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三橋ゆか里
(@yukari77)
先週3/15(木)にiPhoneとAndroidで同時リリースされた新アプリ“POPCORN Salt”。リリース当日にさっそく無料エンタメランキング1位を獲得しました。ぴーこんというキャラクターでお馴染みのPOPCORNが生まれ変わってできたのが「POPCORN Salt」です。
なぜまったく新しいアプリをリリースするのか。AppStoreの無料総合第1位を獲得しながらも、最低の評価1をつけられた「POPCORN」。そんなアプリが9ヶ月間の運用を経て、合計4,000件、平均4以上の評価をされるまでの道のり。そんなストーリーを、株式会社エムワープの広報の梶谷恵里さんとプロジェクトマネージャーの森中亮さんに伺ってきました。
アプリ「POPCORN Salt」の概要
POPCORN Saltの大切なアップデートのひとつが、みんなの好きを一箇所でチェックできるHOME画面。仲間の好きなもの、今聴いてる音楽がストリームのように流れてくる。この人は最近こんなものにハマってるんだ、こんな音楽が趣味だなんて知らなかった、なんて発見がある。他にも、同じ趣味趣向の人とつながれるUFOキャッチャーのような「仲間キャッチャー」を追加。仲間キャッチャーで、この人共通点多いなって人をすくえちゃう。
またぴーこんは、ユーザの回答をもとに性格診断を行って、それをもとに音楽、映画、イベントなどをレコメンデーションしてくれる。能動的な人が好きな傾向がある音楽は○○だけど、あなたはどう?といった具合に。いいね!、まあまあ、イマイチで回答した内容が、より精度の高いレコメンデーションにつながっていく。
最初のアプリ「POPCORN」の評価を1から4に
「POPCORN」のリリースは、2011年4月18日。リリース後、予想以上にダウンロードされて喜んだのも束の間。サーバ側の設備が悪く、まったくトラフィックに耐えきれなかった。アプリがすぐに落ちてしまったり、全体的にスピードが遅かったり、バグがあったり。ユーザの不満はApp Storeの評価に如実に現れ、評価1がズラリと並んだ。
その厳しい評価を受け止め、そこから9ヶ月間の運用期間に徐々にアプリを改善していった。ユーザヒヤリングやリアルイベントなどを積極的に行い、拾い上げたユーザの声をアプリに反映。ユーザが感じる当然の不満に対して、悪いところはきちんと認めてごめんなさいという素直で真摯な姿勢を続けてきた。ダメなところは隠さないし、意見が欲しいからぜひ教えてほしいと呼びかける。最初はサポートにクレームを言ってきた人も、コミュニケーションのキャッチボールを繰り返すうちにファンになってくれることも。そうこう繰り返すうちに、POPCORNのレビュー数4,000件、平均4以上の評価を得るまでに到達したそう。
せっかくここまで改善したアプリだけれど、改善だけではまかり通らないと判断し、まったく新しいアプリをリリースするという舵きりをして生まれたのが「POPCORN Salt」。23万人、月間1,500万ページビューの長いβ期間を経てリリースされたアプリなのです。
新しい「POPCORN Salt」の特徴
また新アプリでは、ユーザの性別と年齢の表示を外したそう。趣味趣向しか見られない状態で、匿名性でもコミュニケーションを楽しめるようにした。6人ほどを集めたグループインタビューを繰り返す中で、実名のソーシャルに疲れている人がいることが判明。純粋にぴーこんとやり取りしたい人、またクローズドな環境を好む人もいることも考慮して削ぎ落しを決断した。でもそれ以上に、純粋にインタレストでつながって欲しいという思いがある。そこに性別や年齢は関係ないはず、と。
ゆるキャラぴーこんの存在は大きく、良くも悪くも育成系アプリとくくられてしまうことが多い。でも、POPCORN Saltの肝はそのレコメンデーションエンジン。ぴーこんと会話をしていくうちに、性格診断で自分のことがわかったり、好きな音楽や映画をすすめてもらって新しいモノを発見できる。レコメンデーションが面白くないといくら他の機能が楽しくても成り立たない。これまでにユーザから得た質問への回答数は4000万問。これを性格別、属性別、このアイテムが好きならこっちのアイテムも好きといった分析をすることで、おすすめのロジックパターンを増やしてる。おすすめには、いいね!、まあまあ、イマイチで回答できる仕組み。アマゾンデータベースも取り入れていて、そのレコメンデーションのいいね!率は50%くらい。POPCORN Saltの独自のロジックでは、それを超える精度の高いものが出来上がっているそう。
