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声を上げたら社会が変わることを示したいーネット選挙運動解禁を目指すOne Voice Campaign【本田】

[読了時間:3分]

 One Voice Campaignが地道な盛り上がりを見せている。One Voice Campaignとは、次期衆院選前にネット選挙運動を解禁させることを目標にした活動だ。その第一弾として、5月24日から100時間以内(5月27日いっぱい)に、賛同の意として、Facebookの「いいね!」やツイートを集める取り組みを行なっている。

 One Voice Campaignについては、既に各ネットメディアを中心に記事が出ているので、ご存じの方も多いだろう。詳細は以下が詳しい。

BLOGOSの記事一覧 http://blogos.com/news/one_voice_campaign/
ネット選挙運動解禁への課題は“国民の無関心”?――与野党議員と津田大介さんら議論 (1/3)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1205/25/news024.html

 とはいえ、結局「いいね!」キャンペーンなの? これで政治が変わるの? 政治的な態度表明って気が引ける・・・ 漠然とそんな疑問を抱きながら、私も先日、当事者へのインタビューを行った。公職選挙法の問題やネット選挙導入のメリット・デメリットなどについては、上述の記事に譲るとして、ここでは、ソーシャルメディア時代にこうした活動を行う意味や今後のイメージについて話してもらった。


今回お話を伺ったのは、左から野崎恭平、高木新平、西村顕一、江口晋太朗の4氏
(Photo:Masahiro Honda)

声を上げる連鎖反応のきっかけとして

 次期衆院選前にネット選挙運動を解禁させることが、One Voice Campaignのゴールなのだろうか? まず江口さんが、口火を切った。

 「もっと大きい枠、ビジョンの話をすると、”One Voice”という名前の由来は、僕らが声を上げる、ポジティブなメッセージを出すということ。こうしたら社会が面白くなるとか、もっと声を上げていかないと、社会は変わっていかない。そういう意味で”One Voice”。

 なぜネット選挙運動解禁を最初にしたかというと、これだけパソコンやスマホを持つ人が増え、ネットが生活の一部になっているのに、今の政治の中でインターネットが市民権を得ていない。選挙の直前の期間で更新が止まるという現状は、明らかにおかしい。時代とマッチしていない。

 まずこれが変わらないと、他のも起こらないのではないか。僕らが組織的にやるというよりも、ボトムアップ的な連鎖反応が起こるようなきっかけとして、声を上げた。違う人が今後、医療問題や教育問題、保育について変えたいという人が出てきてくれて構わない。いろんな人達が”One Voice”という冠をつけて声を上げることを大事にしたい。」

“One Voice”という緩い繋がりで、あとはみんなバラバラに動く

 One Voice Campaignにとってネットの利活用は、手段でもあり目的でもある。そして、その運動自体も今日のソーシャルメディア以降のやり方に即したやり方だ。西村さんはそれを「考えながら走っているような感じ」と喩える。

 サイトのオープン後、動画編集のプロが偶然入った。そのスキルを活かそうと、キャンペーンムービーを作ることになった。動画の最後には、Twitterのフォロワーをエンドロールに載せるアイディアも出てきて、一緒に参加しようと呼びかけたら、フォロワーが一気に1000人近く増えたという。これが突発的に、スピード感をもって動いていく。

 「そういうのは、ネット的である種今風なものでもあるし、それ全体が”One Voice”という緩い繋がりの中で活動している。こういうのが現代のソーシャルムーブメントに近いものと思っていて、僕らとしても、あれこれ指示は出さない。自分がやれることを是非やって欲しいという声掛けに近い。」(江口)

 明確な組織や指示系統はないようだ。

 「クリアしなくてはいけないラインだけは設定して。最初はまとめようとしたんだけど、みんなバラバラに動くから、管理するというのは諦めた(笑)」(高木)

議員を動かす世論としての「いいね!」

 ネット選挙解禁は、既に審議会で与野党合意もされていたが、政局のゴタゴタで継続審議のままストップしている。この審議会を再開させさえすれば、何とかなるという目論見である。

 そのためには、ある程度の議員に態度表明してもらわなくてはならず、そしてそのためには世論があることを示す必要。その可視化の手段として「いいね!」を集めるというロジックだ。

 議員を動かし、マスメディアや総務省にも説得力を持って提示するには、それなりの数の力が必要だ。今国会は延長がなければ、6月末に閉会の予定である。会期中に議員に動いてもらうためには、タイムリミットに設定した5月中に、100時間という分かりやすい時間の中で、数字という結果を出すべきとの判断である。

 これに加え、態度表明を促すため議員へのアンケートをとったり、議員に対して選挙区民からの声を可視化させたりするなど、次の布石も視野に入れているとのこと。

ネット選挙解禁後の政治はどうなる?どうしたい?

 ネット選挙解禁後は、Twitter議員・Facebook議員が増殖されることを意味するのだろうか? 最後に、将来のイメージについて伺った。

 「ネット全般で言えば、演説会を知りたい人に知って欲しい。ネット上で対話の場所が作られるということが重要。演説会は、議員が何をやっているかを知れる場所。そこが出来たら、もっと自分たちに近い政治が実現するんじゃないか。」(野崎)

 「オバマ大統領のクリス・ヒューズのように、テクノロジーを知っている若い人が選挙活動の中枢に入るかもしれない。」(西村)

 「もともと政治は市民の声を聞くことだったはず。対話が出来るのであれば、手段は何でもいい。これまでのやり方にプラスしてインターネット。僕らはネットだけを使っているわけではない。ネット選挙といっても、TwitterやFacebookといった特定のサービスを使うことではなく、地域SNSだったり、MyObama.comのように議員さんが自分でSNSを作ってもいい。」(江口)

蛇足:私が思うに、
 「普通のことを普通にしよう」という江口さんの言葉が印象的でした。動き方としても、同じ旗印の元でそれぞれが行動していくというやり方は、我々がTechWaveでやっていることと近く、時代の空気感さえ感じました。

 全ての議員(事務所)にソーシャルメディアを使いこなしてもらう必要はないけど、せめてホームページの更新くらいは選挙期間中にやってくれれば、助かりますよね。

 あとは、この運動で声を上げる連鎖を起こすのであれば、受け皿としてのプラットフォーム化(webサービスの立ち上げ)があると、やりやすくなると思います。クラウドファンディングという仕組みで、様々なプロジェクトが実現されたように。

 そういうわけで、私もOne Voice Campaignに賛同します。

著者プロフィール:本田正浩(Masahiro Honda)

写真家、広義の編集者。TechWave副編集長
その髪型から「オカッパ」と呼ばれています。

技術やビジネスよりも人に興味があります。サービスやプロダクトを作った人は、その動機や思いを聞かせて下さい。取材時は結構しっかりと写真を撮ります。

http://www.linkedin.com/in/okappan
iiyamaman[at]gmail.com

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