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世界に挑戦するトップエンジニアが集まる環境とは- グリー・CTO 藤本真樹× Techwave湯川対談

[読了時間:3分]

【企画記事】
グリーがエンジニア志望の学生を対象に、インターンシップの募集を開始した。経験豊かな社員と共に開発に取り組む長期実践型の「GREE Jobs」と、アイデアの実現を前提とした開発コンテスト型の「GREE Idea Jam」の2つがある。グローバルで10億ユーザーを目指すグリーのスピード感溢れる環境の中で、技術力を磨くことができる。今回は、グリー取締役 執行役員CTOの藤本真樹氏に話を聞いた。(インタビュアー:TechWave編集長 湯川鶴章)

日本のエンジニアは、世界でもトップレベル

湯川 今年5月に「GREE Platform」をグローバル化し、アメリカ、中国、イギリスをはじめ10拠点をベースに事業を展開を加速されていますが、手応えは感じていますか。先日、青柳さん(編注:グリー取締役執行役員CFO北米事業本部長・青柳直樹氏)と話した時、アメリカのエンジニアはこれまでブラウザ上でのサービス開発を中心にやっていたけれど、ブラウザ以外の可能性に気づき始めたとおっしゃっていました。今年の1-2月頃から急にモバイルのトレンドが来たようですが、まだ、開発のノウハウは日本が半年くらい先行しているという話もあります。藤本さんもそのように感じますか。

藤本 アメリカのエンジニアと仕事をしていて、面白いなと思うのは、GoogleやFacebookで働いていた人たちがグリーに入社してきて、その技術のレベル感をリアルに感じられるところですね。そういう人達と仕事をすると、個々人のレベルでは負けていないと分かるし、戦っていけるなと。ただ、海外では、エンジニアの数の多さや流動性の高さがあるので、多くの企業から様々な経験やノウハウが融合していくけれど、日本ではまだそれが足りていない気がします。世界に向けたネットサービスを作った経験のある人が少ないので、逆にそこは僕らが学んでいかなければなりません。それが出来れば、日本のネットサービスも世界で十分に戦えます。


取締役 執行役員CTO 藤本真樹氏(Photo:Masahiro Honda)


湯川 そうした状況は、どうしたら出来ますか?

藤本 2-3年前の日本人は国内向けのサービスを中心に作っていましたが、スマートフォンが普及してきたことで、サービスにしてもアプリにしても、日本以外に向けて提供するようになりました。日本だけでやるのは勿体ない、世界中に国があるのに日本だけしかサービスを展開しないのは変だよね、と皆が思うようになるべく、今まさにグリーが頑張っているところです。

湯川 グリーは、ソーシャルゲームをコミュニケーション活性化のために、いち早く提供開始するなどしてきましたが、これからもソーシャルゲームに力を入れていくのでしょうか?

藤本 ソーシャルゲームの提供も、基本的にはユーザーのコミュニケーション活性化が目的です。だから、プラットフォームの機能としては、そうしたゲームコンテンツに限ってはいません。実際、「GREE Deco Photo」のようなSNSをより楽しんで頂けるサービスやユーティリティアプリを乗せたりもしていますし、これからはECやオークションをやっても面白いと思います。グローバル市場では、スマートフォンマーケットはまだまだ混沌としていて、世界最大手のFacebookも含めて予断を許さない状況です。その中で競争力を維持していくためには、ユーザーの強い支持を得られるアプリを持っていることが重要です。よって、これからはプラットフォームだけでなく、アプリもしっかり浸透させないといけないと思っています。

湯川 ネットサービスを展開する上で、今最優先していることはなんでしょうか?

藤本 2012年はグローバル向けのプラットフォームとアプリが、どこまで世界に通用するか。技術的には、それを支えるネイティブクライアントとサーバーサイドの新しいコミュニケーションモデルのサポートが優先課題ですね。

湯川 今までのお話しを伺っていると、グローバル向けで魅力的なアプリを提供し、それを支えるサーバーの構築が必要ということを重視されているように感じました。次の方向性としては、アプリの提供に注力していくのでしょうか?