もう一つこだわったのがユーザインタフェース。遊び心満載で、触っていて飽きない、動きがあるものを用意した。レベルに合わせて、ぴーこんの着せ替えをゲットできるガチャガチャなどはその例。「仲間キャッチャー」の発想はユニークだし、出会いをさらに楽しいものにしてくれている。
オンライン・オフラインで行うファンとのコミュニケーション
森中さんが感じていたこと、それはウェブ、IT会社はユーザとの接点をオフラインに持つことが少ないということ。POPCORNにキャラクターを設定することを決め、思いつきでリアルぴーこんをつくってみたことで「オフラインのコミュニケーション」の重要性をすごく実感することになった。リアルぴーこんがいることで参加できるイベントの幅が広がったり、ユーザがもっと気軽&カジュアルに本音を教えてくれる。メールやオンラインだけでコミュニケーションをとっている人に比べて、実際に会ってコミュニケーションをした人は離れていかない、と。リアルぴーこんが、ファンと運営側のあいだに入ってくれるというわけ。
アプリを出したらそこからが始まり。最初のアプリ「POPCORN」の経験もあって、いかに継続してユーザの声を吸い上げ、コミュニケーションをとり続けるかの重要性を認識していた。サポート部隊を用意し、普段のコミュニケーションから丁寧に行っている。サポート部隊は自らを最速、最強というほどで、だいたいのメールやTwitterに1時間以内でレスを返しているそう。
アプリの公式Twitterアカウントの他にも、梶谷さんが運営ブログを更新。プレゼントキャンペーンのお知らせ、リアルぴーこんが参加したイベントの写真・動画レポート、時には青山なんかをふらーと歩いた様子なんかをこまめに発信してる。他社主催のものを含めて、ぴーこんが参加するイベントの数は最低月1回。その様子を動画におさめて編集したものをYouTubeにアップ。ブログやYouTubeを見てみると、ぴーこんが本当に色んなところに遊びに行ってる。海外旅行に行くときも、小さいぴーこんの人形を連れて行って一緒に写真を撮ってブログにアップしたりするそう。こういう地道だけれど大事なコミュニケーションを普段から行っていくことでアプリの寿命が伸びるのかも。
ユーザ層とユーザ参加型の企画
現在、アプリの利用者の7割弱が女性。最初は5割強くらいでTech系の人が多かったけれど、そこからじっくり使ってくれる人が残り、今のデモグラフィックに。良くも悪くもキャラクターのひきが強かったのかも。具体的には、スマートフォンのボリュームゾーンである20代前半が最も多く、次いで10代後半、20代後半が同じくらい。
2011年12月には、ファンが自らぴーこんの着せ替えアイテムを描くというお絵描きイベントを開催。描いたものを実際にアプリの中に登場させて投票してもらい、「ぴーこんに着せたいもの」コンテストを行った。みんなに選ばれた着せ替えは実際にアイテムになったそう。森中さん、梶谷さんともに、全てが初めてで試行錯誤の毎日とのことだけれど、ファンとこれだけ密にじっくりコミュニケーションをとっていると、きっと彼女たちのツボがわかってくるんだろうな。
「POPCORN Salt」、今後の予定
C向けにビジネスをするのではなく、アプリで集めたデータを分析して、どう使えるか、ユーザが多ければいかようにもビジネスになると考えている。精度が上がりつつあるレコメンドエンジンができているため、それを企業に提供するべく動いているそう。BtoBの企業コラボ、このレコメンデーションエンジンが入ったアプリやサービスなんかが見られる日もくるかも。
キャラクターからの質問形式にすることで、インタレストグラフの新しい作り方を生んだPOPCORN Salt。インタレストグラフの代表例にはGet Glueがあったり、それこそFacebookのLikeもその一例。でも、ほとんどのサービスでユーザ自ら本や音楽などを検索して登録することでしかグラフが生成されていかない。これを継続してやり続けるかというと中々難しい現実がある。
キャラクターを導入し、さらに質問形式(キャッチボール)にすることで、継続するモチベーションが続き、かつタップで形成されるデータベースが作れた。ぴーこんというキャラクターはそれこそユーザインタフェースの一部。POPCORN Saltの面白さは、それをベースとしたレコメンデーションエンジンになのね。え、なんでそんなピッタリのものをすすめてくれるの?っていう嬉しいサプライズこそが、アプリの醍醐味なのです。
*POPCORNのIDとパスワードで、POPCORN Saltにログインしてレベルやアイテムなんかをそのまま引き継げます。
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