解決するようなものにしなければ意味がないので、今回はクラウドファンディングサービス「READYFOR?」を利用して、自分のお金が何に使われるのかが明確で、クレジットカードさえ持っていれば1,000円から参加可能で、Facebookログインで認証したアカウントから今後も継続的な関係を築いていくことが可能なプロジェクトを立ち上げることでNPO法人が抱える個人寄付に関する課題を解決し、また団体としては初の試みとなるUSTREAM放送を行ってプロジェクトへの参加を促しつつ、吉岡秀人のこと、ジャパンハートのこと、そして若者たちに意識して欲しいことを伝える動画アーカイブを残すことにしました。

  今回取り上げることとなった具体的な話題は、「ミャンマーでは手術困難な病に苦しんでいる6歳の少女ニーニーミンルィンちゃん(病状について詳しくは先生のブログ参照)を日本に連れて来て手術するための渡航費・滞在費・手術費、合計300万円を集めよう」、というものです。ここでプロジェクトに参加することで、第一段階の「認知」から、第二段階の「行動」へとシフトします。既に500名以上の方にご参加いただいており、このようなプロジェクトに少額でも参加できることに関して、多くの方から感謝の意が届けられています。

 

  このプロジェクト成立の追い風となっているのが、ソーシャルメディアを当たり前のように使い、それぞれの活動範囲で認知度が高いジャパンハートの応援者達です。僕がこの企画を考案した時にまず初めにしたことは、一人ずつ直接会ったり、メッセージを送ったりして応援者を募ることでした。READYFOR? プロジェクトの公開時には約100名がFacebookのグループに参加している状態を作り、彼らを核としてソーシャルメディアを使っている多くの人がこのプロジェクトに関心を持ってくれました。その結果として、プロジェクト公開2日目のUSTREAM生放送開始7分後にして、#japanheart がTwitterのJapanトレンド1位を獲得し、また約2時間の放送中10位以内にランクし続けました。彼らは、支援者500人達成、支援額200万円達成といった節目の時や、順次打っている他の企画においても多くの人にジャパンハートとしての活動を広めてくれています。

  ここでポイントなのは、「ソーシャルメディアのチカラ」なんて空虚なものを信じず、「一人一人の人間のチカラの集積」という部分に焦点を当てたからだと思っています。きっと、僕が直接声をかけた100人以上の方々や、プロジェクトを支援してくださっている500人の方々は、300万円の達成時には自分のことのように喜んでくださり、実際に手術を受けにニーニーちゃんが日本に来た時にも、喜んでそれを広めてくれるはずです。またこの来日という具体的な事象があるからこそ、もしもマスメディアによる取材が入った場合は、その放送や掲載時に彼らがソーシャルメディア上でも大きな話題にしてくれるはずです。こうして第一段階の「認知」、第二段階の「行動」、そして第三段階の「共有」へと参加している人たちが変遷して行くのです。共感という感情のもとにプロジェクトから派生した様々な情報がソーシャルメディア上でバイラルすることで、ジャパンハートへの認知度・関心度がより向上していきます。

 

 

2. 「ジャパンハート・プロジェクト」とは?

 

  読んで字のごとく、団体名の「ジャパンハート」は「日本人の心」です。団体のロゴもハートマークの左肩に日の丸が配置されたものになっています。一見すると団体名からは、医療支援をしている団体ということは読み取れません。「国境なき医師団」と言われたら何の団体かは直ぐ分かりますよね?でも敢えてそれをしていません。

  日本人の心というのは、人によってそれぞれです。代表の吉岡秀人自身も、いま小児外科医をやっているのはそれが一番ミャンマーの子どもたちにとって必要で、かつ求められていることだからだと言っています。この団体が伝えたいことは、「みんなで医療支援をしようよ!」ということではありません。自分自身が活動しているフィールドで、自分に求められることを実行していく、その人道的な心こそがジャパンハートだと言いたいのです。吉岡は、「世界中どこに行っても、『日本人は人道の国、何かあったときに絶対に一番に助けに来てくれる』と感謝され、尊敬されるような国際的なポジションを築きたい」と言っています。

  そこで今回のコンセプトは、「自分の『ジャパンハート』をみつける!」としました。5年先、10年先、50年先を見据えて、若い世代の人たちに「吉岡秀人」という資本主義的な思考回路を突破した圧倒的なロールモデルの存在を知ってもらうことが、何かしらの行動を起こして行くきっかけになればと考えています。

  しかし、せっかくやる気になっても行動のはけ口が無いのはもったいない、そこで、1,000円からでも参加出来るREADYFOR?のプロジェクトを準備し、小さな一歩を踏み出せるようにしました。さらに、その支援金の引き換えとしてジャパンハートのステッカーを送付することで、そのステッカーを貼っている人間同士が普段の生活のふとした瞬間にお互いの参加した活動を再認識し、また団体のことを知らない人から「そのステッカーなに?」と聞かれることで、ジャパンハートのこと、そして吉岡秀人の想いを多くの人に伝えていくことになります。こうゆうリアルな行動を喚起させることが本プロジェクトのこだわりです。

  実はこのステッカーには更にこだわりがあります。ジャパンハートのハートはもちろん心臓という意味ですよね。なので、ステッカーを貼る人にはPCを開いた時に相手から見て丁度自分の心臓の位置にステッカーが重なるように、PCの背の右上に貼ってもらっています。これによって、「日本人の心」を意識していることを他者に対して直接的に表現出来ます。

 

 

3. 4つの企画と今後について

 

  READYFOR?プロジェクトの成立、そしてその先の代表吉岡の「考え方」の普及を見据えて、プロジェクト期間中に4つの企画を用意しました。これに関して何か参考になるものがあるかと思いますので、以下で順にご紹介していきます。