藤本 特にこだわりはありません。発表していないことも多いので、まだあまり詳しくは話せませんが、ほんの3-4年前は、グリーのことを、誰もゲームの会社だと思っていませんでした。そう考えると、次の3年が経つと全く違うイメージの会社になっているかもしれない。でも、その方が面白いと思いませんか?

リアルタイムコミュニケーションでサーバーの設計も変わってくる


湯川 今後、強化したい技術領域はどの部分でしょうか?

藤本 これまで、僕らエンジニアはウェブエンジニアが多かったのですが、今はスマートフォン向けのネイティブアプリを作らなくてはいけないので、その領域についてはもっと強化する余地があります。あとは、ネイティブなのかHTML5なのか、そこはグリーとしてノウハウをもっと溜めていきたいと思っています。また、それに伴ってサーバーサイドの技術も。普通のウェブブラウザでなく、もっとリアルタイムなコミュニケーションみたいになってくると、サーバーのアーキテクチャや分析系の技術も変わってきますので、そうしたところも共有して強化していきたいですね。

湯川 リアルタイムコミュニケーションになるとサーバーの設計も変わってくるでしょうか?

藤本 全く変わりますね。今は、ユーザーが送ったリクエストに返すという設計なので、スマートフォンだとコネクションを繋ぎっぱなしにして、サーバー側からもプッシュできます。また、ユーザー側からも、例えば10人でサイトに押し寄せるみたいな場合には、プログラミングモデルもサーバーのプロセスモデルも変わります。ユーザーが数万アクセスして、今までのようにちょっと繋いですぐに出ていくみたいなことが一日中起こっていると、今までのサーバー設計より大変そうな気はします。

湯川 そうなると、バックワードコンパチビリティ(編注:後方互換性)技術も必要になってきますか?

藤本 世界中で販売されている端末の種類が多くある分、Androidの対応が本当に難しいです。それに比べると、ガラケーと言われた日本のフィーチャフォンはまだカワイイものだと思います。ただ、バックワードコンパチビリティというと面白みが無いですが、デバイスを変えたり、携帯ではないところでも同じ体験が出来るプラットフォームを提供することは、他の企業もやっています。そのコンテクストだと面白いですよね。

若い人にも責任を持たせるし、出来れば色々やって欲しい

湯川 グリーで働くエンジニアにはどんな特徴がありますか?

藤本 最近は、社内でも多様性が増してきました。例えば、コンソールゲーム会社で有名なゲーム作ってきた人もいれば、ウェブの会社でビジネス系の開発をやっていた人、画像処理やセキュリティを専門にしてきた人もいます。

 あと、日本のメーカー出身の方はやっぱり優秀だなと感じます。そこから飛び出してチャレンジしてくる方って、グリーにもフィットする。30歳台前半から40歳過ぎの方までいて、最初はグリーの環境に馴染めるのかとドキドキしたのですが、やっぱりすごく優秀で。そういう得意分野を持った優秀な方たちがどんどん集まってきています。

 でも、だからといって僕は学歴や年齢で切り分けたり、経験値だけで実力を判断はしません。もちろん若い人にも責任を持たせるし、意欲的に自分の限界に挑戦して欲しいです。例えば、初代の新卒である2009年入社のエンジニアの1人には、既に部長としてソーシャルゲームの3つあるプロダクションのうちの1つを任せています。皆、それぞれ各フィールドでスペシャリティを持っているので、そこを上手く活かせる環境を整えたいと思っています。

湯川 具体的にはどのような取り組みをやっていらっしゃるのでしょうか?

藤本 グリーでは、「パワーランチ支援制度」や「GREE BootCamp」というのをやっています。「パワーランチ支援制度」は、開発本部内より毎週一人、立候補者で選出して自分で決めたテーマで各々の得意な技術を発表しながらランチを食べます。そうしたスキルアップを支援するために、会社がランチ費用を補助しています。多様なエンジニアが在籍しているので、普段の業務では気が付かないその人のパーソナリティや得意分野を少しずつ皆が知る機会になるし、毎週テーマの異なる話が出て面白いですよ。

 「GREE BootCamp」というのは、入社後に行う研修のことです。チームの仕事をする前に、グリーのエンジニアリング全般を見てもらう、いわばOJTですね。そこでは、グリーでの実際の業務に近いワークをします。そして会社の雰囲気に慣れてもらいながら、開発現場に入る前に最低限の技術力を獲得していけるように工夫しています。配属されるチームとは違う現場に行って、他チームの仕事のノウハウを学んでもらったりそこで仲間が出来ることで、チームを超えたコミュニケーションが円滑になり仕事が進めやすくなります。

 その他、社外での各種勉強会の機会も設けていて、自分で仕事の調整が出来るようだったら、海外で開催される技術学会やカンファレンスにも行ってもらいます。

湯川 これからは、どんなエンジニア像が求められると思いますか?

藤本 特にこの業界では、求められる技術が常に変わっていきます。先ほどの話と被りますが、3-4年前ならフィーチャフォン向けにビジネスをやっていれば良かったのですが、これから2-3年したら、今度はネイティブで、2D、3Dの技術を知っていた方がいいでしょうね。プログラミング言語ですと、iPhoneアプリはObjective-C、AndroidアプリはJava, またブラウザベースだとHTML5やJavascriptを知っておく必要があります。そういった自分で技術を見つけて、次にこういうのが面白そうと、自主的に勉強する姿勢を持った人は大歓迎ですし、グリーでも楽しんでもらえると思います。

 逆に、「そういうのは会社が教えてくれないと困る」と言われると、「君はプロとしてやっていく気があるのか」という気分になってしまいます。そういう意味で、エンジニアのプロフェッショナルとしてプライドを持って働けることは重要だと思います。言い換えると、たとえグリーを出ても、ちゃんと皆「高く売れるエンジニア」でいて欲しいんです。僕があれこれ言わなくても、自己の成長にこだわる方たちに集まって欲しいですね。

 少し身勝手かもしれませんが、エンジニアは会社の中で、最も強くあるべきだと思っています。ただそれは紙一重で、例えばソフトウェア産業だと、最終的にモノを作るのはエンジニアです。しかし、一歩間違うと、言われたものを黙々と作る、最終的にモノを作らなきゃいけない人、という存在になります。

 でも裏を返せば、最終的にモノを作れるのは僕たちだけだったりするのです。そこを強みに持って、自分たちである程度実現したいところに持っていければ、仕事は楽しいと思います。油断すると受け身になって、何作ればいいんですか?みたいな話になりがちですので、モノを作るこだわりやプライドの持ち方はすごく大事ですね。

グリーのインターンシップについて

湯川 採用にも力を入れていて、今年も学生向けのインターンシップを開催するとお聞きしましたが?

藤本 はい、そうですね。今回、学生エンジニア向けのコースとしては2つ用意しています。1つは、「GREE Jobs」という長期実践型のコースで実際に3週間程度開発現場に入ってもらい、そこでグリーの開発環境や仕事のスタイル、先輩エンジニアの技術力に触れ、共に働くことで成長してもらいたいと思っています。まさにグリーのリアルの中での成長を味わえる、といった感じですね。

 もう1つは「GREE Idea Jam」というアイデアの実現を前提とした新規サービスの開発コンテストです。グリーのアプリ開発ノウハウを学ぶセミナーなどを受講したのち、書類審査を行います。それを突破すればグリーのエンジニアがメンターとして指導に入り、アプリの実装等にチャレンジすることができます。その成果を、私も参加するのですが、グリーの現経営陣や社外の著名人の前でプレゼンしていただきます。Ruby開発者のまつもとゆきひろさんも審査員として参加していただく予定なので、ぜひ応募してほしいですね。

【お知らせ】
グリーがエンジニア志望の学生へ向けてインターンシップ参加者を募集。
GREE Jobs – 長期実践で社員と共に成果を創出-
GREE Idea Jam – アイデアを実現するためのビジネスコンテスト-
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