 

 

【企画1】1/21 USTREAM放送(Twitter Japan トレンド獲得、当日2時間の視聴数3,901)

 

  会場動員は完全招待制の、団体としては初の試みであるUSTREAM放送をJP-LIVEさまのご協力のもと実施致しました。また吉岡秀人としては新しい切り口で、「情熱大陸」などで語った内容とはまた違う、若者に向けたメッセージに絞ってお話しさせていただきました。

  放送開始から徐々にソーシャルメディアへのバイラルによって視聴者が伸びて行く性質上、一番伝えたい「吉岡秀人から若者へのメッセージ」の部分を最後の第3部に回し、第2部のパネラーにエイズ孤児支援NGO「PLAS」代表 門田瑠衣子氏 @Rui_Plas、若者の社会復帰支援NPO「キズキ」代表 安田祐輔氏 @yasuda_yusuke、慶應義塾大学4年 Greens.jpライター 植原正太郎氏 @little_shotaro、東京大学大学院2年 Youth for 3.11 代表 船登惟希氏 @gooosebumps、そしてモデレーターにITジャーナリスト&プロボノ活動家 イケダハヤト氏 @IHayatoをお呼びした、吉岡秀人氏 @yoshiokahidetoとのパネルディスカッションという圧倒的に学びが多く面白いセッションを入れることで、視聴者数を伸ばしました。これを支えてくれたのが、会場にご招待した60人のインフルエンサーです。

瞬間最高視聴の第3部アーカイブはコチラ: http://www.youtube.com/watch?v=A7Zon5nqp_4 

 

【企画2】メッセージサイト(写真掲載100人以上)

 

  今回配布しているジャパンハートのステッカーをもっと多くの人に知ってもらうために、応援者達の笑顔を集めていくサイトを立ち上げました。このサイトによってみんながお揃いのステッカーを貼った時のことを想像してもらい、実際にクレジットカードを切ってプロジェクトに参加にするモチベーションを喚起しています。

サイトはコチラ: http://www.japanheart.org/sticker/ 

 

【企画3】2/25,26 ニーニーミンルィンちゃんへの寄せ書き作り(美大生作、参加者70名)

 

  今後もずっと残る「もの」をみんなのチカラで作りながら、ジャパンハートのステッカーを配布するリアル企画を行いました。現状でも多くの人から、「あのステッカーどこで手に入れるのかな?気になる。」といったインプレッションを獲得していること、それからクレジットカードを持っていないせいでプロジェクトに参加出来ないという声が多数上がっていることから考えて、実際に手渡しでステッカーを渡す機会を設けました。

 

 

  また、今回の一連のプロジェクトの中で、Infinity Ventures の小林雅さまより、年二回実施しているIVSへのオファーを頂き、吉岡秀人が6月のIVSと、7月13,14日の学生向けのIVS Workshopに出演することが決まっています。学生の方はぜひチェックしてみて下さい。

 

 

最後になりますが、、

  もしこのプロジェクトに関心を持っていただけたら、こちらのREADYFOR?プロジェクトページからご支援いただけると幸いです。そしてジャパンハート学生チーム公式アカウントのフォロー、もしくはFacebookの応援者グループへの参加により、今後のプロジェクトの進行をウォッチしていただけると幸いです。

 

何かご質問等ありましたら、@masato119 もしくは masato.pool@gmail.com までよろしくお願い致します。

 

飛べない鳥たちへ―無償無給の国際医療ボランティア「ジャパンハート」の挑戦

死にゆく子どもを救え―途上国医療現場の日記

 

 

こちら2冊は吉岡先生の著書です。「人生観」がガラッと変わることが書いてあるので、ご興味がありましたら是非。
Amazonアフィリエイトを組み込みましたが、ここで入ったお金は全額プロジェクトの方に寄付致します。

 

 

*プロジェクトチームメンバー&ご協力*

吉田将人 東京大学工学部4年 @masato119
田沢雄基 慶応義塾大学医学部4年 @yuukitazawa
松村一希 慶応義塾大学医学部2年 @number24_
浅野聡 慶応義塾大学医学部2年 @nottttttit2
西條史祥 東京医科歯科大学医学部2年 @joh217
西村有未 東京大学理科Ⅲ類2年 @You___Me_
石川文枝 早稲田大学4年 @orangefumi
泉愛 青山学院大学2年 @chocolateaiai
野口 有沙 慶応義塾大学1年 @ars92_
吉田瞳子 大妻女子大学2年 @tokotoko1118
秋元祐花 学習院大学2年 @yuka_aki
川瀬圭亮 国際基督教大学2年 @Kesuke2
瀬戸晴加 国学院大学3年 @setoharu1030
佐野創太 慶応義塾大学4年 @SoutaSano
小川未来 慶応義塾大学2年 @miki_mo

総勢500人を超える支援者のみなさん

【関連URL】
・ジャパンハート JAPAN HEART -国際医療協力・海外医療ボランティア医師団-
http://www.japanheart.org/
・ミャンマーで病に苦しむ一人の少女の『心』を救う!(吉岡秀人) – READYFOR?
https://readyfor.jp/projects/japanheart_vol1

著者プロフィール: 吉田将人 @masato119
見た目と裏腹の22才。東京大学工学部4年。国際医療ボランティア団体ジャパンハート学生広報チーム発足。消費者主導の信頼できるメディアを構築する Social Leaders プロデューサー。大学の卒論ではパーソナルブランディングを扱い、個人単位のトータル支援も行う。後輩学生に人気のバズらないブログを執筆中 http://ameblo.jp/masato119/ デザインを中心とした話題を取り上げるブログも更新中 http://masato119.com/
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